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あれは月曜日の朝のこと

今日は所属するNPOの事務に行くと言う次男を後ろの座席に乗せて、自宅を出る。本通りの道は混むので、細い上り勾配の脇道を登る。もう少しで本通りに合流というところで、最近切り拓かれて出来た新興の住宅から1台の車が前に現れる。リアガラスに沢山のシールが貼ってあって、あれで後ろが見えるのかなと思ってよく見ると、真ん中にシールの貼られてない箇所が丸くあったので、あそこから見えないことはないわけか、きっと若いのが運転してるんだろうなと想像しながら、後に付いて行くと、更に前方にデイサービスの送迎車が、まあ狭い道路を塞ぐように止まっているのが見えた。やれやれと思う間も無く、若いのが運転する車が後退、いやいやせっかく空けてあるそこの穴から後ろを見たのかと思う間も無く、ドカンとバックして来た。そう事故です。前の車から思った通りの若い兄ちゃんが降りて来てペコリ、この忙しいのに勘弁してくれやと思いながら、とにかくクルマを邪魔にならない所に移動、この時まだ、この事故を誘発した元凶の送迎車が道を塞いだまま、近寄ってまだかかりますかと聞くと、乗り込んだお爺ちゃんの車椅子を固定しながら、道を塞いだまま、前方には下り待ちの車が3台もあるのに、悪びれることもなく、はいもう少しですと。やれやれだわ。私は忙しい、更に体調不良、この後、次男を送って、そのまま別府での支援に入るという後のない状態だから、まともに警察呼んで事故処理なんてしてたらまずい。やっと前の前の送迎車が動いて、開けた場所に止まって、ドカンという衝撃でぶつけられたフロントバンパーをチェック、むむっ、なにせ中古のオンボロ自動車、はなっから傷だらけで、ぶつけられた痕跡が分からない。手で押してみても、このガクガクフワフワ感は、前からあった気もする。若い兄ちゃんも平謝りで近づいて来る。兄ちゃんの車を見ると、ほんの少しキズがある程度、とにかく時間がないから、諸々は後にしようという私の提案で兄ちゃんの免許証を写メして連絡先を交換、後で連絡するということで別れた。
午前中の仕事が終わって、事務所に戻ると知らない人から電話、朝は申し訳けありませんで思い出した。後方不注意の兄ちゃんだ。何とも丁寧な喋りでお詫びを言って来る。あーそう言えば随分と昔にそんなことがあったねと言った感じ、もう事故にはしないから何も無かったことにしようという言うと、後でお詫びに来てくれると言う、なかなか出来た若者だと思って写メった免許証を見たら、次男と同い年ではないか。我が家の次男は車の運転どころか免許も取ってくれないと言うのに。
ほんで体調不良なので早退して寝込んでいたら夜にピンポン、きつい身体で玄関を開けると朝の後方不注意の兄ちゃんと赤ん坊を抱きかかえた女性が立っているではないか。今朝は申し訳ありませんでしたと、赤ん坊抱えた女性も平身低頭で、妻ですと紹介され、おー今時見上げた若者ではないか。次男と同い年なのに、もう結婚もして子供もいるなんて。まあ、玄関では寒いから、どうぞどうぞと居間に上がって貰って、改めて、シャトレーゼ菓子折りを受け取りながらの一本締めと、実は家がすぐ近いこと、仕事も近くの介護保険施設で夫婦して働いていることなど聞いて、高齢者介護の現場は大変なのに良く頑張っているねなんて感心して、ふくろうのコレクションも自慢して、これからの近所付合いも約して、とっても気持ち良くお別れしたというお話でした。相手も思ってくれてるだろうか、今時見上げたおじさんが居たもんだなんて。。。

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