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詩、あるいは自由律俳句のようなもの。

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長さじゃないよ。人生は。
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ちぐはぐ。

ちぐはぐ。

如何様にして、こんな風になってしまったのだろうか。
思い出せば、何時だってそうだった。物事が万事順調に運ぶことを夢想しているだけで、実際には一つとして上手くいったためしはない。
外面がいいような振りをしているが、事実はかようにただの内弁慶にすぎぬ。

煙草を喫むようになったのは何時の頃であっただろうか。多くの人にある様な大きな切っ掛けというものは自分にはなかったように思える。
何か強い緊張状態にあ

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穴の空いた靴下すらも捨てられずに

不死身

不死身

ひょんなことからサポートでギターを弾く事になった。思い出せば、ギタリストとしてバンドをやるのは久しぶりだった。
大学一年の頃にいたバンドでは、今よりも大分下手なギターをドヤ顔で弾いていた。少し齧ったくらいの時が一番自信があるのは世の常だ。

今になっても、立ち止まって考える事がある。どこかに落としてきた初期衝動みたいなものを、いつか拾いに行くべきなのか否か答えが出ずに頭を抱えている。
この間、吉祥

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雨と、酒と、風にやられて。

雨と、酒と、風にやられて。

予防線を張っている。
僕はあまり人に興味がないような顔をしているが、実際のところどうなのか、というのはどうやら自分でも分かっていない。

基本的に、僕は人に質問をしない。それはきっと、自分が質問されたくないからだ。
「人にされたくないことをしない」というよりは、「自分が嫌な思いをしたくない」という自己中心的な理由の方が大きい。
「嫌なことなら答えなければいいじゃないか」と思うかもしれないが、残念な

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わかってるようなフリしてる

わかってるようなフリしてる

「人はなぜ生きるのか」なんて疑問が浮かびはじめたのはいつだっただろうか。大人でも子供でもないような、ふわふわした中学生くらいの時にふと、思ったのかもしれない。

答えが出たわけではない。正解があるかどうかも分からない。ただ、回答を保留したまま大人になってしまっただけだ。

自分に子供でもできれば少しは変わるのだろうか。そもそも生きる理由など必要なのだろうか。かと言って別に死ぬ理由もないのでただ日々

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一瞬で進む日々だからこそ

いい加減にスマホを新しくしたいと思っている。通常使用する分には特に不便を感じているわけではないが、ロックを解除すると勝手に音量が最大になるという聞いたことのない類のバグが頻繁に発生していることや、人に「写真を撮ってください」と言われた時に上手く扱えないなど、そろそろ時代に追いつきたくなってきたのだ。
スマホ業界の現在の目玉は目下「5G」。大容量、低遅延、同時接続。これからの時代は今まで時間をかけて

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そうかなあ

そうかなあ

小さい女の子にお母さんが言っていた。
「なんで画用紙いっぱいに描かなかったの」
女の子はだんまりだ。
「お面を作りましょうって言われてるんだから、お顔を大きく描かなきゃダメでしょ?言われた通りにやらなきゃ」
お母さんの声だけが響く。

道端でふと覗き見る他人の人生。
僕は、「そうかなあ、好きに描けばいいんじゃないのかなあ」とも思うが、多分そんな簡単な話じゃないだろうし。
「求められているもの」に対

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Quatre

キャッチが「何かお力になれませんか?」と声をかけてきた。
お前の力を借りて全部うまく行くならそうしたいけどな、と思った。

暗い路地裏でマッチを擦った。
明るくなる前にタバコの先に近づけた。

地下から喧嘩の声が聞こえてきた。
火事と喧嘩は江戸の華。
春の陽気に包まれて 暁を覚えないまま日は過ぎていく。

春はあけぼのというが、未だに夜は更けていくだけ。
ため息ひとつ、手のひらふたつ、言い訳みっつ

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