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著作権とはなんですかー世界のサイトからー

20年程前に少しだけ特許翻訳を教わったとき、「日本語より、英語を読んだ方が意味がわかりやすいな」と思ったことがある。特許文書や法律文書は特にそういうことがある。母語だからといってわかるとは限らないのだ。

著作権についてたまたま調べ物をしていたら、WIPO(ワイポ;World Intellectual Property Organization)という公的な知的所有権組織のウェブサイトに、以下のようなページがあった。

What is copyright?
Copyright (or author’s right) is a legal term used to describe the rights that creators have over their literary and artistic works. Works covered by copyright range from books, music, paintings, sculpture, and films, to computer programs, databases, advertisements, maps, and technical drawings.
[World Intellectual Property Organization(世界知的所有権機関); Copyright;  https://www.wipo.int/copyright/en/]
著作権とはなんですか?
著作権(もしくは、作者の権利)とは、クリエイターが、自分の文学作品または美術作品について持っている権利を説明するために使われる法律用語です。著作権がカヴァーする作品は、本、音楽、絵、彫刻、映画から、コンピュータプログラム、データベース、広告、地図、技術図面まで幅広くあります。

なお、グーグルで「what is copyright」というワードで検索し、ヒットしたものをいくつか挙げてみる。

What is Copyright?
Copyright is a type of intellectual property that protects original works of authorship as soon as an author fixes the work in a tangible form of expression. In copyright law, there are a lot of different types of works, including paintings, photographs, illustrations, musical compositions, sound recordings, computer programs, books, poems, blog posts, movies, architectural works, plays, and so much more!
[U. S. Copyright Office(米国著作権庁); What is Copyright?; https://www.copyright.gov/what-is-copyright/]

著作権とは知的財産権の一種で、作者のオリジナルの作品を、表現が具体的な形として固定された段階で保護するものです。著作権法では、作品にはあらゆる種類があります。絵、写真、イラスト、作曲、録音、コンピュータプログラム、本、詩、ブログ投稿、映画、建築作品、演劇、ほかにもたくさん!

これはちょっと難しい。特許法もそうだが、アメリカのルールはとても複雑で理解が難しい。著作権法で保護されるためには固定(fix)されることが必要なのである。つまり紙に描かれたり印刷されたり、テープに録音されたりして(何かに固定されて)初めて保護される(やっぱり難しい)。

What is Copyright?
Copyright is one of the main types of intellectual property. It allows the copyright owner to protect against others copying or reproducing their work.
[Copyright Licensing Agency; Copyright; https://www.cla.co.uk/what-is-copyright]

著作権とは主要な知的財産権の種類のひとつです。それによって、著作権を持つ人が、その作品を他人にコピーや再生されることから守ることができます。
What is copyright?
Copyright is a bundle of rights which visual artists, musicians, writers and video and film makers own in relation to their work. It exists in every kind of creative work you can imagine.
[The Arts Law Centre of Australia; Legal Resources; Raw Law; https://www.artslaw.com.au/legal/raw-law/what-is-copyright/]

著作権とは美術、音楽、文学、ビデオや映画の作り手が自分の作品について持っている権利の束です。その権利は、あなたが想像できるすべての創造的な作品に発生します。
What Is Copyright?
Copyright is the law. While digital technology has made some aspects of copyright more complex, knowing the basics can help you to use material legally and to protect your own creative works.
[PRESSBOOKS; https://researchroadmaps.pressbooks.com/chapter/what-is-copyright/]

著作権とは法律です。デジタル技術が著作権のある面をより複雑にしてしまっていますが、その基礎を学ぶことは、それを法的に問題なく利用することや、あなた自身の創作した作品を守ることに役立つでしょう。

著作権法についてはもちろん、各国で制度の違いはある。しかし著作権が何かという点については、大きく変わることはない。上記の説明だけでも、著作権という言葉のイメージに、かなり色味がついてくるのではないだろうか。

私自身は、日本語でネットで読めるような「わかりやすい著作権法」という説明を読んでも、未だにピンとこないのである。WIPOの説明を読んで初めて気づいたのは、「著作権という言葉がそもそも法律用語」ということであった。つまり、誰もが知っている言葉を使うのではなく、法律用語を学んだ人が、そうとは言わずに説明しているために、説明を受けた方はわかったようなわからないような、なんとなくもやもやした気持ちを持たされてしまうのだ。なお、ウィキペディアの著作権の項は、「著作権(ちょさくけん、英語: copyright、コピーライト)は、作品を創作した者が有する権利である。また、作品がどう使われるか決めることができる権利である。(※1)」とあり、注釈によると福井健策先生の定義のようだが、わかりやすい。だが、ウィキペディアの性質上、これをそのまま利用していいかどうかという不安な向きもあるのではないか。

上記のように、公的・私的組織に関わらず、いくつか拾い読みしただけでも、「What is copyright?(著作権とはなんですか)」という問いに、まず「〇〇です」とまず答え、そのあとに説明を付加している。文化庁や著作権団体(※2)、専門家による説明も、こういう説明の仕方を取り入れることも必要なのではないかと思った次第である。

注 訳はすべて拙訳。日本の著作権法上の用語と厳密に対応させずに、あいまいだがイメージしやすいと思われる言葉で訳してみました。
※1 ウィキペディア「著作権」、最終更新 2021年10月1日 (金) 05:09 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
※2 公益社団法人著作権情報センター(CRIC)の公式サイトの英語ページでも「What is "Copyright"?」の記載がある。答えは「Copyright, A Rule For Everybody, Needs More Public Awareness & Respect.(著作権は皆のためのルールであり、一般の注意と敬意をさらに必要とするものです)」とあった。誤りではないが、他の法律にも当てはまる。
https://www.cric.or.jp/english/qa/begin.html

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