調査データで⾒る「入社に向けた内定者フォロー」

URL:https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/09/naiteisyasupport.pdf

■ 目次

[1] 入社直前の心境
[2] 内定期間中の不安
[3] 内定後に受けたフォロー
[4] 内定後に出された課題や研修
[5] 内定後の課題やフォローの負担


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[1] 入社直前の心境
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入社を間近に控えた心境を尋ねてみた。入社予定企業への迷いや不安については、7 割強が「ない」と回答したが(計 74.2%)、残りの 2 割強は入社直前にもかかわらず、迷いや不安を感じている。
入社意欲については 3 割強(計 30.9%)が、内定取得時よりも下がっていた。
また、4 割近くは「入社後に活躍できる自信がない」と回答するなど、企業には、内定者が安心して入社を迎えられるような工夫が求められている。

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[2] 内定期間中の不安
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内定期間中の不安について尋ねると、「不安を感じた」と回答した学生は 9 割超に上った(91.1%)。
内定学生の大半が入社まで何らか不安を感じて過ごしていることがわかる。具体的には、「仕事についていけるか」が最も多く(62.4%)、次いで「入社後、人間関係がスムーズにいくか」(61.5%)、「社会人の生活リズムに慣れるか」(60.2%)が僅差で続く。学生から社会人へという立場の変化を前に、不安が増していることがうかがえる。

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■内定期間中の不安について
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○就職活動を早く終えてしまったため、もう少しやっていれば良かったのではと思うこともある。<⽂系男⼦>
○社会⼈と学⽣の研究ではまた違うため、ついていけるのか不安はある。 <理系男⼦>
○これから週 5 ⽇働くということが、未だに信じられません。体⼒的な不安があります。 <⽂系⼥⼦>
○社内での調整等はあるとは思うが、本来の志望業務を本当にやらせてもらえるか不安。 <理系⼥⼦>
○⼈事の方としかお話ししたことがなく、様々な方が働いているため、⼈間関係をうまく築けるかが心配です。<⽂系男⼦>

新卒を採用している企業に、内定後のフォローの必要性について考えを尋ねた。「フォローは絶対に必要」という回答が 7 割近くに上り(68.7%)、「まあ必要」を合わせると 9 割を大きく超える(計 97.2%)

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[3] 内定後に受けたフォロー
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入社予定企業から内定期間中に受けたフォローの内容を尋ねたところ、最も多いのは「内定式」(78.5%)だった。
これに「社員との懇談会」(61.0%)が続く。
実際に受けたフォローのうち入社意欲が高まったものを回答してもらった。これを見ると、入社意欲向上への寄与度が高いのは「社員との懇談会」や「内定式」、「人事担当者との懇談会」など対面で行われたもので、特に「社員との懇談会」は参加した学生の多くが、入社意欲が高まったと回答した。
内定後にどのくらいのペースでフォローを受けたかを尋ねると、最も多いのは「1 カ月に 1 回程度(毎月)」で 3 割強(34.7%)。次いで「2 カ月に 1 回程度(隔月)」24.6%、「3 カ月に 1 回程度」23.1%の順。

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■入社意欲が高まったエピソード、シチュエーション
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○内定式で内定通知書を役員の方に手渡しでいただいた時には、入社の意欲がとても高まった。 <⽂系男⼦>
〇内定式では同期となる⼈とたくさん会うことができて入社が楽しみになった。社内報では、パンフレットなどに社員の情報などが掲載されており、入社後に仕事に取り組む意欲が高まった。 <理系⼥⼦>
○内定者懇親会で社⻑の話を聞くことができ、会社の方針や社員に対するスタンスがよくわかり、入社意欲が高まった。 <⽂系⼥⼦>
○元々入社意欲はあったが、社内⾒学で⾃分が働く姿を想像することができ、さらに高まった。 <理系男⼦>
〇懇親会で若手社員から中堅、ベテランの方まで様々な世代の社員から、ざっくばらんに話を聞けたこと。<⽂系男⼦>
○研究室に⼈事担当の方がいらっしゃって、先⽣とお話しをしていただいたこと。 <理系⼥⼦>

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[4] 内定後に出された課題や研修
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内定期間中に研修や課題が出ることへの賛否を尋ねた。最も多いのは「どちらかといえば賛成」という回答で、40.2%。
ここに「基本的に賛成」(16.2%)を足し合わせると 56.4%となり賛成派が半数を超える。
文理別に見ると、文系に比べ理系は賛成派がやや少ないが、それでも過半数が賛成と回答した(計 53.9%)。

実際、内定期間中に課題や研修があったという学生は 74.6%。4 人に 3 人の割合に上る。
文理での大きな違いは見られない。出されたものの形式として最も多いのは「通信教育(e-Learning含む)」で 51.3%。
次いで「資格取得等に向けた自主学習」(35.2%)、「課題図書、新聞の定期購読など」(29.3%)の順。

課題・研修の学習内容(分野)についても尋ねると、最も多いのは「ビジネスマナー」(45.7%)で、他に「社会人としての心構え」も 4 割を超えている(41.8%)。「資格取得・業界特有の専門知識」が僅差で続く(39.7%)。
学習内容については、実際に受けたもののうち「よかったと思うもの」も回答してもらった。
最も多いのは「資格取得・業界特有の専門知識」で、受けた人のうち大半がよかったと答えた。比較的時間のある入社前に取り組めたことを前向きに捉える学生が多かった。
語学の学習や資格取得といった自己啓発に対し、企業側のサポートを望む学生は少なくない。
希望者がいれば、企業側から何らかの学習支援があってもよいだろう。

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■内定後に受けたフォローや課題について、具体的な内容・感想
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○社会⼈に必要なマナーなどを事前に学べる機会があるので、良かったです。 <⽂系男⼦>
○⽉に⼀度送付される社内報によって、もう学⽣ではないという気持ちがリセットされた。 <⽂系男⼦>
○課題図書について読書感想⽂を書く課題があり、「働くとは何か」について考えさせられた。面倒ではあった
が、普段落ち着いて本を読むことがあまりないため、いい機会になったと思う。 <⽂系⼥⼦>
○英語の課題が与えられて満⾜している。英会話を含む内容で、非常に英語⼒が上がった。しかし、簿記の資格取得の課題がなされ、研究で忙しいので非常にうんざりであった。 <理系男⼦>
○業界紙のスクラップブックを作る課題が 10 ⽉から 3 ⽉まで出た。流通や⾷品など内定先の業界に絞った記事ばかりなので、読むのが楽しみの⼀部にもなっていた。 <理系⼥⼦>
〇社会⼈としての常識だけでなく、PC スキルの研修があったのはよかった。 <⽂系⼥⼦>
〇⾃社施設や取引先企業の⼯場⾒学が面⽩かった。また、チームビルディング研修も押し付けがましくなく、楽しくできた。 <理系男⼦>

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[5] 内定後の課題やフォローの負担
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就職決定企業からの内定後のフォローや課題に対し、学業の負担に感じることがあったかどうかを確認してみた。「かなり負担に感じた」(7.1%)と「やや負担に感じた」(27.6%)を合わせると 34.7%となり、3 人に 1 人が負担を感じていた。
これをフォローを受けた頻度ごとにグループ分けをして比較してみたところ、毎月フォローや課題があったグループでは半数近くが負担を感じていた。
入社に向けフォローが大切なのは間違いないが、内定者に負担を強いることのないよう配慮も必要だ。

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■参考② 内定式で工夫していること/企業調査より(2018 年 10 月)
■内定後のフォローや課題について、企業への意⾒・要望

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○課題の提出時期が卒業論⽂と丸被りで負担だったので、提出期限は3⽉くらいがよかった。 <⽂系⼥⼦>
○研究で忙しいので、あまり多くの課題は出して欲しくない。 <理系男⼦>
○授業はほとんどなく、負担はなかった。ただ、いつ頃送られてくるのかは教えて欲しかった。 <⽂系男⼦>
○ビジネスマナーについてもう少しフォローしてほしいと感じる。他社に内定している友⼈の話を聞くと不安になる。 <⽂系⼥⼦>
○あまりフォローがなかったので、こちらがやきもきすることがあった。 <理系男⼦>
〇入社すれば嫌でも働くし勉強するので、入社まではなるべく放っておいて勉学に専念させて(遊ばせて)欲しいと思う。 <⽂系⼥⼦>
○⼈事担当の方とのやり取りが定期的に⾏われていて心強いと感じた。 <理系男⼦>
○資格取得を推奨しているものの、具体的にどの資格が評価されるもので、役に⽴つのか、社内推奨資格⼀覧などを知りたかった。 <⽂系男⼦>

内定式を行っている企業に、工夫していることや課題などを尋ねた。
・「式典」としての華やかさや重厚感を演出している。 <専門店>
・「覚悟」と「楽しさ」のメリハリを大切にしています。 <サービス業>
・グループで行動するようにし入社前からコミュニケーションをとれる関係作りをしている。<専門商社>
・お互いを知れる場を設けているつもりだが、採用人数が多いと自己紹介の方法に困る。 <輸送用機器>
・何度か集まる機会があるので、やることが被らないように、飽きさせない内容にするよう、工夫していると同時に、課題でもあります。 <サービス業>

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