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思い出すと勇気づけられる同級生のこと

今も心に残る人について、再び綴らせてください。


小学校3年の時、名古屋から転校生がやってきた。

四国に住む私たちにとって、名古屋といえば、“都会”。

ただそれだけで、彼は眩しい存在に思えた。

明るく、頭もよく、スポーツ万能。

かっこよくて、誰とでも気さくに話をする彼は、あっという間に、クラスの人気者になった。

そんな彼の唯一の弱点は、身体が硬いこと。

体育で柔軟体操をするときには、そんな身体の硬さで、目立っていた。

私自身、身体の硬い体質で、妙に親近感を覚えながら、彼を眺めていた。

結局、常に彼は目立つ存在で、弱点さえも、彼のチャームポイントになっていた。

一度、私はクラスメート達と一緒に、彼の家に遊びに行った。

彼のお父さんは、会社の社長さんで、お金持ちらしいと噂されていた。

彼のお母さんも、優しくて、きれいで、彼に関することは全て、キラキラと輝いているような気がした。

やがて彼は、地元の有名私立中学に入った。

公立中学に入った私は、別々の学校になり、彼に会うこともなくなった。


しばらくして、風の便りに、彼のお父さんとお母さんが病気で亡くなったと知った。

彼と弟は、別々に親戚に引き取られたとも聞いた。

私には、何もできなかった。

彼の居場所すら、わからなかった。

わかっていたとしても、何かできるはずもなかったと思う。


数十年が過ぎたある日、彼は関西で外科医をしていると、知った。

そういえば、彼の夢は医師だと、あの頃話していたことも思いだした。

病気で亡くなられたご両親への想いも、彼の夢を後押ししたのかもしれない。

その後、住む場所の異なる彼と会うことはかなわなかったが、メールを通して、彼と連絡することができた。

結婚し、子どもにも恵まれ、幸せに過ごしていること。

四国の小学校で過ごした日々は、本当に懐かしいと、書かれてあった。

みんなが憧れていた、あの当時の彼そのままだった。

でも、本当は、あの当時のままじゃないはずだ。

つらいこともたくさん抱えてきただろう。

くじけそうになったことも、きっとあっただろう。

そんなことを微塵も感じさせない彼は、ものすごくカッコイイと思った。

紆余曲折を乗り越え、充実した日々を送っている様子に、励まされた。


結婚し、育児と家事が中心だった私の人生。

どちらかといえば平凡で、ドラマティックでもない。

限りなくささやかな人生だ。

そんな自分だけれど、もう少し、キラキラ輝けるような、自分になりたい。

自分でありたい…。

ふと、そんなことを思う。

これからの人生で一番若い、今の自分。

今を大切に、上を向いて、笑顔で歩いていけたら素敵だ。

無理はしないで……(笑)


写真は、萬翠荘(愛媛県松山市)。すぐそばには、坂の上の雲ミュージアムや松山城があります☆

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