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自分が「知らない」ものは「選べない」

わたしが会社をやめて独立を決めたのにはさまざまな理由がある。

声優という夢をもう一度目指してみようと思ったことや、時間と場所に縛られずに仕事をしてみたかったこと、ひとりでやってみたかったこと。

でも、わたしが「フリーランス」になった一番大きなきっかけは、単純に「知った」からだと思うのだ。

それまでのわたしの人生には、「フリーランス」という言葉がなかった。

社会人を「会社で働いている人」と「そうでない人」と大きなふたつの括りでしか見ていなかったのだ。

会社で働いている人というのは、自分のまわりに1番多い人だった。というか大抵そんな人しかいなかった。「自分で起業して会社を作って働いている人」もこのなかに含まれていた。とにかく、働く=会社で働くことと同義に等しかった。

一方で、「そうでない人」は、わたしの母のような専業主婦の人や、声優として活動している友人や、なにか目的のためにアルバイトをしている人などだと考えていた。

冷静に考えれば声優やアルバイトをしている人も「フリーランス」の括りに入るのだが、夢を追いかけながらコールセンターでバイトをしている友人を見て、「自分はそこまで腹を括れないな」と尊敬の眼差しで見ていた。

そんな、当時「会社」と「家」と「大学時代の友だち」の3つの居場所しか知らなかったわたしが、初めて社会人コミュニティに入って知ったのが「フリーランス」だったのである。

コミュニティにはもちろん会社員もたくさんいたが、同様にフリーランスもたくさんいた。

わたしは衝撃を受けた。

会社に行っていないのに、会社員と同じくらいの充足感を得ながら働いている人たちがこんなにもたくさんいることが。

当時「会社に行っていない人」の稼ぐ手段はアルバイトくらいしか知らなかったので、どこかに属さずとも個人で大きな仕事が請け負えるなんて夢にも思わなかった。

そして、その人たちが「選ばれし人」というわけでもなかったのが、1番の収穫だったと思う。

わたしと同い年で、MBAを持っているわけでもなく、大企業出身でもない、ごく身近な友人がフリーランスとして働いている。

その事実は、自分の将来の選択肢のひとつに「フリーランス」を加えるのに十分だった。

身近にいるからこそ、フリーランスがどんなスケジュールで動き、どんな仕事をしているのかも、何となく見えてくる。一緒にいるだけで「リアル」が知れるのだ。

そうすると、自分と重ねて考えられるようになる。自分の理想とするライフスタイルと合っているかどうか。自分だったらどう独立すれば良いか。

そうして最初は計画すらしていなかった「フリーランス」になって3年目。なんとかやれている。

「知る」というのは、単に知識を増やすことではない。「知る」ことで、自分の選択肢が増えていくのだ。

「海の見える場所に住みたいな」と思いながらも「湘南」の存在を知らない人は、「そうだ、湘南に住もう!」という考えすら起きず、いきなり沖縄に移住するかもしれない。

「知る」ことは、選択肢を増やすことであり、それによってわたしたちはやっと選ぶことができる。

「こんな働きかたがしたいな」と思いつつ、「フリーランス」のことを知らない人は、「自分にはこれしか道がないんだ」と我慢して働きつづけるかもしれない。

わたしもずっとそうだった。でも、苦しいというよりも、受け入れていた。選択肢がないと受け入れるしかないのだ。

「自分の世界を広げよう」とは言われるが、その所以は人生の選択肢を増やすためなのだ。

そのために私たちは読書をするし、海外をまわるし、いろんな人と出会う。

「別に狭い世界で良いもん、心地よいから」と思う人もいるかもしれない。でも、あなたの知らない最上級の「心地よさ」が、まだどこかには眠ってる。

だから、ひとつのことにこだわらず、いろんなものに触れてほしいのだ。誰でもなく自分のために。

たったひとりの出会いが、たった一度訪れた国が、たった一冊の本が、人生を変えるなんて珍しい話じゃないから。

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