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植物を育てられない話/風の時代

昔から植物がどうも苦手だ。
グリーンのある暮らしに憧れはするものの、育ててみようとはならない。

20代のとき、プランターでミニトマトを育てた。
採れたてのトマトはみずみずしく、そのおいしさに感動した。
その後ミントやパンジーなどの花を育てたときに、やたら大きくなって扱いに困った。
生命力の強さに圧倒されたのか、なんだか辛くなった。
それ以来、私は植物を育てるのをやめた。

話は変わるが、20代のころ、私は結婚したいと思っていた。
婚活を積極的にしたし、30までに結婚して子どもを産みたいと口にしていた。
しかし、いざ可能性のある人が目の前に現れるとなんとなく気が引けて結婚へと進むことはなかった。
そもそも本当に結婚したいと思っていなかったのかもしれない。
周りがどんどん結婚して出産する焦り、両親の期待に応えなければという思いを、結婚願望と勘違いしていたのではないだろうか。

30代半ばを過ぎた今、複数名の男性と同棲を経験した結果、私は人と一緒にいることが難しいと実感した。
ずっと一緒に過ごしていると、相手のことを大事にできなくなってしまうからだ。
ある程度距離があり、相手のことを思いやれる。
本音を話せるけれど、家族ほど近くなく、他人より近い。
私が求めているのはそれくらいの関係性の人らしい。
よほどのことがない限り、これから先結婚を望むことはないだろう。
付き合うことや、その可能性がある行動はしない。

「根を張る植物」と「結婚」

結婚は昔よりライトなイメージに変わった。
離婚やバツイチは珍しくない。
それでも、やはり付き合うだけの関係とは重みが違う。
結婚は植物が根を張ることと似ている。

私はいつでも好きなときにやりたいことがしたい。
好きなときに望む場所へ行きたい。
人に合わせない生き方がしたい。
それが私が考える幸せであり、理想の人生だ。
固定化した関係性は、自分の幸せを妨げるものでしかない。
植物への苦手意識は、自分のそのような本質的な部分を表していたように感じる。

巷では風の時代だと耳にする。
明日、何が起きるかわからないからこそ、毎日を最高の一日にしたい。
理想の人生に一歩でも近づく明日になることを願って。

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