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アオイノゴモン(3/5)――『響け!ユーフォニアム2』における機微の兆候

(メモ) このエントリーは、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』についての考察の連載記事です。全5回の予定で更新は不定期、今回は第3回です。よろしければ、第1回目第2回目からご覧ください。(なお、完結後には一つの記事にするなど手を加えるかもしれません。)

  全体の構成(予定)1.妹の不平、姉の煩悶
2.フシギな笑顔の不穏な安堵

3.笑顔の逸脱 (本エントリー)
(以下仮小見出し)
4.劣等感の在り処
5.葵の5モン(煩悶・疑問・注文・悶悶)

3.笑顔の逸脱

 いま一度、感情(についての考え方)を整理するところから始めてみよう。
 感情というと、人の内面の問題であり、したがって一個人の中で生じるもの……と考えてしまいがちだ。しかし、そもそも感情は、個人のみに起因するものなのだろうか?
「そうではない!」と考える延長線上に、実はすでに見てきた感情規則という見方が成立している。この視点の転換の補助線となる、A. R. ホックシールドの感情社会学に触れながら、もう一度「フシギな笑顔」を見つめ直してみたい(※)。

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