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圧巻の677ページ

 「荒野の向日葵」(野村 和志著)拝読させて頂きました。長い道のりを一緒に読み歩いた感覚にさせられました。障害当事者がご自身で書いた本では口述とは言え最高水準だと思います。感動しました、素晴らしい作品でした。とても自費出版の範疇に収まる作品ではないですよ。商業出版で沢山の人に読んで貰いたいと思いましたよ。

 著者の自伝という一本の物語に、関わった様々な人たちの生き様と考え方まで、加えて、その時代、場所の背景、風俗までを実に詳細に、驚異的な記憶力から書き起こしたルポルタージュとも呼んでいいような作品でした。

 戦後の想像を絶する貧困生活、家から出れない幼少期、家族からの虐待、逃げた先の施設からは出ることが出来ない青年期、その頃からでしたか、人と出会う度に道が拓けて行く経緯が、小気味よく小説のように綴られて行きます。

 戦後の国や地域の障がい者施策と障害者運動の流れ、薬害や原発などとの関係性、無くならない差別意識の移り変わり。歴史的に繰り返される資本権力のマイノリティへの暴挙エピソード、青い芝の会の起こりから衰退まで、そして、今日の自立生活センターの起ち上げまで、他にもほとんど全ての社会問題が散りばめられた私にとっては教科書的な作品でした。

 こんな素晴らしい本に出会えて良かった。紹介して頂いたCIL下関のますもと けいこさんに感謝です。そして、こんないい本を出された野村さんにも大感謝です。ありがとうございました。20231127

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