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多摩デザイン大学「プロダクトデザイン」 小野 直紀さん

昨年通った多摩美術大学が、期間限定「多摩デザイン大学 / Tama Design University」を開校しているので、受講しています。

この問いを頭に置きつつ、学んでいこうと思います。

「我々は新しい世界をどうデザインできるのか?」

我々は今、環境をはじめとした様々な課題や、テクノロジーによる急減な変化と向き合っています。その状況の中でどうデザインするかの前に、何をデザインしていくべきなのかを問い直していくことが重要ではと考えました。

▼講義詳細
多摩美術大学が、誰もが参加できる“デザインの大学”を期間限定開校。50の新たなデザイン領域を知る、講義プログラム公開
東京ミッドタウン・デザインハブ第94回企画展「Tama Design University」12月1日(水)〜12月26日(日) 会期中は講義プログラムを毎日開催。聴講無料。

▼講義一覧HP

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■テーマ
プロダクトデザイン「モノから発想しないモノづくりとは?」
現代のプロダクトデザイン「現代のものづくり」とテーマを変えるとのこと。

まずは言葉の定義から。

プロダクトデザイン
=プロダクト + デザイン

プロダクト
=物理的な商品、非物理的なサービス
プロダクトの意味 =pro + duct =前に導く

ものづくりという言葉は、「ものがよければ売れる」幻想で、日本で1990年代に使われ始めたそうなのですが、現代に求められるのはそれだけではない、と。

「もの」だけでも「つくる」だけでもない 
つくる→とどける→つかってもらう→フィードバックをもらう→更新する

上記のように、更新し続けることがものづくりだと、おっしゃっていました。スマホのアプリや最近はテスラなどもそうですよね。ただ、更新し続けるというのは、ソフトウェアを搭載しているものだけしかできない事なんじゃないか?とも思ったりします。(単純なハードはフィードバックをもとに新機種を出すことはできるが、現機種をアップデートし続けることはできない)

次に環境の変化のお話。

ものづくりをとりまく環境の変化
商品 =売り切りモデル→更新モデル
消費 =商品の入手consume(使い切る)→体験の享受(spend 過ごす)
流通 =お店で買う、イメージで買う→その場で買う、口コミで買う
コミュニケーション=テレビ的(イメージ訴求/一方向/受動的/固定的)
    →スマホ的(嘘はバレる/双方向/能動的/流動的)

上記のように変化してきているからこそ、

何を/なぜつくるか
どうとどけるか
どうつくってもらうか
どうフィードバックをもらうか
どう更新するか

考え設計するのがプロダクトデザイン
実行するのがものづくり

とのこと。
考えること、やることが多いそうですが、小野さんの軸はシンプルで、

人がどう感じるか

を常に考えているとのことでした。
(もちろん事業性・実現性・安全性・効率性もあるけれど)

ポジティブな気持ちからネガティブな気持ちまで、衝動的で強い気持ちから意識下の微かな気持ちまで徹底的に「人がどう感じるか」に寄り添うことが大事。

もう一つ

チームで実現する

ことも大事にしている価値観だそうです
(誰か特別なデザイナーが目立つのではなく)

ここからは、博報堂で行っているPechatのご紹介。

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Pechat HPより

ぬいぐるみにボタンを付け、スマホで操作すると、ぬいぐるみとおしゃべりできるそうです。

子どもが本当に欲しいものは、しゃべるぬいぐるみではなくて、大切にしているぬいぐるみとおしゃべりする体験 なのではないか、という仮説から始まったプロジェクトだそう。

どんな形を与えるか
象徴性(Symbolic)+適応性(Adaptive)を考え、ぬいぐるみになじむようにできないか、ということでボタンの形。
また、効果音を口笛にしたり、キャラクター設計をしたり(デジタルでいじって低い声、高い声もつくったり)、細かく配慮されています。

どうとどけるか
ネーミングや、黄色いボタン、キービジュアル(使ってほしいシチュエーションの写真)、コピー(ex:心を通わせる、おしゃべりボタン / 友だちを、もっと友だちに。 / ぬいぐるみの「心」の近くにつけてください。)、パッケージ、もの作っている最中にWEBサイト構築をして、どういう機能があったらいいかなど検討されたそう。(綿密・・!) 

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Pechat HPより


価格は、5,990円。(初代モデルは4,990円)
これも理由があって、2016年当時、人がスマホで使う金額が5,000円だったので、5,000円を切ることを目標にして、価格に合わせて機能をそぎ落としたとのことでした。

どう使われるか
フィードバックをもらうかアプリの解析、アプリのリクエスト機能、アンケート、カスタマーサポート、アマゾンレビュー、SNSなどで、多様な使われかたを知り、改善・新機能の参考にしていたそうです。 

どう更新するか 
あかちゃんモード、英語版アプリ、イヤイヤモード、ほぼ自動おしゃべりモードなどの機能を、顧客からのフィードバックをうけて追加していったとのことです。

ビジネスと、ものづくりプロダクトデザインは並列にあって、それぞれが両輪となって一体になって回っていき、世の中に価値提供していくものだと思う、で締めくくり。

■所感
すごく丁寧に現代のものづくりをPechatを事例に、ご紹介いただきました。
世の中に出てくる製品は、ここまで綿密に計算されて作られているんですね^^

時代に合わせて、つくりかたも変化していかないといけない、そう思いました。



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