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wk 6 / ノルウェーのワークライフバランス

みなさん、どのように考えますか?

私はノルウェーの首都オスロのITスタートアップ企業にて、プロダクトマネージャー(PM)をしています。

私自身が今週から3週間の夏休みに入り、今回はワークライフバランスについて書いてみようと思いました。

ノルウェーで働く会社員の就労

一日の就労時間は7.5時間で、8時から16時(30分のお昼休憩)が一般的です。フレックス制のある会社が多く、コアタイムを設定している会社は9時から15時が多いのではないでしょうか。
残業しない社員が多く、私自身の経験では、今のスタートアップ企業に転職する前、多国籍企業のノルウェー支社に2年半ほど勤めていましたが、残業時間は合計3時間ほどでした。
ただ、もちろん、企業や業界によって、繁忙期や働き方が異なります。

ノルウェーでは多くの人が、学業と結びついた業界や職種で働いています。例えば、物流企画のポジションであれば、物流の学位を取っているのが自然です。比較的大きな企業では新卒採用という枠があるものの、専門性が最初からあるとみなされ、その専門性に特化した業務が課せられるため、日本のように新卒採用の同期で合同研修などが定期的に行われたり、部署替えなどは珍しいかと思います。

アフターワーク

小さい子どもがいる人は、仕事を早めに切り上げて幼稚園に子どもを迎えに行きます。ちなみに、私たち家族の場合で言うと、利用している幼稚園の閉園は17時なので、17時に仕事を終えていたのでは間に合いません。そして簡単なご飯を作って食べ、19時前に子どもの寝かしつけです。それ以降は仕事の続きや、勉強、趣味(私は編み物やパン焼きなど)などして、22時頃に就寝。
子どものいない人や、小さい子どものいる人でパートナーに任せて遊べる人は、仕事の後、バーに行ったり、カラオケに行ったりします。が、ノルウェーでおいしいものが食べられるレストランはお高く、お酒も高いので、誰かの家に行ってご飯を食べたり、お酒を飲むこともあります。
ただ、日本ほど気軽にアフターワークで社員同士が遊ぶということはあまりなく、それぞれ趣味や家族との時間に使っているように思います。

ノルウェーで働く会社員の休暇

ノルウェーでは一般的に25日の有給休暇を取る権利が与えられます。学校の先生などは30日。これに加えて、会社員本人及び子どもを看るための傷病休暇などがあります。また、福利厚生の良い会社や業界では、30日が標準であったり、バースデー休暇やファミリー休暇など休暇が追加されることもあります。

私の勤めるスタートアップ企業では、とりわけ特別な休暇が用意されているわけではありませんが、上司やチームに相談の上でフレキシブルに休暇を取ることができます。
例えば、今回の3週間の夏休みは、その期間をフルタイムから20%のパートタイムに切り替え、社外社内のミーティングには一切参加せず、仕事内容は20%でできる優先事項のみとしています。また、仕事時間は私にとって時間の都合がよい時間に自由に働くことができるので、休暇中の旅行プラン等に差し支えることもありません。
つまり、3週間休みを取りつつ、休み明けに仕事を大量に抱えるリスクも少なくなるわけです。
以前勤めていた会社では、有給休暇を使いきれるように上司が配慮してくれたものの、会社員がイニシアティブをもって休暇の取り方を交渉していることはなかったので、会社のカルチャーの違いを感じています。
また、有給休暇を使いきった後も、休暇を無給でとる人は多くいます。

3週間連続の休暇

そもそも、なぜ3週間も連続で休みを取るのかというと、私も取りたいわけではなく、むしろ短い休暇を一年に何度か分けてとりたいわけです。
ノルウェーでは、6月から8月にかけて夏季休暇を取る社員が多いですが、学校や幼稚園の先生も同様に夏休みをとるため、幼稚園も休園となったり、連続で数週間休みを取らなければならなかったりするため、会社員も同様に数週間連続でお休みを取ることになるわけです。自分が独り身であっても、営業先やサプライヤーの担当者が休暇を取っていると、仕事はほぼ進みません。(緊急性の高いサービスを扱う企業でなければ、あまり代理担当者がいるということもないかと思います。)
こうして、夏の間、社会全体の時間の流れがのんびりとなるように成り立っているわけです。
私の場合は、子どもの幼稚園の休園が理由で、3週間連続の休みを取得しています。

ワークライフバランスを考える

私の以前の同僚が30歳を迎え、その歳の目標は何かと聞いたとき、『ワークライフバランスを整えること』だと言いました。
彼女は私が今まで出会った中で、おそらく最もコミュニケーション力が高く、法律家としても活躍し、非常に優秀で、何より彼女のプレゼン力と言ったら筆舌に尽くしがたいのですが、その彼女の目標が『ワークライフバランスを整えること』というのだから、これは凡々な私であろうと、非凡な彼女であろうと、関係のない課題なのだと思いました。

そんなワークライフバランスですが、自分のワークライフバランスを整えるにあたって、以下を考えてみるのはどうでしょうか。

  • 自分の毎日の生活が心地よいのか?

  • 自分の大切な人達は自分がいる環境を心地よいものと思っているのか?

ここで難しいのが、答えがYes, Noではないことが多いこと。
そこで、時間の使い方が尺度のひとつになるのではないかと思います。私の場合は、就労時間と簡単な記録をとることで、家族や友達との時間を確保しています。
仕事に関する勉強や、仕事関係のコミュニティに使うプライベートの時間もありますが、やはり家族や友達との時間を意識しています。
また、仕事からの精神的な疲労がたまってきたときには、就労時間の記録をみて自分のキャパシティ管理ができるようになり、上司やチームと具体的に話をすることができます。

また、上の質問に対しての答えがNoであった場合、個人で解決できる場合とそうでない場合があります。例えば、職場環境を例に挙げると、

  • 上司やHRが話を聞かない

  • もしくは話せる環境をサポートしない

  • もしくは話を聞いても具体的に対策が見受けられない

  • 恒常的にチーム全体の残業(自分のキャパ以上の業務量)が恒常化している

このような場合だと、自分ができることをするという意識を持って働きつつも、職場環境を変えること(転籍、転職)を前向きに考えたほうがいいかもしれません。
なぜなら、環境を変えることへのリスク(給料が下がるかも、福利厚生悪くなるかも、研修期間に首になって無職になるかも、など)よりも、環境を変えないことへのリスク(身体的もしくは精神的な病気にかかるかも、大切な人が離れていってしまうかも、など)が大きい可能性があるためです。

もちろん、それぞれのリスクの大きさは、自身のスキルセットや大切な人との関係などによって異なるので、一概には言えませんが、現状維持にもリスクがあるのだということを書いておきたいと思いました。

これは、新卒の会社を転職する際に、その当時の上司からの教えでもあり、大きな判断をする際には必ず取り入れる視点です。

まとめ

今回はノルウェーでPMとして働いている私の見聞を基にしたノルウェーでのワークライフバランスの紹介と、ワークライフバランスに関する私の意見を述べてみました。
賛否両論あると思いますが、すべての人が様々な形で社会に貢献している今日この頃、ワークライフバランスの難しさを感じている方にとって少しでもサポートになれば幸いです。
また、日々変わる社会及び生活環境の中で、最適なバランスを保ち続けることは容易ではないと思います。私自身も、皆さんから学び、試行錯誤を続けます。

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ノルウェーに引越しました! 最近右が分かるようになってきて左はまだわかりません。 サポート、ありがとうございます!