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日はまた昇る

 朝に起床、昼に活動、そして夜には床に着く。そんな当たり前の生活が送れなくなってから、早一年。僕はいつの間にか一日を一食で済ませるようになっていた。
 お腹が空いたからそれを満たすまで何かを食し、気絶するように眠る限界まで活動する。曜日や日にちの感覚はおろか、今が何時なのかも気にならない。そうなると少しずつではあるが色んなことが気にならなくなってくる。

 先週は何もかけていない白米だけを食して過ごした。生まれてから最長の長さに到達した髪は、どうしていいのかわからず暴れまわっている。
 そんなとき、一通のメッセージが携帯に届いた。
『来週、同窓会があるんだけど。佐々木も来れるかい?』
 そのメッセージの送り主は、学生時代に仲の良かった友人。何年か前までは定期的に顔を合わせる間柄であったが、彼から連絡があったのは久しぶりのことだった。

 行けるわけがない、行って何を話せばいいのだろう。朝と夜の区別がつかなくなったことだろうか。それとも生活に困窮して、白米だけを食べて飢えをしのいでいることだろうか。
 きっとその場の出席者は、触れてはいけないものに対する目で僕を見ることになるだけだ。
 それぞれ社会に出て戦う中で、ずっと自分の中から出ることができない異物。そんなものを混ぜてはいけない。

 太陽がビルの間から僕を照らす。一日の終わりを知らせる朝日が昇ってきたのだ。


 

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