米津京子

猫が大好き💓な大衆小説家の卵🥚 連載中の「きれいな愛じゃなくても」がクリエイティブメデ…

米津京子

猫が大好き💓な大衆小説家の卵🥚 連載中の「きれいな愛じゃなくても」がクリエイティブメディア出版第九回出版大賞・短編小説部門・優秀賞をいただきました。 これを機にクリエイター名を「美詞」から著者名の「米津京子」に変更しました。 よろしくお願いします。

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    軽いタッチの小説です。

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作品が優秀賞をいただいた記念にクリエイター名を著者名に変更します。

ここにも連載していた書き下ろし「きれいな愛じゃなくても」がクリエイティブメディア出版第九回出版大賞・短編小説部門・優秀賞をいただきました記念に、クリエイター名(美詞)を著者名(米津京子)に変更します。よろしくお願いします。

    • 心の美しさは 表に顕れるというけれど 花にはどんな心があるのだろう あなたの目に まだ私は美しく映りますか?

      • 【短編小説】ひとりよがり

        美樹は待ち合わせ場所に向かっていた。 平日のお昼前とあって、電車はガラ空きだった。 本日のお相手は62才の爺。自分で爺と書いている。 書いている、というのは、爺との出会いはある既婚者専用マッチングサイトだから。相手はみな既婚者だからリスク管理は万全で、必要以上に女にのめり込もうとはしない。ドライなお付き合いを望む男女ばかりが勢ぞろいしている。そこがこのアプリのいいところだ。 美樹の愛嬌のある丸顔とややぽちゃなボディは、世間で需要が高いことをこのアプリで初めて知った。 と言

        • 【短編小説】さやか

          夜、静かな部屋、灯りもつけずに男は座っていた。 またあの時の夢を見た。 彼の名は藤井祐介。30歳にして既に数々の展覧会を成功させたアーティストだ。 祐介は自分のアートに執着し、人を寄せ付けず、ずっと完璧主義を貫いてきた。そして、彼の内に秘められている深い孤独とトラウマを知る者は誰もいなかった。 幼い頃の記憶が、ふ、としたときに彼の心を襲う。熱い冷や汗がにじむ。 母親の優しい笑顔、厳格な父親の姿、そしてあの日、それは起きた。 それは彼がまだ5才の頃のことだった。 夕暮

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          あの人を好きになってしまった。 あなたを忘れたわけじゃないのに。 彼を震えるほど愛しているのに。 彼らを思いながら あの人を受け入れるこの日々は 罪なのだろうか もし これが罪だとしたら 誰に対しての 何に対しての 罪なのだろう

          あの人を好きになってしまった。 あなたを忘れたわけじゃないのに。 彼を震えるほど愛しているのに。 彼らを思いながら あの人を受け入れるこの日々は 罪なのだろうか もし これが罪だとしたら 誰に対しての 何に対しての 罪なのだろう

          なめらかに長いその指たちで このくちびるに触れてほしい もっと  ずっと 泣かないから それ以上は望まないから 決して

          なめらかに長いその指たちで このくちびるに触れてほしい もっと  ずっと 泣かないから それ以上は望まないから 決して

          書けない 描けない 言葉が出てこない まるきり文字を忘れてしまった 追われているのに 急かされているのに もう 一文字も思い出せない プールの底から見上げる空は 7色に美しくゆらめいて すべてを教えてくれているのに それを捉える術を知らない私の肺は  空気が もう すぐ 

          書けない 描けない 言葉が出てこない まるきり文字を忘れてしまった 追われているのに 急かされているのに もう 一文字も思い出せない プールの底から見上げる空は 7色に美しくゆらめいて すべてを教えてくれているのに それを捉える術を知らない私の肺は  空気が もう すぐ 

          ちょっとしたことで 心がポキっと折れちゃう 自分の心に振り回されて くたびれる毎日 もう何も期待しない なんて思いつつ開いたXの 誰かさんのワンフレーズに 心があたたまる ありがとう

          ちょっとしたことで 心がポキっと折れちゃう 自分の心に振り回されて くたびれる毎日 もう何も期待しない なんて思いつつ開いたXの 誰かさんのワンフレーズに 心があたたまる ありがとう

          【短編小説】嫌いにさせないで ~後編~

          「これはひどいな」 お手製マリメッコのバックを手に取って夫が言った。 よく見るとバッグの内側にはボンドが白く固まったまま残っている箇所がいくつもあった。 「本物買ったらよかったんじゃないの?」 お風呂上りの夫が髪を拭きながら言った。 「付き合いだったの!」 「なら詐欺にでも遭ったと思って諦めるしかないな。現物見ないで5,000円の買い物は、パート代を考えると冒険だったね」 髪を拭き終えたバスタオルをバサッと洗濯機に放りこみ、グラスにウイスキーを注ぎながら、私を憐れむように夫は

          【短編小説】嫌いにさせないで ~後編~

          【短編小説】嫌いにさせないで ~前編~

          私の職場は20代~50代からなる女ばかり40人ほどの事務チーム。 知る限り、みんなオトナで、誰もが表向きこれといったトラブルもなく仲良くやっていた。 私のような退屈に弱い主婦にとっては、お金がもらえるというオマケつきの上等なヒマつぶしの場だった。 その日、若い子がひとりやめた。 もともと人の出入りの激しい職場なので、みな反応は薄かったが、私は比較的仲の良い子だったので、彼女の退職を残念に思っていた。 帰りの通勤電車の中、同僚の雅代さんにそう話した。 雅代さんは一歳年上で、

          【短編小説】嫌いにさせないで ~前編~

          【超・短編小説】母の記憶

          「一郎君はね、双子だったの。すぐにね、ひとりになっちゃったけど」 透明ビニールシートの向こう側、車いすに座る母は言った。 母は兄を溺愛してた。 兄が一人っ子でかわいそうだから、橋の下から私を拾ってきた、とよく言っていた。 母は続けた。 「女の子は嫌だなぁ、と思っていたから、女の子が産まれなくてよかったって安心したの」 そばで立って聞いていた夫と息子がクスッと笑った。 今でもたまに母のこの話を笑いの種にしている二人。 私は泣きたかった。 何がおかしくて笑えるのだろうか。 私

          【超・短編小説】母の記憶

          【短編小説】ともだちさがし

          「夫とは別居してもうすぐ2年になるんですけど、失敗したな、って思ってるんです」 小柄で声が小さめの春香さんは、小さな両手に大きなチキンサンドをがっつり握りながら、おっとりしたため息まじりに言った。 「失敗?別居したこと?」 「はい」春香さんは頷いた。 なぜか春香さんは敬語、わたしはタメ語で会話していた。 春香さんの目に私はどう映ってるのだろう?わたしは年齢云々だけでなく、親しみの意味もこめてタメ語でしゃべっているのだが。 「もう顔見るのもイヤで出て行ってもらったんですけど

          【短編小説】ともだちさがし

          【小説】みっともない女⑨最終回

          「返しようがなくてお預かりしていました」 その人はそっと包みを受け取ると中味を確認してハッと息をのんだ。 「拾ってくれたのが、あなたでよかった」 そしてタオルハンカチをわたしに渡そうとした。 「ああ、それ、よかったらお嬢さんに。このキャラクター、好きだって言ってたでしょ?これまだ今日で2回目のほぼ新品だから。ちゃんと洗ってきたし」 その人はタオルハンカチを手にしたまま言った。 「ありがとう。本当にありがとう。でもね・・・」 しくじった、とわたしは思った。 「あ、ごめんなさい、

          【小説】みっともない女⑨最終回

          【小説】みっともない女⑧

          目が覚めるとお昼を回っていた。 空は今日もどんよりと低く曇っていた。いつ雨が降り出すかわからない天気の中、わたしは用もないのにぶらぶらと外へ出ていき、公園のベンチに座った。 昨日の激しい雷雨でまだ乾ききっていなかったせいで、スウエットのおしりがぐっしょり濡れてしまった。みっともなさに輪をかけたところで大したことでもない。わたしはついでにとばかりに背中を背もたれにもたせかけ、上着の背中もおそろいで濡らしてやった。 あの人は今頃、あのロケットを無くしてしまったことを、さぞ嘆いてい

          【小説】みっともない女⑧

          【小説】みっともない女⑦

          家に着いたのは23時過ぎだった。 湯舟に浸かるとそのまま寝てしまいそうだったので、シャワーだけにすることにした。 びしょ濡れの服を脱いで洗濯機へ放り込んだ。パンティーとブラはネットに入れて大切に洗っている。 わたしは下着には若い頃からずっとこだわっている。下着だけは安物は絶対に身につけない。デブには似つかわしくないセクシーで大胆な色とデザイン。紐に巻かれたチャーシューみたいだ、と我ながら思うが、見えないおしゃれだから人から笑われることも、とやかく言われることもない。 自己満足

          【小説】みっともない女⑦

          【小説】みっともない女⑥

          ここから家までは自転車で20分。 雨が止んでいて良かった。 この20分の自転車運動だけでも少しは痩せてもよさそうなのに、わたしは何をしても痩せない。痩せれば少しは顔も見栄えが良くなるのではないかと食事制限を頑張った時期もあったが、薬の副作用の力のほうがはるかに強く、本当に、何をやっても痩せなかった。 美人とまでは望まないが、デブでなければ人生違っただろうといつも思う。 今頃、ステキな旦那様(あの人の顔がチラついた)とかわいい子供たちに恵まれた温かい家庭で専業主婦をしていた

          【小説】みっともない女⑥