見出し画像

パニック障害のわたしが八日後に電車に乗れるようになるはなし 三日目

パニック障害で何年も電車に乗れなかったわたしが、なんとか一駅分だけ電車に乗れたよ!やったー!
というのが昨日までのはなしでした。
詳しくは、上記のリンクより、二日目の記事をご覧いただければさいわいです。

で、三日目の今日。
わたしはまた前進すべく、夏休みも終盤で暇を持て余している子どもと一緒に、昨日とまた違う駅へと向かいました。
わたしが住んでいる地域は交通の便が非常に恵まれていて、自転車で十分ほどこげば、JRやメトロ、その他の路線など、五つほどの駅にたどり着くことができます。

というわけで
今日は昨日までとは違う駅を利用することにしました。

しかも!
今日は往復するぞ!

昨日は片道分、たった一駅分でしたが、この感覚を忘れないうちに、〇〇駅⇆◎◎駅を往復で乗るんだ!これが今日の目標です。

東京は今日も猛暑です。
熱中症対策を充分にして、いざ自転車で出かけます。ひかげの道を通りながらでも、額から汗が噴き出てきます。暑いねえ。でも自転車だと風をきるからまだ涼しいねえ。
そんなことを話しながら自転車を走らせるうちに、目的の駅に到着。
駐輪場に自転車を停め、駅へと向かいました。

今日わたしが選んだ駅は、いわゆるターミナル駅と呼ばれるタイプの、大きな駅です。
昨日までの駅とは比べものになりません。
発着する電車の種類も多く、そしてその分ホームも、人も、改札の数も、なにもかもが多い。
それでもわたしはこの駅を選びました。
前に進めるような気がしたので。

具体的な計画は以下の通りです。

ターミナル駅から一駅乗る
着いた駅で降車、改札を出る
着いた先で昼食をとる
ゲームセンターで遊び、甘いものを食べる
頃合いを見て、帰路に着く
電車に乗り、出発したターミナル駅に戻ってくる

結果は、なんとか成功しました。
なんとか、というのは、やはりターミナル駅の人の多さ、大勢の人の話す声や雑多な音の入り混じった賑やかさ、また暑さなどによって、改札を入る前から少し圧倒されてしまったのです。

こんな時は、まず例の深呼吸です(二日目参照)
そして、あえて目を閉じたり耳を塞いだりせず、深呼吸をしながら、ゆっくりと風景を眺めてみました。
家族連れの楽しそうな姿、海外のかたの素敵な髪型やファッション、赤ちゃんをベビーカーに乗せたお母さん、壁に寄りかかる、人待ち顔の青年。
モザイクがかかっていたような、もやがかかっていたような景色がだんだんと輪郭を得てくるとともに、わたしのこころもだんだんと落ち着いてきたのでした。

うん、いこう。

不安を和らげる頓服を二錠、冷たい水で流し込むと、「よし」と気合が入り、「大丈夫」という気持ちになりました。

行きの電車はなるべく空いている車両を選んで、また子どもに手をつないでもらいながら乗りました。
帰りは、楽しいことをたくさんして、ふくふくした気持ちだったからか、はたまた行きの難所?を克服して少し自信がついたのか。
薬を飲まずに電車に乗れました。

帰りの電車は空いている席がなく、子どもと並んで、吊り革につかまって立って乗りました。
「座らなくて大丈夫?酔わない?」
と、子どもが小声で尋ねました。
「大丈夫。それに昨日はあたふたしてるうちに駅に着いてたけど、今日はせっかくだから車窓の景色をちゃんと眺めたいなと思って」
そう言うと、子どもは「余裕じゃん」と笑いました。わたしも、へへ、と笑いました。

本当はまだまだ余裕なんてないけど、でも、今日帰りの電車からは、午後の強い日差しに照らされたビル群や、その向こうに広がる夏の空と、夏の雲が見えました。

目指す八日目は三十日です。
その日、車窓からどんな空を眺めるでしょう。

予想以上にスイカでした おいしかった