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覚えることを、あきらめた。


「なんっっっで、覚えられないんだろう...」

 改めて、わたしに社会的価値なんてあるのかな...。音大を出てから妄想に妄想を重ねて、端から見れば現実逃避と見られる行動を繰り返してきたわたしに、何ができるんだろう。考えはじめると、わたしのできることなんて、指を下り数えても人差し指で止まってしまった。

 幼い頃から母から注意を受けすぎて、自分が興味のない話は受け流す。相手が諦めるまで聞き流す。そんな能力を身につけてしまっていて、興味のない作業が全くできない大人になった。

 素直ないい子に育たなかった子は、自分で責任を持たなくちゃいけない。あの頃、母の言うことを聞いていれば、ちゃんと言われたことをできる大人になれていたかもしれないけど、どれだけ後悔しても、もう後には引き返せない。過去は過去として、今のわたしにしっかり影響しているみたいだ。

 ぱらぱらと過去の手帳をめくりながら、友人に言われたことばを思い出していた。当時、短期間だけ担当だった先生に恋していた。友人が「ほんま漫画に出てきそうやな」と言い、先生を見るたび、にやけてヘラヘラしていた当時のことを、ちゃんと思い出せた。先生の名前はどう頑張っても思い出せそうにないけれど。先生に恋していた事実はちゃんと思い出せている。


 心からあきらめられたとき、わたしたちはまたあたらしい1歩を踏み出せるのかもしれない。



#コラム #エッセイ #恋




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