だってほら、Tango歌手だもの

かおりちゃん、久しぶりだね。

レコーディングやらステージやらで忙しいんだろうなって思ってた。ブエノスはもうすぐ秋なんだよねぇ。こちらはふとしたときに春の香りが漂う時期になりました。

「星々の舟」って、村山由佳の本だよね?わたし、彼女の本、たしか「天使の梯子」以降遠ざかってて、その本も読んだことないの。でも、こうしてかおりちゃんが読んでmentionしてくれたので、これも本とのご縁かな、読もうかなという気になりました。

悲しみ...。

かおりちゃんの話でひとつ思い出したことがあるんだよね。

わたし、昔、スーパーでひとりで買い物とかしてるおばあちゃん(たち。その都度違うひと)をよく見かけたの。それで、見かけるたびになぜか悲しくなってしまって、泣きたくなった。

で、いまはというと、そんなおばあちゃん全然見かけないの。笑 

いや、総数的には絶対昔と変わらずいる(というか、増えてるかも)はずなんだけど、わたしの目に留まらなくなって、つまりは自分の世界から「かわいそうなおばあちゃん」というものが消えました。

自分のなかの「悲しみ」と、「(自分の)おばあちゃんがかわいそう」という観念が、知らず知らずのうちに外に投影されてそんなひとばかり目に入るようになってたんだよね。しかも別に、そのおばあちゃんたち、かわいそうかどうかもわからんのに。

わたしの場合は、南フランスを旅してそこで色々経験したことで、自分のなかの深い悲しみが浄化されたんだよね。それ以降、「かわいそうなひと」が世界から消えた。

何が言いたいかというと、かおりちゃんの戻ってきた「悲しみ」は、やっぱり内にあったものなんだろうな、って思ったの。昔よりすごく減ったかもしれないけど、呼び水となるくらいの量はあったんだよ、きっと。

でも、だってほら、Tango歌手だもの。かおりちゃんが自分で言うように、悲しみゼロじゃ歌えないよねぇ。

深い悲しみを知るひとだけが、深い愛を歌い上げることができるんだろうな。それが聴くひとの心に眠る悲しみも、癒してくれるんだと思う。

歌って、素敵だね。
バージョンアップしたかおりちゃんの歌、聴きたいよ。

もしかしてこちらの夏頃には会えるのかな?

クーラーない部屋なら空いてるんだけど...(汗)。
もし空調なくても大丈夫な時期だったら泊まれるから言ってね。色々語れるのを楽しみにしてる!

#往復書簡 #エッセイ #手紙 #海外





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