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私たちのポジティブサムはどこだ

高校からの友人に、強く勧められてこの本を読んだ。

彼女が特定の本を推すのは稀なこと。「必ず、みみこにも刺さる」と言ってくれたので、数多くの積読を追い抜かして早速手に取った。

結果、めちゃくちゃ刺さった。どこが刺さったのか。

小さな望みを叶えたいだけなのに

それぞれのキャリアも、二人で歩む人生も、諦めない。

INSEAD准教授が、26歳から63歳まで、日本を含む32ヵ国113組のカップル(同性カップル、事実婚、再婚含む)を調査。子育て、転勤、キャリアチェンジ、介護、退職、子どもの自立……人生100年時代、キャリア志向の二人に立ち塞がる3つの転換期と、その乗り越え方を説く。

※デュアルキャリア・カップルとは:二人とも自分の職業生活が人生に大切で、仕事を通じて成長したいと考えているカップル。

Amazon 書籍紹介より引用

私と夫は結婚10年目。これまで多くの衝突を繰り返してきた。他のご夫婦と比べる話でもないと思うが、夫婦喧嘩の数は多いと思う(小さなものも含めると月に1回ペースなので、通算120回……? ちょっと反省)。

恋愛結婚だからお互いに納得して結婚したはずなのに、なぜこんなに衝突が多いのか。

私たちが歯に衣着せない物言いをする関西出身の人間であるということもあるが、最大の要因の1つは、お互いのキャリアの両立の難しさにある。

夫は海外志向が強く、駐在を望む会社員。所属する会社は旧態依然の日本企業だ(いわゆるJTC)。

夫の企業が思い描く駐在員の妻の役割は専業主婦。家庭に入って、家事と夫のサポート、育児に邁進する。そのように福利厚生は設計されているし、職場の雰囲気も醸成されている。

要は、妻側のワンオペが当たり前の世界なのだ。

が、しかし。結婚しちゃった相手、つまり私は職業人としてキャリアを積みたい人間だったのだ。そりゃあ、衝突は自然と多くなる。

私はバリバリ稼ぎまくりたい!というタイプではない。月に10〜20万円を自分の好きなことで稼げればうれしいな、くらいの心持ちである。

そんな小さなことがとっても難しい。

ゼロサムじゃない考え方

この本は、各国夫婦の成功例と失敗例を列挙し、夫婦2人が同時にキャリアを築くための考え方の要点がまとめられている。

おもしろいことに、どの国でもぶつかるポイントは同じだったりする。読みながら「私たちだけじゃないのか」と安心してしまった。

特に印象に残ったのは、この考え方だ。

おおまかにいって、カップルが自分たちの関係と捉えるときの考え方には2種類ある。ゼロサムか、ポジティブサムかだ。

デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

ゼロサム思考は要は0か100かの思考法。前々から知っている概念だったが、このポジティブサムは初耳だった。

二人の関係をゼロサム思考で捉えるカップルは、キャリアや人生の選択を二人で分ける1つのパイのように扱う。一人が大きく切り取れば、もう一人には小さな切れ端しか残らない。(中略)自分たちの関係をポジティブ思考で捉えるカップルは、キャリアや個人の選択をより大きなパイをつくるチャンスとして扱う。

デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

私は常に、「夫の頑張りや挑戦を応援したいけれど、そのためには自分のキャリアを諦めなければならない」と思ってきた。けれど、そうではない考え方があった。彼の活躍を自分に還元できる方法は?と考える視点だ。

もちろん一朝一夕に、「じゃあ海外赴任地で仕事を見つけよう」と簡単に考えて行動できるものではない。

現状の在宅ワークでは夫が家にいなくなればなるほど、私の稼働時間は少なくなる。結果、収入も経験値も減ってしまう。

でも、言葉を紡ぐことはできる。

この海外生活をどう自分の人生の糧とできるのか、居住地や人間関係を定期的に刷新しながら何を感じ、言葉に残せるのか。

これは書くことでお金をいただいている身としては、非常に興味深い問いである。今は収入に結びつかなくとも、ゆくゆくはキャリアにもつながっていく気がしている。



本によれば、キャリアを求める夫婦の転換期は3つあるという。

【デュアルキャリア・カップルの3つの転換期】

●第一の転換期(主に20~30代)転勤、出産、介護、転職、起業……大きなライフイベントと二人のキャリアとの両立、どうしたらうまくいく?

●第二の転換期(主に40代)キャリアや人生、このまま進んでいい? 中年の危機に、お互いに変容をサポートしあえるか?

●第三の転換期(主に50代以上)退職や子供の自立を経たいま、わたしたちは何者なのか? まだ続く人生を、二人でどう生きる?

Amazon 書籍紹介より引用

私は今、30代なのでどうやらあと2回。

夫婦2人のポジティブサムの着地点を探しながら、残りの転換期をお互いを無駄に傷つけることなく、キャリアをゆっくり、着実に育てていきたい。

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