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京都ハンナリーズを思う

(シーズン最終戦後に書き始め、今更書き終わったのでかなり話が古いです)

良くも悪くもこんなに印象に残るシーズンはもうないと思う。


観客数制限・声を出せない観戦・試合の延期および中止

例に漏れず、ハンナリーズも大きくこの煽りを受けたシーズンでした。
前のシーズンが思わぬ形で終了となり、今シーズンの開幕は待ちわびた人は間違いなく多かったと思う。
私もそうでした。
そもそも室内競技であるバスケなんかが開催できるのか、それを乗り越え開催に持ってきた、リーグ・球団の努力というのは計り知れない。
本当に感謝しかない。

選手にも大きく影響があった。
ハーパー・ライスの外国籍が入国、隔離期間もあり、開幕に間に合わない。
その中で急遽獲得した、フェイゾン。内海のケガ期間に獲得した菅澤。チーム合流後の負傷で離脱を余儀なくされたハーパー離脱の際にチームに来てくれたローソン。
本来のピースが揃わないなか、短い期間ながらチーム貢献してくれた彼らにも本当に感謝している。

球団としても、シーズン開幕前にbjリーグ時代から指揮を執っていた浜口HCが辞任。顔であったマブンガが退団。スターティングPGの中村の退団等、主力の離脱が目立った。そして12月に、浜口HCからの給料未払いによる訴訟など、大丈夫か?と感じることも、シーズンを通してあった。

そんな中でも、残されたスタッフ、選手たちは下を向かずにひたむきにゲームに集中した。プロだな。と心から思った。

板倉GM(もう彼も球団にいない)、小川HCの就任、スタッフの一新。これに伴い、チームの色も大きく変わっていった。
ここに関しても、新加入のAC クリス・ホルムも合流が間に合わず、シーズン序盤は小川HCと井堀ACの苦しい期間もあった。

『ディフェンスとリバウンドのチーム』
小川HCが開幕前に、今年のハンナリーズはこうなる。
皮肉なことに、シーズン序盤は真逆になった。ディフェンスは崩壊、リバウンドは相手にとことん取られる。
序盤は本当に勝ち星に恵まれず、昨シーズンに味わった連敗地獄がまた来たか…。でも選手いないから。なんて気楽に見ていた。
元々、日本の男子プロバスケに興味がなかったので、育成の年。なんかもNBAで経験しているので勝てなくても、選手たちが成長する。そんなシーズンも悪くない。少しずつ東地区の強豪と呼ばれるチームにも勝ち星をあげたり、競り合えるチームになってきていると見せてくれた。
目に見えてチームが色づいていく姿というのは見るものを本当に惹きつける。

チームとしての完成度が上がる。
チームとして遂行したいことが明確になる。
選手たちの意識が変わる。

序盤戦、ハドルを組むのは日本人選手だけ。遅れて外国籍選手が入る。
そんなチームが強いわけない。接戦になると、そういった細かな綻びから流れは持っていかれる。そんな状況を変えてくれたのは、間違いなく短期契約選手であった菅澤に違いない。出場時間が得られないなかでの、ベンチでの立ち振る舞いなどをチームの文化にしたのは彼の大きな大きな功績である。
プロスポーツ選手として、彼の振る舞いには本当にけちのつけようが1つもなかった。彼自身がプレイタイムを得られるチームで活躍することを心から願った。シーズンを終え、彼との来シーズンの契約を望む声も京都ブースターの方には少なからずあるのではないか?私は、そんな人選もとてもいいものだと思いながら、言葉を紡いでいる。
そんな菅澤が作り上げた土台に各々の色が重なっていく、その意思を継いだのが石谷。菅澤なきチームの雰囲気づくりに大きく貢献してくれたベテラン選手。ポジション的に若手が多く、彼も菅澤同様にプレイタイムをもらえないもどかしさなどがあったに違いない。それでも、来るタイミングに備え、しっかり準備する。若手にプロとしてのあるべき姿を示し、ベンチワークを全力で行う。こんなにも頼りになるベテランプレイヤーを今まで京都で見たことがあっただろうか。そんな雰囲気がなんだか京都に新しい風が吹いた気がした理由だったのかなと、ふと思った。

そんな中でも、今シーズンの新しい風はそれだけではない。
何よりも今年ルーキーの97年組の台頭が大きな要因に違いない。昨シーズン途中からチームにいた、寺嶋、久保田、大庭の3人に加え、群馬から関東学生2部得点王の経歴も持ち合わせた細川の合流。数年前までは、選手の大半が20代後半から30代の選手であった、京都にはとても珍しかった。
そもそも、京都ハンナリーズというチームは、良くも悪くもその年しのぎのチームを作ることに長けているチーム。という認識があったからだ。毎年毎年、選手の多くが入れ替わる。それなりのチームは作れるが、私の中では愛着がわくチームになることがなかった。海外にある、フランチャイズプレイヤーという選手が京都には産まれるイメージがわかなかった。そんな中で、この97年組は京都の新たなカルチャーを生んでくれると期待ができた。プロを始めたチームで、顔となって育っていく姿を見れるというのは、プロスポーツの醍醐味の1つである。シーズンが終わったばかりで、チームの方向性がどこに向かっていくかはわからない。でも、彼らが軸にチームが構成されることを願うばかりです。
話は戻るが、そんなルーキーを4人抱え、更にはそのうち2人はスタートでコートに立つ。様々な試行錯誤がシーズンを通して行われるのだろうと、開幕をわくわく待っていた。

苦しい序盤戦を共に戦ってくれたフェイゾンが契約満了となり、ライス、ハーパーが合流し、初戦からライスの大爆発もあり、大いに期待できる本来のチームになるかと期待したが、やはりチームスポーツというものは難しい。個人が良くても、勝ち星に直結しない。その後も連勝というものに恵まれず、苦しい我慢の時期が続く。と思っていたら、ここでまさかのハーパーの負傷離脱。苦しい時期に更に追い打ちをかけてくる事態。ここで、福岡などでプレイしていたローソンを緊急補強。私にとっては、NBAのサマーリーグで応援しているチームで出場していたこともあり、なんだかうれしいご縁でもあった。(実際、ホームでの最終戦では、私の全身メンフィスのアパレル姿に嬉しそうにリアクションをくれた本当のナイスガイであった。)彼もスキルとしては、B1の外国籍の中ではあまり高くはないように見えるが、懸命なリムランやディフェンスなど献身的なプレイは職人好きの京都の人柄にはよく合っていたと思う。福岡時代のチームメイト 石谷とも再びプレイできる、寺嶋や久保田のパスの受け手としての評価もそれなりに高かったと思う。ローソン在籍時はチームの勢いも上向く予兆が見えた気がした。12月は東地区の強豪との試合が続いた、千葉、川崎、渋谷。千葉戦は勝利は掴めなかったものの後一歩まで詰め寄る終盤の粘りを見せ、川崎にはアウェイで2連勝。渋谷戦も、最後の最後まで食らいつく選手たちの姿勢にホーム観戦のお客さんも多いにチームの成長を感じた月だったのはではないか。

そして年始からはフルメンバー。いきなり新潟相手にコケる。その中でも、徐々に小川バスケをコート上で表現できる試合も増えてくる。そして、修正力が上がったように見えた。土曜日の試合を落としても日曜日の試合にしっかり修正できて勝利。なんて日も増えたんではないか。ライスの派手なプレイに目が行きがちだけど、その中ですべての選手が自分の役割を明確にし、遂行する力をつけていく。
強豪と接戦に持ち込むことも増え、最終節まで走りきるところを見届けたい。そう思った矢先に、ホーム最終戦の中止が発表。
こんなにも残念なシーズンエンドは想像していなかったが、ここまで1試合もなくならずに開催できたことは本当に運営や観戦ルールに従った観戦者全ての努力の賜物だと思う。

シーズン最終の琉球戦で、『ダシツクシ』『もっと』『熱京』させてくれたチームに最大の拍手を届けたい。

来シーズンこそは、アリーナ内で観客の歓声を聞けることを願う。


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