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【思考法】DIKWを進化させたDIKWPAとは?


はじめに

デジタル変革(DX)時代において、情報の豊富さと複雑さが急速に増大する中で、データの有効な活用がますます重要視されています。しかしながら、データ収集だけが目的となり、それを情報や知識へ昇華させることが欠落しているケースが少なくありません。こうした課題に対する一つの解決策が、「DIKW」という思考法です。

そもそも「DIKW」とは何なん?

Data(データ)、Information(情報)、Knowledge(知識)、Wisdom(知恵)の頭文字を用いた概念であり、データを組織的かつ効果的に昇華させる過程を示しています。もともとは情報工学でデータを分類するときのフレームワークとして古くから使用されていました。具体的には、次のような段階で展開されます。

DIKWのピラミッドモデル

Data(データ):単なる数値や記号などの素材であり、それ自体に意味を持ちません。
Information(情報):データに文脈や関連性を付与し、整理・構造化されたものであり、何らかの意味やメッセージを伝えます。
Knowledge(知識):情報に対して分析や解釈を行い、原因や法則、パターンなどを理解し、適切な手法を把握します。
Wisdom(知恵):知識に対して評価や判断を加え、価値観や目的に基づいた行動や決定を導き出すものです。

DIKWの具体例

DIKWのプロセスを理解するために、具体的な例を見てみましょう。

Data(データ):4月から8月までの天気データ。日ごとに降雨量、日照量、気温などが記録されています。
Information(情報):これらのデータから、雨が降った日の数を集計しました。結果として、6月から7月にかけて雨が多いことがわかります。
Knowledge(知識):複数年にわたる天気データを分析することで、毎年6月から7月にかけての降雨量が多い傾向があることが分かりました。これにより、この期間を「梅雨」と呼ぶ知識ができます。
Wisdom(知恵):梅雨の時期に傘を持ち歩くことで、突然の雨に対応できるだけでなく、洗濯物を干すタイミングや外出計画を調整することができます。さらに、農業や水資源の管理にも活用できるかもしれません。

この具体例からわかるように、DIKWのプロセスはデータから始まり、情報、知識、知恵へと昇華していく過程を示しています。それによって、単なるデータから価値ある判断や行動が生まれることが確認できます。

情報活用のカギ、DIKW

情報活用の観点から見ると、DIKWは重要なフレームワークとなります。データを単に蓄積するだけでなく、それを有益な情報、知識、知恵へと昇華させることで、組織内外での効果的な活用が可能となります。データと情報の混同や知識と知恵の欠如は、有益な情報を取りこぼす原因となりかねません。

DIKWを実践する際には、以下のステップを考慮します。

データから情報へ:データの整理、構造化、視覚化、分類、索引付けなどを通じて、情報を抽出します。
情報から知識へ:情報を分析、解釈、比較、統合し、パターンや傾向を把握し、深化させます。
知識から知恵へ:知識を評価、選択、統合し、実際の状況や目的に即した判断や行動を導き出します。

また、DIKWはナレッジマネジメントにおいてナレッジを整理する上で基本的な考え方でもあります。ナレッジマネジメントは、組織内の知識を共有し、組織全体の競争力や価値を向上させる手法です。DIKWの各段階を通じて、知識の生成、蓄積、共有、活用を促進することが求められます。

WebマーケティングとDIKW

DIKWは、Webマーケティングにおいても重要な役割を果たします。特に、データマネジメントプラットフォーム(DMP)を活用する場合は、DIKWの考え方が非常に重要視される傾向にあります。DMPは、オンライン上で収集されたユーザーのデータを管理し、効果的なマーケティング施策に活用するためのツールです。

DMPを最大限に活用するためには、次のようなプロセスを通じてDIKWのステップを適用します。

データから情報へ:収集したデータを整理し、ユーザーの行動や属性に関する情報を抽出します。
情報から知識へ:データを分析してユーザーの嗜好や特性を理解し、セグメンテーションを行います。
知識から知恵へ:得られた知識をもとに、ターゲティング広告やパーソナライズドなコンテンツを配信する戦略を策定します。

データドリブンの重要性

DIKWの概念は、データドリブン(データ駆動)という考え方とも密接に関連しています。データドリブンとは、データに基づいて意思決定や行動を行うアプローチを指します。

データドリブンのプロセスは次の通りです。

データ収集:目的に合ったデータを収集します。
データ分析:収集したデータを分析し、傾向や因果関係を明らかにします。
データ活用:分析結果に基づいて意思決定や行動計画を策定し、実行します。
データドリブンは、主観的な判断ではなく客観的なデータに基づいて意思決定を行うことを強調しています。また、データドリブンではフィードバックループも重要であり、実行結果から新たなデータを得て改善を繰り返すことが求められます。

DIKWとデータドリブンの相互関係

DIKWとデータドリブンは相互に補完しあう関係にあります。DIKWはデータを有益な情報や知識、知恵へと昇華させるためのフレームワークであり、データドリブンはこの過程で得られた情報や知識を基に意思決定や行動を行う方法論です。

具体的には、DIKWの各段階を通じてデータを高度に加工し、情報や知識を獲得します。そして、データドリブンのアプローチを通じて、これらの情報や知識を基に合理的な意思決定や行動を行うのです。また、データドリブンのサイクルにおいて、実行結果のデータが再びDIKWのプロセスに戻り、新たな情報や知識を生み出すことが可能です。

「DIKW」のさらに先の「DIKWPA」

「DIKWPA」はオリジナルのフレームワークです。「DIKW」につづく「P:Policy」「A:Action」を追加したものです。Data データ、Information 情報、Knowledge 知識、Wisdom 知恵の順にデータを昇華させてナレッジとして情報共有した後に出てくるのが、Policy ポリシーです。方針や主義、施策などがこれに当たります。Wisdom 得られた知恵を元にポリシーやルールを策定することで、レールが敷かれてデータに基づいたプロセスが自動化されていきます。最後のAは、Action 行動、実践です。Policy に従って具体的な行動や実践を行うことで、データから価値を創出することができます。

例えば、ある企業がDXを推進するために、「DIKWPA」を適用する場合は、以下のような流れになります。

Data(データ):社内外の様々なソースからデータを収集し、クラウドやDMPなどで一元管理する。
Information(情報):収集したデータに対して可視化や分類などを行い、情報として整理する。
Knowledge(知識):整理した情報に対して分析や解釈などを行い、知識として理解する。
Wisdom(知恵):理解した知識に対して評価や判断などを行い、知恵として活用する。
Policy(ポリシー):活用した知恵に対して方針や施策などを決め、ポリシーとして定める。
Action(行動):定めたポリシーに従って行動や実践などを行い、価値として創出する。

「DIKW」では、Wisdom まで到達したとしても、それが実際に何かしらの成果や効果につながるとは限りません。しかし、「DIKWPA」では、Policy と Action のステップを加えることで、Wisdom を価値に変換することができます。また、「DIKWPA」は、データドリブンのサイクルを回すことも可能です。Action で行った行動や実践の結果は、新たなデータとして収集されることで、再び「DIKWPA」のプロセスを繰り返すことができます。これにより、データから価値を生み出すことが持続的にできるようになります。

まとめ

本記事では、「DIKW」という思考法とその進化版である「DIKWPA」について解説しました。「DIKW」はデータを有益な情報、知識、知恵へと昇華させるためのプロセスを示し、組織内外でのデータ活用を促進します。「DIKWPA」はさらに、知恵からポリシーを策定し、実践的な行動に移すステップを追加したアプローチです。

これらの思考法やアプローチを活用することで、データの有効な活用と意思決定の質の向上が期待されます。デジタル変革が進む現代において、ぜひともこれらのフレームワークを取り入れ、競争力を高める道を模索してみてください。

参考リンク




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