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夢見る乙女の頭ん中。


いくつまで”乙女”と呼ぶことができるのだろうか。

”少女”とはもう言う勇気はさすがにないが、乙女ならまだ許されるだろうか...。


 昔から妄想ばかりしていたせいか、大人になってもいまだに気がつくとボーっとしている。こんなことならもうちょっと勉強しておけばよかった。大人になっても変わらず怒られているなんて、あの頃のわたしはこれっぽっちも想像していなかった。


 夢見る少女はいつだって恋をしている。現実であろうが、二次元であろうがそんなことはどっちだっていい。ときめく対象が常にいることが重要なのだ。

 わたしの空想パターンはだいたい決まっていて、次会ったときに言うセリフをシミュレーションしておくのだ。


 ***

前回会ったときより、かっこよくなっていた彼。

「なんかしたの?」

「いや、なんもしてないよ」

「うそっ絶対なんかしたでしょ!」

「してないって!」

「だって前より、かっこよくなってる!」

「んな訳ないじゃん」

「いや、絶対なんかした!」

なんて会話をした後、改めてわたしは彼の魅力的なところを探しはじめる。髪型?いや、目かな?うーん...声もいいし、鼻だって高い。


そして、彼が言う。

「もう仕事で傷つきすぎて、恋で傷つきたくないんだ。」


ズッキューーーーーーーン♡


かわいい。かわいすぎる。わたしは彼の髪を撫でながら

「そっか...もう身も心もあなたのものです。」

完全にわたしは敗者だ。彼にはいつだって敵わない。敵わないような彼の背中をいつだって追いかけていたい。現実なんて知りたくもないんだ。


......とまあ夢見る乙女なんてこんなもんだ。こんなバカな妄想を繰り広げられるなんて、端からみれば相当ハッピー野郎に見えるだろうが、そんなことはどうだっていい。この恋のときめきは乙女が乙女だと実感できる、貴重な時間なのだから。


夢見ている場合じゃない現実よ。

どうか、もう少しあと5分。乙女でいさせておくれ。





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