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中国探査機が月の裏側へ!その目的は未来の移住のため!?

2019年1月3日。日本では、毎年恒例のお正月特別番組がお茶の間の中心になっていた頃、中国が世界で初めて探査機を月面着陸させました。

月の裏側ですよ! すごいですよね。このニュースを知ったとき、本当に中国の技術力の高さに驚きました。

なぜ月の裏側への着陸が難しいのか?

これまでずっと、月の裏側は着陸させること自体が困難だといわれてきました。その理由は、大まかにいえば2つあります。

(1)表側よりもクレーターに覆われている

地球側から撮影された月の写真には、丸い影がいくつも写っています。この丸い部分は、クレーターと呼ばれるもので、月の表面にたくさんの天体(彗星などの飛来物)が衝突してできたものです。※なぜ衝突したのかは、ここでは割愛します。

このクレーターは、月のすべての面に存在しているのですが、私たちが普段目にしている月(表側)よりも、実は裏側に多く集中してできているのです。

これは、地球の月に対する引力に関係しています。常に月は、地球から引っ張られているため、地球をぐるりと一周している間もずっと同じ面を地球に向けています。ですから、太陽光の影響で多少の影の向きに違いはあっても、見えている景色は常に同じものです。

そのため、月の表面は、地球の引力によって守られていると解釈することができます。しかし、裏側には引力が及びません。すると、無防備な裏側には、多くの天体がぶつかることになります。そうやって、月の裏側にはたくさんのクレーターができあがったわけです。

これらのクレーターには、大小さまざまな大きさがあります。その深さもクレーターによって異なります。さらには、その表面も凹凸の激しいものから、緩やかなものまでとまちまちです。

そんなクレーターが、月の裏側には無数に存在しているのです。そうしたクレーターのどこに着陸するかは、とても大きな問題です。着陸地点によっては、想定していた調査がおこなえなかったり、着陸そのものができないこともあるからです。

(2)月の裏側は地球からの電波を受信できない

地球から他の星へ探査機を送る際、予め着陸予定地点が決まっているものです。もし仮に、現場近くまで行ってみて、ここは無理だから着陸地点を変更するとなっても、地球からその指示を送れば、着陸を成功させられるでしょう。

しかし、これには前提があります。それが、地球と交信もしくは地球からの通信電波を受信できることです。

これまで、NASAがアポロ計画でいくつも探査機を月へ送りましたが、いずれも表面だけしか着陸していません。この最大の理由が、裏側では地球からの通信を受けることができなかったからです。

通信機器が使えないと、安全に着陸することが難しく、また地球へ戻ることも難しくなります。どんな探査機も、地球からのコントロールを主にして稼働しているからです。

では、なぜ中国は、電波の届かない月の裏側に着陸ができたのか? これはすでに報道されているように、予め地球と月の間に電波の中継を担う衛星を打ち上げて、月の裏側にも電波が届くように準備をしていたからです。

そのおかけで、今回の偉業が成し遂げられたわけです。そう考えると、この衛星も、月の裏側着陸を成功させた中国の技術力と同様に、今後ますます重要な存在になりそうです。

テクノロジーに力を注ぐ中国と技術者が育たない米国

つい先日も、通信機器の開発・販売を手がけているHUAWEI(ファーウェイ)で大騒ぎがありましたね。

中国では随分と前から、HUAWEIのような通信機器や、今回のような宇宙開発などのテクノロジー分野に、かなりの力を注いできています。その延長で、国をあげて幼少期から技術者を育ててきました。それが今、実を結び始めているのでしょう。

一方、アメリカは、そうした技術開発や教育にかける予算を削減してきており、国ではなく企業が主体となって技術者を育てるようになっています。

企業で育った一部の優秀な技術者は、自分の能力や価値を高めるために、他の企業へ移籍したり、独立して起業したりしていきます。そんな人たちが増えてしまうと、国の事業に手を貸すよりも、先述したような自分のメリットを優先させてしまうことは、大いに考えられることです。ましてや、国からの予算が削られているのであれば、転職や起業で自ら稼ぐほうがいいと考える人も出てくるでしょう。

アメリカと中国では、国のあり方からして違いますから、中国が本気で技術者を育てれば、今のような結果になるのは必然だったといえるのではないかと思います。

今はまだ、宇宙開発といえばNASAというブランドイメージが強いですが、それも今のままでは、やがて中国と立場が逆転してしまうことも十分ありえます。あるいは、もう既に逆転しているのかもと、そんな気さえしています。

中国の月探査の目的は基地建設も視野に

今回の月探査は、「地質調査と植物や動物などの生体研究のため」とされています。月の裏側には、かつて水があったとされる痕跡があり、それを調査することは以前からいわれていたことです。

しかし、最大の目的は、将来的に画策している基地建設を視野に入れたものだとさえ考えられています。事実、多くのメディアでそうした思惑があると伝えられているのです。

ですが、それは中国に限ったことではありません。月に基地を作ったり、人が住めるような住環境を整えようとする動きは主要各国であります。

フランス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパ10ヶ国が共同で設立した(現在は19ヶ国が加盟)欧州宇宙機関(略称:ESA)は、すでに「ムーン・ビレッジを建設する」とまで公表しているほどです。

現在、同様の計画を持つアメリカも、その準備を進めています。ですが、先述したように技術者不足の観点から、民間企業と提携や協力したりしながら、再び人類を月へ飛ばそうとしているようです。ところが、開発がうまく進んでおらず、出遅れているのが現状です。

高まる月の領土問題が発生する懸念

世界中で月に進出することを考えているわけですから、地球上でかつて起こったように、いつか領地の取り合いという問題が発生する可能性は、大いにあるでしょう。

中国が、どのタイミングで基地建設(構築?)に踏み切るのか。とても重要なポイントになるのではないでしょうか。

できれば各国が、自国の利益だけでなく無駄な争いが永久に起こらないような、利他の精神で結ばれることを願ってやみません。



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