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出張バーテンの貴さんに依頼しました。という話①

※性的な内容を含みますので18歳未満の方の閲覧を禁じます。
※あくまで『私の経験・感覚では〜だった』という実話です。
 依頼者によって感じ方や内容が異なることを予めご承知おきください。
※当記事は投げ銭形式(有料記事となっておりますが最後まで全部読める)となっております。いただいたお布施は今後の出張費及び活動費として充てさせていただきます。


〝出張バーテンの〟貴さん……

何やら、わたしと似たような活動をされてる方がいるんだなぁ…しかもエロに関わってる…

この方です。
HP: http://ballantimetaka.com/i/
Twitter:  https://twitter.com/ballantimetaka/

私とは具体的な活動内容は違えど、出張バーテンという共通のキーワードから気になってフォローしてみたのが始まりだった。

わたし自身も表向きでは全国各地のバーをお借りしてイベントを開催していたことから出張バーテンと名乗っている。主に発達障害と性についての発信をしたり、性の悩みや生きづらさを気軽に話しに立ち寄れるようなバーを主催してきた。
もともと性への関心が強くあったことから、発達障害界隈のなかでは数少ない、性に関わることをオープンに、包み隠さず発信する人として名前が知れ渡るようになっていた。

とはいえわたし自身も性のことで悩むことや抱えてた問題が多くて。周囲からも「(異性関係に)依存しすぎでは?」「バーやる前に自分の問題をなんとかしたほうがいいのでは?」と心配されることもあり改めて意識を変えなければと思っていた。
イベントで近い傾向のある人と対話をしつつ、いろんな人の意見を聞きながら問題と向き合っていこうとしてたところ。

だから、エロについて深く関わってる貴さんの発信内容も興味深かった。いつかお会いしてもっと詳しく話してみたい、座学も受けてみたいと思ってた。


それが、まさかわたし自身もプレイまで依頼することになるなんて…
(出張ハプバーテンの依頼)

というのも正直な話、外見だけでいうと好みのタイプというわけではなかった。むしろタバコ吸ってる男性は嫌いだった。パートナーどころか一夜限りのセフレですら対象外というか避けて通ってきたぐらいだったので、他の依頼者様のレビューを見て喫煙者とわかってしまった地点でやっぱやめようかなとも考えながら、依頼しようかどうか、どこまで依頼しようかと1ヶ月程悩んだ。

しかしそんなことより、普段のツイートやnoteでの生き方・考え方に関する記事を見てると、

「何が好きで何が嫌いかがわからない人へ」
「何が楽しいかわからない人へ」

色々と私にとって突き刺さる言葉が多くて。まずはその思考の中身が気になる、まずは自身の性のことで抱えてる問題と向き合うにはこれぐらい具体的な言葉で、具体的な実践するところまで付き合ってくれるという人や時間を必要としてたんだという気持ちのほうが大きくなっていった。
気づいたときは、こんな人とセックスしてみたらどんな感じなんだろうと想像していた自分がいた。

だったら会ってる間の2〜3時間ぐらい、タバコ数本ぐらいちょっと我慢してみようかなと思って…


実は大阪にいたあの日、あのとき、依頼しました。

貴さんが東京に来る予定の日まで待てなかったので、わたしが大阪に滞在してたときに、狭い宿の布団に包まって緊張して身も心も震えながら、震える指でDMを送る。

『えろいほうの依頼… お願いします…』

と。そしたら、以前から私がTwitterでタバコが苦手で…とツイートしてたのを覚えててくれてたみたいで、DMでやりとりしてる地点で「会ってるときは吸わないようにするから」と返してくれた。
神なの?優しい。
この地点で緊張が少し落ち着いてきて好感度が爆上がりする。

大阪にいるあいだは立て続けに主催のイベントをこなしていた。ひと段落した後も大阪で数件ほど人と会う予定が詰まっていたので、その合間を縫って梅田でお会いできることに。


忘れもしない、2019年4月5日。
今はなき泉の広場で合流。

※写真はイメージです。

(実際は写真撮る余裕もないぐらい結構ガチガチに緊張していました。)


第一印象は他のレビューにも書かれてある通り、話し方を見てるとすごく優しい、人当たりが柔らかい感じなんだなという印象。
それにしても、これまでの恋愛や性関係ではなかなか出会わなかったようなタイプの人なのでやはり緊張する。


まずは自分の現状を思い知る(現実を見る)ことから始まる

初回はホテルに移動する前に近辺のカフェ等で1時間程度の座学があるということで、これまで勘違いしていたオーガズムの仕組みを改めて覚えなおすところから始まる。

※オーガズムの仕組みについて詳しくはこちら。実際に座学でお伝えされてる内容も含みます。
(下記リンクから貴さんのnoteに移動します。)
https://note.mu/ballantimetaka/n/n37c692b42185/

これを機に根本から学び直さないかんなと身構えて受けてみたけど、実際は仕組みを学ぶというより、それに基づいて自分が抱えてる問題と一緒に向き合ってくれる時間のほうが多くて、ヒアリングの延長線的な感じ。
最後に、したいこととしたくないことを具体的に聞いてくれたので紙に書いて答えた。

※以下、写真はイメージです。
※実際の座学で書いた紙とは異なります。
※実際にここまで書けなくても大丈夫です。したいことが全く思い浮かばない、何も書けないという人も結構いるとのこと。


(…これ、いままでの元彼やセフレに同じこと言えたことあるのか?なかったよね?)

書き終わると、心の中で自問自答する。
貴さんは(沢山書けていて)優秀やなと褒めてくれたけど、わたしは性のことをオープンに発信してる立場たるもの…こんな大事なことを伝えることもできてなかったなんて…と、自分で書いた紙を目の前に衝撃を受けた。

それに、普段「性的同意」(今からセックスする?しない?の同意をとること)の大事さについても声を大にして発信してたわたしが、緊張のあまり「いやーもうー、全然いいですよーそのつもりで来てるんでー」などとはぐらかすことしかできてなかった。同意の確認すら大事にはできてなかったんだなと痛感した。
貴さんは性的同意という言葉こそ使うことはないけれど、同意の確認は日常生活の挨拶と同じぐらい当たり前のように捉えていて、性的同意以前にいかにしたいこと・したくないことを素直に伝えられるかどうかが大事かを知った。

こうして座学を受けた地点で話したことだけでも、自分が普段関心を持ってることや発信してる内容をどれだけ実践できてるかを確かめる良い機会になった。

しかし今回のわたしは、座学で覚えたことを実際に身体の感覚を通じて実践していく(プレイする)ところまでをお願いしていたので、そこからホテルに移動するときにまた緊張感が走る。
途中から手を繋いでみたけど手汗がすごい。

これから肉体的に接触する人、自分をさらけ出す相手、異性…と意識してしまうと声が出しにくくなってしまうことがよくある。これまで付き合ってきた人とのセックスで自然に声が出せるようになるまで数日、数週間かかることもザラにあったわたしがものの2時間ぐらいで満足にできるのか不安だった。案の定、声が出にくくなってしまうとそれが不安だなんてことも言えない。でもそこを乗り越えて早く自分を解放していきたいなと思いながらホテルに入る。

解放していくには、まずはしっかり声出してみることを意識してみてほしいと言われていた。
個人的にはセックスでそもそも声が出せない問題がいちばん引っかかってるんだけど…
それが問題だと認識できたのもこの日からだった。


15年間サイレントモード・セックスが当たり前だった私が
ベッドで声を出せるようになるまで

過去に学校でも声が出せなかったことが原因で性的ないじめを受けた経験があってから、それのトラウマが大きかったのか、初めてセックスした頃から約15年もの間、ずっとサイレントモード(声を殺した、声が出ていない状態)でのセックスが当たり前になっていた。
つまり自然に喘ぎ声が出ることがほぼなかった。

不安定な気持ちを少しでも落ち着かせたくてベッドに座ってみたり膝枕してもらったりしてポジションを探ろうとしても、どうしても小声が漏れるぐらいで精一杯で、叫ぶとか声が枯れるまではいかなかった。

しかし、出せる範囲で小声だけでも出してみることによって、自分が抱えてたトラウマや問題がいかに大きくて、いかに見逃し続けてたかに気づく。

声を出すことそのものに、思ってた以上に強く抵抗があった。つまり、それだけ本能を解放することに対する恐怖や恥ずかしさが根底に強くあったんだなと。過去の経験以前の問題なのかもしれない。

服を脱ぐことや肌を露出することには全くといっていいぐらい抵抗がないほうだったけど、この時ばかりは服を脱ぎ始めたときから急に恥ずかしくなって、ベッドの布団の中に一緒に入ってもらう。

そこを克服したくてここまで来たのに、声がついていかないのが苦しくて「ご…めん…声が…声出ない…出ない…」といって何度ももがき苦しんでたのですが、耳元で「(声が)出なくてええんやで」と何度も返してくれた。

リラックスできるまではかなり時間がかかった。
それにしても、自分を解放していくのにこんなにも時間をかけてもらえたこと、こんなにも安心感を感じたことは今までになかった。

その姿は、出張ハプバーテンという肩書きの通り、プレイする人というよりバーのマスターそのものだった。
「俺が○○させてあげる」「気持ち良くしてあげたい」とかいって導かれることはなく、自分が気持ち良くなっていってるところを、カウンター越しにずっと見守っていてくれてるような感覚だった。
肉体的にも精神的にも距離が近づいていても、身体は密着して熱くなっていても、初めて来るバーで新しいお酒を覚えたときの躍動感にどこか似ている気がした。

そのあとどんなことをして過ごしたかは、声出すことに無我夢中になりすぎてあまり記憶にない。


けど、途中で休憩を挟んでくれて

「いま、楽しい?」

って、時折聞いてくれてたの。
それだけは鮮明に覚えてる。


生きてきた29年間感じたことがない、わからないと思ってた
〝楽しい〟とは…について初めて考えさせられるきっかけに

正直、その瞬間が楽しいかどうかはその時間内では全くわからなかった。

「ごめんわかんない…」と答えると、また違った表現で心境を聞いてくれて、答えるごとに細かい変化にも気づいてくれて、「楽しむっていうのはそういうことやで」と噛み砕いて教えてくれた。

楽しいとは……

自分が心の底から楽しいって思えたことは一度もなかったのかもしれない。
じゃあ、今までの楽しいは何だったんだ。

楽しいわけじゃなかったのに無理して背伸びして楽しもうとしてただけだったのかもしれない。相手が思う楽しいことを自分の楽しいことと勘違いしてたのかもしれない。
それが違和感だということすら気づけなかったけど、今頃になってやっと気づけたよ。

深く考え続けてきても感じることがなかった自己肯定感、自尊心、そして29年間感じない、わからないと思ってた楽しむ気持ちがわずか3時間程度で腑に落ちるように理解できてきた。

ここで初めて感じた、楽しむ気持ちの大切さ

あれから残りの大阪滞在中も、東京に戻ってきてからも、どんなことが好きで、何が楽しくて、自分にとって何がプラスな選択なのか、改めて深く考えてみたら日常そのもので面白いと感じることが増えてきている。

これを機に楽しい経験を積んでいって、これからお付き合いする人とこそはもっと楽しめるかな。

願わくばいろんな女風で楽しんでみてもいいのかな。

なんてことも思っていたけど

なにより初めて依頼をした人、貴さんといた時間が予想を絶するぐらい幸せすぎて。
貴さんから得られた気づきに身も心も突き刺さりすぎて。

もともと異性に依存しやすかったり、情が移ると気持ちの切り替えが難しくなりそうだと懸念してたから、当初は非日常の遊びとして割り切って、うまく発散しつつスマートに遊べる関係として楽しむことだけを想定していた。
けど、貴さんの考え方や生き様を知れば知るほど、自分の性欲の発散のためだけに利用して終わりにするわけにはいかないなと思ったのです。

非日常だけの関係と割り切ってしまうのはまだ早いなというか、もったいないなと。

非日常の数時間だけじゃなくて日常生活でも考え方次第ではこんなにも楽しみがあるということに日々気づかせてくれる存在に出会って、

これからは性の問題にとどまらず生き方・考え方まで深く話しながら実践する経験をあともう何回か、いや、何回でも積んでいきたいと強く思った。


だから、これからは出張バーテンとしても、性的な意味でも、人生の先輩的な意味でも〝師匠〟と呼ばせてください。


プライベートで依頼するときは自分へのご褒美というよりはリハビリに近いような感覚でいる。
また依頼したときは「今度はこんなことが楽しめるようになった」「こんな気づきがあった」という報告ができたらなと。そして、身も心も緊張が解けて良い意味で変化していってるところをもっと見せていきたい、もっと見てほしいと思う。

そして今度は表向きでも。同じ(異色の)出張バーテン同士でコラボできたらいいなと思って、自分の主催イベントにお招きすることを企んでみる。

エロに関することに限らず様々な関わり方ができる人なので、飲みに行くだけでも、自分の好きな場所に連れ出すだけでもより面白いことになりそうだなと思う。

出会ってくれてありがとうございます、師匠。




最後に。(ここからは私からの補足)

わたし自身の特性や症状をよく知る人から見ると、今回の経験を話すと

「依存しなければ別にいいんじゃない?」(依存してしまうと今までの恋愛と同じでしょ)
「まずは自分をもっと大切にしようね…」

という意見が多かったのでここで補足させてください。

以前から異性や性関係に依存しがちで周囲にも多くの心配をかけてきた人がまたこうして特定の異性をお勧めと言うと「またか…」と思う人もいるかもしれない。賛否両論あるかと思います。

わたし自身もそこは懸念のひとつでした。ただ、我慢するぐらいなら、依存しそうな気持ちを吐き出す時間をそのぶんつくればいいんじゃないかと。

実際、また昔のように依存しそうで怖いと貴さんにも伝えました。

「そこで我慢とか抑圧してると余計過依存なるで」「(好き、また会いたい、したいとか)言うだけならタダやろ、なんぼでも言うてみ、ちゃんと言うてたら過依存なんかせんから」

と返ってきた。

良い意味で何度も背中を押された気がするのです。

また、性依存について話してると自分を大切にしてないからまた依存しちゃうんじゃない?という声もあります。

しかし、ここまで読んでてくれてる方には、そもそも大切に…のしかたがわからなくて悩んでる人も多いのではないでしょうか。

自分を大切に…のしかたって、人からこうすればいいんだよといって教えられるものではないからこそ、わからないで悩むこともあると思うのです。

そこで、今回の経験を通じてわかってきたわたしの見解は大きくふたつあります。

大切にする感覚が自分でわからないなら、わからない部分を一緒に考えてくれる人がいていいんだ。
大切にする感覚がわからないなら、これ以上にないぐらい大切にされてみる経験をしてみる機会をつくってみたっていいんだ。

なにより、

障害や生きづらさを理由に自分の大切さを知ることや性の楽しみを諦めてほしくはない。

あくまで私の経験では、大阪にいたときの宿8泊分よりも高いお金を払ってでも、忙しい合間にたった3時間だけ時間をつくってでも、それだけ大切にされてみる経験だったり、自分にとって大切なことについて見直すきっかけがそれだけ必要だったんだなと痛感しています。

私の場合はその大切さに気づく手段がたまたま身体で触れ合うことやエロに関わることだった。それは同じ傾向のある女子全員に知ってほしいと言うつもりはありません。が、エロについて関心の有無問わず、生きづらさの大きさ問わず、自分の好きなことや楽しいことについて一緒に考えてくれる人を求めてた方、改めて見直したいとお考えの方に特におすすめしたいです。

わからない部分の答えではなく、自分で考えられるようになるきっかけやヒントを教えてくれるでしょう。



いつものTwitter( @anakingsan )では個人の主観や偏った思想だったり下ネタを呟くことが多い私ですが、そんな自分が本気のエロを通じて価値観や人生観も含めて思考をアップデートするきっかけとなった体験を、今後依頼される方や近い悩みや問題を抱えてた方の参考にもなれると幸いです。


▶︎ ②へつづく。(近日中に公開予定)

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