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【詩】開花

山を越えて
はるかにふたり。
父は死に
わたしはいきる。
ほんとうにだましたのは
どっち。
 
雪のように
怨念がつもる。
母の悪戯に
あなたの手がかさなり
わたしは女を
のみ込んだ。
 
激しく乳房を噛まれ
あなたに突き動かされて
薄紅色の
Baby―Gの文字盤が
わたしの咎を
計る。
 
わたしはどんどん
まあるい林檎になる。
苦しいような
間隙が
体にのこる。
 
円柱は
むなしくそこに立つ。
また一匹
蛇を
殺した。





              詩集「スパイラル」
               モノクローム・プロジェクト刊
                     2017/4/10

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