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栄養成分未配合

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最近の記事

消費する権利 ー 懺悔

春にして陰鬱だ。 最近は文字を読んでいる時が一番充足感がある。何か新しいものをと、西村賢太が浮かんだ。信頼する人が好きだと言っていたから。 西村賢太は、『苦役列車』冒頭を立ち読みして買わなかったことがある。その時は濃厚な男臭に当てられて、自分は今は女性の文章が読みたいと気づいたため、確か代わりに今村夏子『あひる』を買った。今は男臭いのもイケそうだと思ったので、何から読もうか調べつつ、ふとWikipediaを読んだ。 生い立ちと経歴に驚いた。そして田中英光についての言葉「田中

    • 大抵の人は趣味なんてない vs ヒマの過ごし方

      全然一切逆張りしてないのに「世間一般」から乖離してしまうのには10代の頃から慣れっこだけど、それでもたまに何故なんだ…と軽く凹む。軽〜くだけど。 だって藤本タツキ『ルックバック』、全然良くないよ!あれは漫画家である自分を自己受容するためのセラピー的なもので、公開当時のクリエイター達の賛美っぷりも寒かった。『さよなら絵梨』は面白いけど、ラスト最高なのにメタ的に皮肉にしてる点が私はこの作者と相性悪いって思ったし、よもやラスト最悪って意見が多いのには驚いた。『チェンソーマン』なん

      • プリミティブな感性

        耳鼻科に行った。安定の外耳炎(今年初) 待合室で小学生姉弟がずっとグリンピースしてた。「グリンピース!グリングリン パリン」というあのワードとメロディを久しぶりに聞いて郷愁に駆られた。キャッキャと声を上げて時に身体を捩り、笑いながら興じるとても可愛らしい様子なのに、微笑ましく眩しくは感じなかった。むしろ胸苦しく切ない気分。グリンピースじゃちっとも楽しめなくなって久しい自分を思ってしまって。 いないいないばあなんかも、小さな子供は全身で楽しさを示す。目をキラキラさせて声を上

        • PERFECT DAYS - 消費できない映画

          以前、『PERFECT DAYS』がとても好きなことと思うところを少し書いたが、まとめてしっかり書き残しておきたいと思う。 この映画ほど、感想を語るとその人が如実に現れる映画はそうないと思う。それがとても興味深くnoteでも多数の方のテキストを読んだが、想像以上に多種多様で驚いた。 私は、平山の暮らしを安易に称賛することも批評することもとても烏滸がましくてできない。平山という存在に軽々しい態度や上から目線の物言いをしたくないのだ。前回も少し書いたが、『PERFECT DA

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          神の鬼気、45歳

          天神に行った。所用済ませてドトールでアイスコーヒー飲みながら三島由紀夫『レター教室』読む。佳境でグイグイ面白い。隣の20代後半位の女性はiQOS吸いながらYouTubeをずっと神妙な面持ちで観てた。女性が何やら語っている動画。 本日のメインイベント『楳図かずお大美術展』に向かう。三越の9階までエスカレーターで登った。平日の昼間とはいえあまりに閑散としてて驚いたが、9階に着いてもっと驚いた。なんと目の前はDAISOだった。三越だよ!?三越の最上階の結構な面積がDAISOで、し

          神の鬼気、45歳

          映画に行くという体験

          無料公開の漫画を読んでたら、こんなシーンがあった。「明日映画行かない?」「行こう行こう!」と誘い合わせ、映画館前で「なに観る?」「どれでもいいよ」と。私はこの描写にびっくりしてしまって。何を観るか決めずに出かけて、その場で適当に選んで観るなんてことあるの!?って。 その話を夫にしたら、やはりすごく驚いてて。「あれ観に行かない?」「いいね!」というのしか経験ないと。どうやらこの世には、"一緒に映画を観に行くという体験"が大事で、その内容は問わないという文化圏もあるらしいと夫婦で

          映画に行くという体験

          繰り返し/飽き

          ひとつ前の記事は病み散らかしてて恥ずかしい。あれを書いた時の死にたみからは脱却したけど、相変わらず先々考えた健康的な生活はしていない。何せアップダウンある双極性障害だし、享楽的な性格なので「丁寧な暮らし」とか全然できない。 もちろん嫌味じゃない。むしろコンプレックス。ルーティンが苦手なのだ。長年、躁と鬱に付き合わねばならなかった中で、それぞれの時期の特性を利用しなければ飼い慣らせなかった。だから毎日同じようには、したくてもできない。 映画『PERFECT DAYS』が好きだ

          繰り返し/飽き

          すべからく死にたい。ここ最近ずっと欲がない。なんもしたくない欲しくない。美味しいもの食べたいとか一切ない。空腹の不快さを解消する行為以上のことしてない。でも仕事じゃない絵を描けてて、絵を描いてる時間だけ充実してたから保ててたけど、昨日とうとう自分の絵が1ミクロンも価値ないクソにしか思えなくなって全く描けなくなった。詰んだ。 読みたいものをすぐ手に取れるようにしてるのに、どれにも手が伸びない。しんどい時って、紙媒体がダメになる。スマホやタブレットでは文章もマンガも読めるのに、

          監視日記

          日記を読まれるということについて思い出がある。小学4年の林間学校の時、毎日日記を書くことが義務付けられていて、翌日には教師が一言書き加えて返却してきてまたその日のことを書くという規則があった(今思えば毎晩生徒の日記を読む職務を課せられた教師に同情する) 私は飯盒炊爨でカレーを作った日の日記に「みんなが『カレーの人参が大き過ぎたせいで固い』と私に言ったけど、人参を切ったのは私ではなく藤川さんだったのに…」と書いた。 翌日の朝食の場で、背後から私の名前を発する声が聞こえた。咄嗟

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          代表作じゃない偏愛作

          しんどいな。今年はしんどいこと多いし、SNSは特になんだかしんどいや。赤毛のアンの逆が簡単にできちゃうよね。「悪いこと探し」したくなくても見つかっちゃう。 芦原妃名子先生は『セクシー田中さん』は未読だけど『Piece』が好きだったと思い出して、ふと気づいた。話題作の前のちょっと地味な作品が好きなケースが多いことに。敢えてマイナー作を選んでる訳じゃないのに、なぜ私は代表作以外が好きなケースが多いんだ…。という訳で、それらを思いつく順に列挙してみる。代表作より後の発表の作品もある

          代表作じゃない偏愛作

          巡る因果

          2018年9月の日記 加筆修正版です 仕事帰りのバスで山田花子に関する膨大な量のテキストを夢中で読んでた。 いじめられっ子漫画家 山田花子の『隠蔽された障害』をめぐるレポート by 虫塚虫蔵 凄い。情報量も熱量も凄い。熟読。私は割と過集中タイプなので、それこそ激烈熱中集中して読み耽ってた。 ふと、隣の男がワサワサ動いて、なんか独り言とか「おふおふ」変な声も出してるのが聞こえるということに気づいて見てみたら、こっちガン見しながら、膝の上に乗せた荷物で隠しつつガンガン手淫し

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          抱負スピリット

          昨年末、新年の抱負みたいのを、サワー呑みながらXを眺めつつぼんやり考えてた。まず浮かんだのは、自分の年齢。気づいたらいい歳。(いい歳の「いい」って皮肉?肯定からの否定?)ともあれ、どんな風に歳を重ねたいかということを、いい歳して初めて考えた。 真っ先に浮かんだのは野宮真貴。絶対にあんな風になりたくないと思った。私はフリッパーズ・ギター + 小沢健二とCorneliusが好きなので勘違いされるが、実は他の渋谷系と呼ばれる人達のことは特に好きじゃなかったりもする。90年代当時は

          抱負スピリット

          痕跡

          髪を切りに行った。 今回はパーマなしにしたのだけれど、切ってみたらトップにボリュームなくてイマイチだった。パーマかけるべきだった。近いうちにまた行かねばだ。 トップ画像を偶然見た時から、アンチトラガスにほっそ〜いゴールドをフィットさせたい欲が燻ってるからピアススタジオへ寄った。店主は、20代に足を踏み入れたばかりかあるいはまだ10代の女の子2人に対応している最中だった。片方の女の子が開けるためのファーストピアスをキャイキャイ選んでいる。程なくして決まり、奥でサクッと施術。連

          思い出写真の思い出

          小学校卒業の時に、文集だかなんだったかの表紙絵を描いた。 私は学年で絵が上手い子と認知されていて、運動会とか何かある度に何かしら描いていた。卒業記念としてみんなで大きな貼り絵を作成する、その原画なんかも描いた。だからまあ当たり前のこととして普通に描いていたのだけど、ふと気づいたらヤバいものが仕上がっていて、真っ青になって母に見せた。 描いている時に考えていたことは薄っら覚えている。 卒業記念かあ、思い出だよね、写真とか描こうかなと。 ただ、なぜか最終的に蝋燭が登場して、思い出

          思い出写真の思い出

          Cornelius 夢中夢ツアー 帰宅テンションのままありのまま

          Cornelius 夢中夢ツアーが凄すぎました… 冒頭画像は、開演前にスクリーンに流れていた映像の切り抜き。美しい鳥たち(しかし顔がない)が、エモーショナルに羽ばたく様子に、様々な音楽が流れていました。(後述追記予定未定) 開演 鳥たちと同色の、夢を想起させる不定形な雲や煙、霧のようなもやもやからメンバーのシルエットが映されて幕が開く。 1曲目 火花 はい、泣きます。泣く。なんでかなんてわからん。もはや開演前の映像とSEから込み上げていたんだから仕方ない。圧巻。VJも良い

          Cornelius 夢中夢ツアー 帰宅テンションのままありのまま