見出し画像

「ナッジで変わるあいさつ」〜教師が強制しない挨拶指導法〜小学校

そうじの次の困りごと「あいさつ」


 2学期のはじまり、
「おはようございます」という
朝の挨拶が学級内で少ないことが
気になりはじめました。
私自身、
先生らしい元気な大きい声での
あいさつが苦手であり、
そこまで重要視していなかったことが、
学級の姿として如実に現れていました。
1学期から数回ほど、
「挨拶はできるとよいですよね」
という旨の話をしていましたが、
当然子どもに響くはずもありませんでした。
この「困りごと」も
ナッジで解消できないかと考え、
ナッジのフレームワークを活用し、
次のような手立てを考えました。

ナッジ①目的の共有(transparent)

まずはじめに、
朝の会を利用して、
私自身が明るく大きな声での
あいさつが苦手なこと

子どもたちに話しました。
そして、それでもなお
なぜあいさつを大切にすべきなのか」を
子どもたちと考え、
あいさつの目的を共有しました。
今回は、そうじと異なり、
あいさつは大事だということが
もともと全員腑に落ちていたので、
あっさりと共有を終えました。
(念のため、あいさつをすることのメリットがわかるデータを用意したり、著名人の名言を用意したりしていました)

ナッジ②自己評価の共有(Social)

「あいさつの回数を増やす」
という目標を目指すため、
朝あいさつを
・「ともだち」にできたか
・「担任」にできたか
・「ほかの大人」にできたか
3つの項目にわけ、
朝の会に聞きとる取り組みを
行うことにしました。

①「ともだち」「担任」「他の大人」
という選択肢を提示することで、
「する・しない」という選択肢から
「誰にしよう」という選択肢になる、
初期値の引き上げ」をねらうことができる
②「あいさつ」の可視化をすることで、
「あいさつはできるならばした方がよい」と
いう認知を得ることができる
(できるできないは別として)

以上2点のねらいをもとに、
集計を繰り返しました。
時間としては、
朝の会の1分ほどで
終えることができました。
(詳しくはDM、コメントください)

取り組みのポイント

掃除ナッジと同じく、
挨拶を必ずしなさい、
という強制的な指導は一切しません。

「応援しているね」
というスタンスのみで
毎日聞き取りを行います。
あいさつが苦手な子には、
教師からアプローチをするのも
ありですが、
私は友達同士ですることをすすめています。

ナッジ実践のみそは、
「できる・できない」ではなく、
「できたらいいなぁ」と
ゆるく思える環境を作ることにあります


また、教師自身が大きな声で
ハキハキと挨拶することが
苦手であることも伝え、
声の大きさは人それぞれであり、
互いの挨拶を認め合うことも
大切だと合わせて伝えました。

最初の反応〜1ヶ月後

毎度同じみ、資料作成の極意「まずはシンプルに」です。
行動&継続を最優先とし、その後、
子どもたちの実態に合わせ、微調整するのがよいです。
子どもから意見をもらうこともあります。

取り組み初日、
19人いるクラスで
聞き取り調査を行ったところ、
「ともだち」が2人
「担任」が0人
「他の大人」が5人でした。
悲しいかな、当然の結果です。

しかし、その後、
効果はすぐに現れました
1週間後には
「ともだち」が11人、
「担任」が11人、
「他の大人」が12人
が平均の数値となりました。
この取り組みをする以前、
自ら挨拶をしてくる子どもは
2、3人でした。
こちらから挨拶をしても、
きちんと返事が返ってくる子どもは
数人だけでした。
取り組みを始めたあとは、
驚くほど気持ちの良い挨拶
子どもが自らするようになりました。

導入2ヶ月目


10月では仕組みにも慣れ、
挨拶ができる子どもと
なかなかできない子の
二極化が進みました。
そこで、
挨拶ができると
どんな気持ちになるか、
どんな良いことがあるかを、
子どもと話し合う時間を
朝の会に5回
設けることにしました。
これはいわゆる、
ブーストの役割になります。


以降、
平均の数値に大きな変化は
見られませんでしたが、
今まで挨拶をすることができなかった生徒が
はじめて挨拶をする、という変化が
見られるようになりました。
あいさつをすることのメリットや体験談を
仲間の言葉で聞いたり、話し合ったりする
価値の高さを改めて感じました。

導入3ヶ月目

「全部できた」の項目を追加しただけです。
プラスで子どもの素敵な発言をメモしていました。
イラストや画像を好みで付け足してもいいと思います。
好きなように、やりたいように、何でもOKです。
私の信念は「楽!」です笑


11月、子どもから
「全部できた」という調査項目
増やしてほしいと要望が上がりました。
承諾し、シートに組み込んだところ、
横ばいであった平均値が
20%増加する変容が見られました。
ナッジの案が子どもから自発的
出るというのは非常に望ましい
状態になります。
早くから子どもと話し合う機会を
設ければよかったのですが、
教師としては大方満足していたのが
正直なところでした。
反省するとともに、
子どもの成長を嬉しく思いました。

ナッジで得たあいさつ指導の成果

こうして、
挨拶を「すべきである」という指導を
一切することなく、
挨拶のなかった集団から
自主的な気持ちのよい挨拶をする集団へと
生まれ変わりました。
場面緘黙に近いと言われていた子が
なぜかクラスで1番大きい声で
挨拶をするような変化も
みられました。

そして何より、恥ずかしながら、
私自身が子どもたちに影響を受け、
心からの挨拶ができるようになりました。
教師は「見本であるべき」かもしれませんが、
私は自身が未熟であることを強みとし、
子どもと共に成長できる
教師という仕事の魅力を
本音で伝えていきたいと思います。

同じような先生方の支えとなれれば、
幸いです。

この実践はいつからでも始められます。
指導の流れは至ってシンプルですが、
コメントかDMくだされば、
指導の手順とスプレッドシート
をお渡しします。
質問があればどうぞ。

追加 あいさつナッジver2



この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?