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映像に逃げてしまう

『ナイルパーチの女子会』がドラマ化されているのを知り、数年前に衝撃を受け、柚木麻子作品を読み漁ったことを思い出した。
ドラマを見て断片的に思い出されて懐かしくなり、本を読み返そうと思いつつ、数週間が過ぎてしまった。

「読書」はせっかちな私にとっては効率が悪い。

一つの作品が終わるまで、映画は2時間、コントは5分。
ついスマホをいじったり、洗い物をしたり、「ながら」で観てしまう。
「観る」というより「流している」という感覚に近いかもしれない。流れていつの間にか終わっているし、「ん?」と思った部分は作業の手を止めて観れば問題なく内容を理解できる。

「読書」は違う。どのくらいの時間を要するかは自分次第。自分の手でページをめくらないと次に進まないし、文字だけで理解しなければならないから、同じ文章を何回か読み返すこともある。(読み返してもわからず進むこともある)
心と頭に余裕があるときじゃなきゃできない、能動的なコンテンツ。

でも、「読書」は労力よりも時間よりも価値のあるものを与えてくれると思っている。
こんがらがっていた考えを解いてくれる糸口や、性格の悪いことを思ってしまう自分を冷静に受け止めさせてくれる言葉、や人と人のつながりの温かさを教えてくれる。

例えや描写を駆使しながら、文字だけで伝えようとしてくれる芸術。

今日やっと『ナイルパーチの女子会』を読み返している。
ドラマでは栄利子の狂気さが中心で目立ってしまうけれど、
翔子の負の感情や心情が本にはたっぷり書かれていて面白い。
映像だけでは伝わらない一人一人の内面が書かれている。

すぐめんどくさくなって疎遠になってしまうけど、時間と頭をたっぷり使って「読書」の醍醐味を味わいたいなと思った。

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