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「人当たりがいいだけの人」を見抜いた息子の審美眼を信用しているって話。

ムスコは小学校5年生の冬休みに、とつぜん、
「中学受験したい」といった。
幼稚園のころから、ちょっと変わった子だったので、ヘンテコなことをイイ出してもあまり驚かなくなっていたけど、これはちょっと驚いた。

それに、うちがいくら東京郊外だっていっても、受験のルールは全国共通で、5年生の冬休みに始めるなんて、秀才か 天才か 巻き返せるほどの集中力の持ち主にしか、ありえないお話なのは火を見るより明らか。

そのころ、ムスコは河合塾に通っていた。
河合塾は学校の授業に沿ったお勉強がメインで、受けていたのは国語と算数だけ。
ムスコがとっても懐いていた塾長に相談したら、
「受験するならウチではないです。中学受験専用の塾に替えたほうがいいです。オカシナ意見に聞こえると思うけど、移って下さい。」
ムスコは塾長にとってもかわいがってもらっていた。
だから、塾長との別れに泣いたくらいだったけれど、ワタシタチはお世話になった河合塾に別れを告げ、中学受験用の塾探しの旅に出たのだった。

個人経営の塾。
中堅どころの塾。
大手。
家庭教師。
個別専門の塾。

相当数のところの見学に行った中で知ったことはたいがい同じことで、

みなさん小学校5年生までに6年生までのカリキュラムを終えていて、
6年生のⅠ年間は、受験に特化したことをやっていくんだってことだった。

個別と、家庭教師は、いつでもペースを合わせられるからおいでって優しく微笑みながら言ってくれたったけど、金額が笑えないのよ。まるで笑えない。むしろ泣く。
受験準備ってのはたいがい小学校3年から始めるものですっていってたけど、3年・4年・5年で支払わなかった受験代金を6年生のⅠ年間で吸い上げる気かい! っていうような金額だったので、気絶しそうになった。

そんななか、とある個人塾の塾長が、とても親切で、金額も良心的。
日程に関してもこちらの都合を聞き入れてくれるというし、なんかいいなぁって思いながら話を聞いていた。
金額的のみならず、1年間通い続ける距離的にも 後れを取っている息子のフォローをしてくれる姿勢なんかもここが最適解かなぁ、と思え、かなり積極的に話を勧めていた。

その時、塾に宅配業者が来た。

なにか前もってトラブルでもあったのかもしれないけれど、塾長は私たちに見せていたのとは別人の顔で、高圧的にクレームを伝えていた。
怒鳴ってるわけじゃない。だけどあきらかに許す気配がなさそうな対応で、「お前たちは」とか「わかってんの? おい」みたいな会話が漏れ聞こえてきた。
それをじっと見ていた息子が、ワタシの服をひっぱって
「帰ろう。ここにはしない。」って言った。
ワタシもそうだなぁって思ったので、戻って来た塾長にご挨拶だけして帰った。

っていうあの日のこともあってか、ワタシはムスコの審美眼を信頼しているところがある。
その息子が、
「今年の担任の先生、まぢで好き💙」とか
「いまの塾の先生への信頼、まぢで鉄壁!!」とかいうのを聞くと、
審美眼があると、出逢いって研ぎ澄まされていくのかしら? 
この人、ほんとに人に恵まれてるよなぁ。と思ったりもする。

子供のくせに大人を評価するな。

ワタシの子供時代は、そんな常識がはびこっていた。
子供は大人だっていうだけで、尊敬しなくちゃいけなかった。
昔だって、ダメな大人なんてたくさんいたのに。

でも、時代は少しづつうねってうねって変化していて、
子供が見透かしてもいいのだ。むしろできたほうがいいのだ。

年齢はぐんぐん増えていくけど、それと人格者であることは比例しない。
しないけど、せめて人さまを「お前」と呼ばない人として生きていきたい。
もしクレームがあったら、現場にではなくシステム管理に伝える方法を選びたい。
ムスコが本当の意味で優しい、素敵な大人になるといいな。

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