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☆ 子どもと とろろごはん



 親戚の小学生の子が、「 たまに嫌なことを言われるのでおじいちゃんが苦手 」というのを小耳にはさんだ。
 

 親戚で食卓を囲んだ光景がパッと浮かんだ。おじいちゃんがドキリとする事を言って、その子が驚いた表情で言葉につまっていた姿を。
 祖父としては可愛い孫を笑わせたい、コミュニケーションを取りたいだけなのだが、そのワイルドさや難しいジョークに小さな子が困惑するのも無理はない。

 食卓や宴が子どもにとって、時に緊張する場であった事を思い出した。 


 私が小学生の時、親戚のおじさんが私達一家をとろろごはんの夕食でもてなしてくれた事がある。
 初めて見るとろろ、その食感に驚き緊張感は高まった。競うように兄たちがおかわりをする姿におじさんは喜び、私はドキドキしたまま無言で無になって食べた。初めてなので嫌いかも分からず、ただただこわかった。

 異変を感じて帰りのサービスエリアのトイレで鏡を見たら、顔がお岩さんの様になっていた。今思うと、謎のものをみんながどんどん食べていて何も言えなかった怖さがからだに出たのだと思う。
 数時間で顔は自然に治り、今おじさんを恨んだりもしていない。

 世代を越えて話しやすいリラックスできる食卓とはどんな場だろう。
 小さな子は言葉を知らなくても、必死にその場の雰囲気を感じている。私は今もとろろを食べられない ☆☆☆


 



 

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