初めて実写映画を観た日−ちはやふる−

4月下旬、初めて少女漫画原作の実写映画を観た。録画しておいた、3月の金曜ロードショー『ちはやふる』上の句・下の句。実写化がそんなに好きじゃないわたしが、暇すぎたからとはいえ観ようと思い立ったのには運命さえ感じる。

正直、なめてた。少女漫画原作の映画ばっかり押し出されて、日本って映画をつくる力が他に比べて弱いんじゃないかってずーっともやもやしていた。

でも、疑いながらも観続けた。原作が大好きだから。

初めは、キャストに違和感があった。やっぱり原作とは似て非なる雰囲気で、「わたしの知ってるみんなじゃない」ってちょっと嫌だった。でも、観ていくうちに気づいた。これは、全く別の、新しい『ちはやふる』。広瀬すずちゃんの千早は、漫画の千早と同じ人物だけど、もっとリアルというか、人間らしいというか。見た目の違いだけじゃなくて、声の感じとか動き方とか、やっぱり漫画の千早ではないけど、映画の千早なんだなって。やっぱり漫画の弱いところって、絵だからどうしても現実とは違うように感じるところだけど、映画で人間が演じているのを観ると、より親近感がわいてなんだか本当にこういう世界があるんじゃないかって、漫画でも思ったけどそれをもっと強く感じた。キャストさん全員すごい。

漫画だとわかりにくかった試合シーンも、スピード感があって迫力がすごかった。わたしが漫画を読んでいる時にやっちゃってる、試合シーンはとりあえず速く読んで、結末を知ってから再読するっていう悪い癖も、映画では通用しない。映画でも、最後はこうなるんだろうなってやっぱりわかっちゃうけど、でも観ている時はなぜか自然と「どっちが勝つの!?」ってハラハラしちゃう。映画には、やっぱり映画のペースというか時間の流れがあって、そこに見事につかまっちゃったなって感じ。

全く新しい『ちはやふる』に見事にやられ、翌日には映画館に結びを観にいった。平日で、しかも終わりかけだったからガラガラで、落ち着いて自分の中でかみくだきながら観られた。

観終わってまず感想として出てきたのが、上から目線みたいだけどすごく丁寧につくられているなってこと。さっき言った「全く別物の『ちはやふる』」につながると思うんだけど、原作だとこのセリフは今じゃないよな、とか、こことここが決勝ではないよな、とか色々違う点がたくさんあるのに、なんだか全てが収まりがよくて。瑞沢と藤岡東の試合は、圧倒的勝利のはずなのに運命戦になって。千早と伊織ちゃんはクイーンを、太一と新は、それぞれの恋心をかけて。「しのぶれど」と「こいすてふ」の運命戦の意味も、フラグがきちんと回収されていてとてもよかった。もともと日本文学が好きで、中学生の頃あの歌合の切なさに枕を濡らした身からすると、「しのぶれど」がよまれた瞬間には思わず涙がこぼれた。

終わり方もとってもよかった。未来の千早はきちんとかるた部の顧問になっていて、クイーンにもなっていて、瑞沢も強豪校になっていて。クイーン戦を描いてしまうと、漫画も縛られちゃうのかな、とか少し心配していたけれど、あの終わり方なら自由に描けるよなあって。本当にそのあたりも丁寧だなって感動した。

そもそも『ちはやふる』をなめていたわたし。人にいくら勧められても読まなかったわたしが気まぐれで買って。何度も何度も読んで、電車の中で家の中で授業中に泣いて。実写化映画もなめていて。でも、気まぐれで観て。泣いて。何度も観て。映画館にも行って。

本当に、気まぐれってバカにできないっていうか、運命さえ感じちゃう。この作品に出会えてよかった。セリフにいちいち泣いて。勇気付けられて。これからも頑張ろうって思えて。

まとまらないけど、何が言いたいかって、本当に『ちはやふる』はすごい。漫画も映画も。大好きです。これからもずっと、きっと一生の中でわたしにとっての大事な作品。感動した。

これをきっかけに、いろんな実写化映画を観てみようって思う。がんばる。

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