見出し画像

イベント記録 小林美香、柳淳也が自著を語り合う 2023年9月15日

土井信吾さんが書いてくださったオンラインイベントの記録です。ありがとうございあます。


9.15(金)夜にloneliness booksの主催で、小林美香さん『ジェンダー目線の広告観察』、柳淳也さん『揺さぶる経営学: LGBTQから問い直す企業の生産性』お二人の自著を交えてのトークイベント「クィアな表象研究と、LGBTQ視点からの経営学 その交差点」というオンラインイベントを開催しました。

loneliness booksのカタミさんから挨拶があり、続いて小林さん、柳さんの順に自著の解説がありました。小林さんからはカタミさんに装丁を依頼した経緯として、故ジョン・ナファンさんの作品についてカタミさんに教えてもらい興味を持ちカタミさんに依頼したとのことでした。小林さんは、もともと写真史や写真評論の研究をされていたとのことでしたが、最近は広告写真に興味を持たれてその写真を集めることを活動の一つとされています。そして、そのことを中高生を中心に若者、教育、メディア研究者へ伝えることが著作を書く動機になったとのことです。

次に柳さんからは、『揺さぶる経営学』についての説明がありました。本著は2021年に提出された博士論文をもとに書かれたものであること、学術書なので難しい箇所もあるが、序章はわかりやすく書いてあるため良かったらそこから読んで欲しいとのコメントがありました。そして、執筆の動機として、自身の生い立ちについての言及があり、ワインについて研究してきたがLGBTQの経営学的研究になぜ切り替えたのかについて説明がありました。フェミニズムやクイア研究からの学びを経ることでみえてきた、経営学はみんなのための学問なのか?経営学の社会への貢献とは何か?を内側から問い直す経営学批判、クリティカル・マネジメントの必要性を訴えていました。

続いて小林さんから柳さんへのコメントがありました。

柳さんが手彫りで彫ったネコちゃんの表紙が素晴らしいと思った。なぜなら経営学というと、小林さんの想像していたところのデキル男像と全く違ったから。また自身の成り立ちを書くことで自分の立ち位置を明確にしていると思った。最後に広告との兼ね合いでいうとSDGsのためにLGBTQを使う、やってます感とは違う研究だと思った。

柳さんからは、小林さんに対し以下のような質問がありました。

授業実践例の課題で、ジェンダーの観点から違和感を抱いていなかった人はいるか。もしいたら、そうした人は、ディスカッションを通して何を学ぶのか?学べるのか?また、あなたの「お気持ちの問題」というように、ジェンダー表現が個人の感覚の話であるかのように(実際、個人の感覚なのだけれども、ある属性の人たちの意見は反映されにくい)矮小化されてしまうことに対して、どのように応答したらよいのか。私の違和感こそは問題ですよと開き直ることから出発するのか、それとも、集合的な何かしらのアイデンティティを代表して、あるいはクィア理論やフェミニズムの観点から批判をするのか。さらに、個人の身体にまつわる欲望(脱毛したい、モテるために筋トレする)とジェンダー化された広告の関係性はどのようなものか。

こうした二人の著者の応答の後、参加者からの活発な質問に答える形で、90分のオンラインイベントは終了しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?