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わたしの死生観 ~フジ子さんの話7~あとがき

関西に拠点をおくわたしがたまたまやって来たタイミングで、関東では桜が満開を迎えつつある。

年に一度だけの、大好きな季節だ。それなのに。


毎日、ニュースを見ると気が滅入る。

世界中で、人類は新たな敵との闘いをはじめたらしい。


いつの間に。

それは皆が参加することになったらしく。

いったい誰が決めたんだろう。


人間同士の戦いにはNOを突きつけるひとがたくさんいるはずなのに、この闘いには初めからYESしか用意されていないかのような口ぶりで。

それはいつか、世界が戦争に巻き込まれていった過程とまるで同じようで。


NOという奴は非国民?

お上の決めたことに従え?


わたしは、争いたくない。

共存の道を探しながら、日々生きていたい。


もちろん、共存など甘いのかもしれない。

淘汰されるものも当然、ある。

それが自身であるのなら、それは自然の摂理なのだ、と受け入れるつもりだ。


けれど、守りたいもの、譲れない想い、この世界に生きるすべての生き物ひとりひとりに物語がある。


その物語をすべて尊重していたら、世界は混沌を極める。


多数派の声に合わせるのが、民主主義のやり方で。

わたしたちは、人間、という種族だから。


この限られた資源、地球という容れ物の中で。

いつの時代も種を絶やさぬために、争いが起きる。

ーーーーー

声高に、言うつもりはなかった。

この声を聞くまでは。


『外出を自粛すべきだ』

『家にいろ』


『来年も桜は咲く』


来年も?

ああ、そうだ。きっと来年も、桜は咲く。


けれど、それをあなたが見ることができるなんて保証がどこにある?


あなたに『外に出るな』と強制するその声は、いったい誰のもの?

いま、しか見られない桜を見たいと願うことは、そんなにも大きな罪なのだろうか。

誰かの声に従って生きて、明日死んでしまっても、後悔せずにいられるのだろうか。


わたしは、わたしの内なる声に従って、生きる。

だってこれは、わたしの物語だ。


愚かだと笑われても、たとえ罰を受けることになっても。

わたしの身体は殺せても、魂を殺すことは誰にもできない。

ーーーーー

この世に生きるひとの数だけ思考が生まれ、そのひとだけの正解がある。

誰の正解も否定しない。


ただ、わたしはわたしの物語を生きる。それだけだ。


それが、あのひとに教えてもらったこと。

それが、死んだと思ったあの日に感じたこと。

わたしが生きてきて、見てきたすべてのものに、教えてもらったこと。


今日という日を積み重ねて、ひとは生きる。

明日があるなんて、思わない。

今日を生ききること、それができてはじめて、明日へとつながる。


生きろ、わたし。

今日を、生ききれ。


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このお話のあとがき、としてはずいぶん強いメッセージになってしまったような気がする。

けれど、わたしはこういう人間で。


強すぎる想いがあるからこそ、口に出す時にはできるだけ、やわらかいことばで伝えていきたいと思っている。

普段なら。


それができない時もある。


これを読むことで、あなたの正解を否定されたように感じるひともいるだろう。

わたしなりに、できるだけ誰かを傷つけることがないよう、気をつけて生きている。

だけど。


自分を殺してまで生きようとすることは、わたしにはできない。


ひとは、しょせんエゴの塊で。

もし、自分を殺してでも生きようとしているひとがいまここにいるなら、それはもうやめようって言いたい。


あなたがあなたを殺しても、あなたが誰かを殺すのとそれは変わらなくて、決してそれによって救われることはない。


あなたを救えるのは、あなただけ。

まずは殺そうとしているいまの自分を、救ってあげよう。


あなたが生きようとすることを否定するものすべてを、否定してもいい。

誰に何と言われようと、自分が生きることを優先させていい。


だってそれはあなたの物語だ。


あなたにしか描けない物語を捨てて、生きていくことを選ぶのは、すでに死んでいるに等しい。

自分で自分を殺すのは、やめよう。


誰もが、思うように生きていい。

めいっぱい生きようとして、その結果死んでしまったとしても、あなたが生きた事実は消えない。


どうか、この世界で生きることを選んだなら、自分の声に従って、生きたいように生きてほしい。


誰かの大きな声に惑わされることなく、いつも耳を澄ませて聴いてあげてほしい。


胸の奥からかすかに聴こえる、自分の本当の声を。


サポートというかたちの愛が嬉しいです。素直に受け取って、大切なひとや届けたい気持ちのために、循環させてもらいますね。読んでくださったあなたに、幸ありますよう。