見出し画像

デザインワークショップ企画・運営ガイド(準備編)

大変ありがたいことに2018年は非公開のものを含め多くのデザインワークショップを企画・開催する機会を頂きました。内容は毎回違えど様々な学びがあり、次回以降のワークショップに少しでも活かせるようにと毎回反省会をしているのですが、そのあたりを一度アウトプットしてみようかと思い、noteの記事として書いておくことにしました。なお、目次を書き出してみたところ思ったより長くなりうそうなので、準備編、進行編、その他編と、大きく3回程度にわけて書いていく予定です。


準備の役割分担について

ワークショップに限った話ではないのですけれど、ワークショップ当日までに誰が何をどう準備するのか。当日誰が何を担当してどう動くのか。ワークショップ終了後、誰がどう動くのかというタスクを具体的なところまで落としこんでおく必要があると感じています。

具体的には例えば、当日のコンテンツを誰が考えるのかとか、メインファシリテーターは誰か、サブファシリテータはどう動くのか。諸々のステークホルダーとの調整を誰がするのか。必要な物品を誰がどう手配して当日のロジはどうなってるのか。参加者への案内を誰がどうするのかとか。当日の記録係は誰がやるのか。終わったあとのフォローアップはどうするのか。そしていちばん重要な、誰が最終的なディシジョンを下すのか。などなど。

これらの点をあいまいなままにしておき、誰かがなんとかしてくれるだろう、と考えていると実は誰も動いてなかったというケースは往々にしてあり、大変危険です。


参加者、運営側の期待値コントロールについて

新規事業のアイディアが欲しい。プロダクトの改善策を検討したい。社員にデザイン的な視点を持ってもらうための研修をしたい。何らからのスキルを身に着け実践の場としたい。会社のブランディングに利用したい。その団体、施設、製品や技術など、何かについて多くの人に知ってほしい。あるいは、ただイベントがしたい。などなどワークショップの目的は色々あります。

色々あるが故にこの部分をしっかり握らずにワークショップを企画してしまうと目的を達成が不可能になってしまうし、楽しかったねで終わってしまいます。

まず把握すべきは、プロジェクトの中でワークショップの位置づけです。ワークショップ単体でプロジェクトとして成立するのは稀で、多くの場合は何らかのプロジェクトの中の一つの要素としてワークショップが存在します。例えば新規事業検討プロセスの中でアイディアを発散させたいフェーズにおけるソリューションのひとつとしてワークショップを開催するだとか、マーケティングプロジェクトの一環でワークショップを開催するだとか、もう少し具体的な何らかの課題への取り組みとしてワークショップを実施する、などなど。

そのため、プロジェクトのスキームであったりステークホルダー、フェーズ、方向性、ゴールなどを確認したうえでワークショップの目的や、そのアウトプットをどのように活用するのか。そしてどのようなアウトプットを期待するのかを事前に把握しておく必要があります。

例えば新規事業アイディア創出のためのワークショップとひとことで言っても、様々な位置づけが考えられます、ワークショップの中で出てきたアイディアを元に新規事業を考えたいという場合もあれば、そのアイディアに至ったインサイトを活用したいという場合もあるでしょう。あるいは、アイディア創出方法を学んで、その後自走するためのきっかけという場合もありえます。

一方で、欲しいアイディアの方向性を予め把握しておくことも重要です。例えば部署としてはB2Bで既存顧客に向けた新たなソリューションが欲しい状況であったにも関わらず、領域を決めずに広く新規事業に関するアイディア創出のワークショップを行ってしまうと、その部署にとっては出てきたアイディアはイマイチ使いみちのない物である。と言ったケースも大いに有り得ます。

その他、参加者がワークショップに何を期待しているかを把握し、それに応える事/あるいは門戸を狭めることも場合に必要です。社員はそれぞれ本業があり、忙しい業務時間の合間を縫ってワークショップに参加しますので、彼らには何らかのモチベーションがあるはずです。もちろん上司に言われて渋々という場合もあるかもしれませんが、その場合であっても上司は何を期待しているのか、あるいは会社として何を期待しているのかは把握しておくべきでしょう。参加することに意義を見いだせなければ面従腹背な状態につながってしまいます。

イベント自体をオープンにして参加者を募る場合は、特定の手法について学びたいという場合もあれば、平日夜のあるいは休日の娯楽として参加している場合もあるでしょうし、ネットワーキングの場としての期待が大きい場合もあるでしょう。


物品について

デザインワークショップと言えばポストイットを使用して壁にペタペタ…というのをイメージする方が多いのではないかと思いますがポストイット以外にも様々なものを用意する必要があります。

もちろんワークショップによって使うものは毎回異なるのだけれど、だいたい用意するものはこのあたり。

- 付箋紙(いわゆるポストイット)
- 模造紙
- ペン(太いものと細いもの2種類)
- コピー用紙
- マスキングテープ
- ハサミ
- お菓子
- 飲み物
- カメラ
- 三脚

以下ではそれぞれ具体的な商品を紹介します。

模造紙と付箋紙に関しては粘着力や書き心地などの点から、予算さえ許せば3Mのポストイットとイーゼルパッドが理想です。なお、アウトプットとしてスマホアプリなどを想定する場合は、長方形のポストイットがあると非常に便利。

が、諸々の事情で予算を節約したいときがあることも理解しています。そういったケースにおいては、ダイソーがめちゃくちゃ安いのでおすすめです。模造紙は8枚で100円、付箋紙は400枚で100円など、予算がない時でもこれならなんとかなりそうですよね。

ペンについても好みがあると思うのだけれど、私のお気に入りはプロッキー。8色セットをいくつかと、黒をたくさん用意する。黒はできれば人数分かちょっと少ないぐらい。カラーについては、2-3テーブルに1セット(つまり数色)あると良いんじゃないかなと思う。

あとはワークの内容にもよるけど、細いペンがあっても良いかなと思います。例えばこういうやつ。これもダイソーなどに行けば、100円で数本入ったものが売っています。

コピー用紙は特にこだわりはありません。Amazonだと500枚で500円近くするが、ホームセンターなどに行けば200円ちょっとで売っていたりします。オフィスでやる場合はコピー機置き場から拝借するのもアリかと思いますが、コピー機の契約形態によっては勝手に紙を使うと問題になる場合もあるので注意しましょう。

マスキングテープはだいたい3Mのものを使っています。チームの数だけ用意することにしているのでまとめ買いがお得。

ハサミに関してだけれど、私は通常のワークショップでは各テーブルに配布することはせず、運営側で使用するだけなので正直なんでも良い。ワークショップ会場に1本あれば良いぐらいなので、家に余っているものがあればそれで良いと思う。

お菓子、飲み物については会場で事前受け取りが可能なのであれば西友などのネットスーパーを使うのが安くて便利な気がしている。紙コップなどを書い忘れないようにする。おしぼりや紙ナプキンなども、あれば便利。

ワークショップの様子を記録したり、出てきたアイディアを記録しておくためにはカメラは必須です。最近だとスマホのカメラも高性能化しているので十分かもしれないが私は一眼レフを持っていくことが多い。最近だとソニーのαシリーズなどの評判が良いらしいが私は宗教上の理由から主にキヤノン製カメラを使用することにしている。

今新しく買うならEOS M Kissをと言いたいところだけれど値段などを考えると、このあたりがお手軽で良いんじゃないかと思う。

ワークショップの中で動画を撮影するシチュエーションがありそうな場合は三脚もあると良いと思う。お好きなものを選ぶと良いと思うが、私の個人的なおすすめも一応挙げておく。

なお、動画を撮影する場合は、今だとアクションカメラを使うという選択肢もありだと思う。長時間撮影できることと、モバイルバッテリーなどで外部給電できる点がポイント高い。

準備物品としてはこんな感じだと思うのですが、上記物品を揃えるとかなりの物量となってしまうので、当日、一人で運搬などを行うのは不可能に近いと考えたほうが良い。なるべく事前配送を使ったり、あるいは手伝ってくれる人がいるなら事前に相談して当日持っていく荷物を分担してしまうのも良いでしょう。


参加者集めについて

社内で行う場合などは関係ない話なのだけど、一般公開するイベントの場合はconnpassとpeatixなどのイベント管理ツールを使う事が多いように思います。なおPeatixの場合、一部の機能は有料になっているので要注意です。

イベントの告知そのものという意味では、facebook、twitter、noteやブログなどのメディアを使う事になると思います。facebookの場合はイベントを作成して友人を招待することができるのでお手軽ですが、参加を押してもらうだけだと管理が若干面倒なので上記connpassやpeatixに誘導して参加登録してもらえると良さそうに思えます。

社内向けワークショップの場合、特定の部署向けやプロジェクト向けで参加者がその関係者だけ、のような場合であれば参加者集めで苦労することはないのですが、自部署以外、あるいは社長直轄などのトップダウンのプロジェクトの場合は様々な部署からいろいろな人に参加して欲しい場合があります。イントラでの募集を使えればそれを使ったり、参加して欲しい人(あるいは部署)に直接声をかけていくのが王道ではないかと思いますが、まずはいわゆるkingpin的な人(必ずしも組織の偉い人とは限りません)に直接声をかけて味方に引き込んでしまうのが有効だと思います。

おわりに

ワークショップの準備にフォーカスをあてて、私の乏しい経験をもとにだいたいこんな感じかなと書き出してみましたが、ツッコミやコメントなどあればお気軽にいただけると大変嬉しく思います。(知り合いなどから具体的な物品名まで知りたいと言われたので、若干アフィブログっぽくなってしまったことはご容赦ください。)

次回以降、ワークショップのコンテンツの中身や進行などについて書いていければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?