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ただ歩く 歩いた先に 異空間 トンネル抜けて 次の世界に

ただ歩く、目的のために歩く。ここは南花台と呼ばれる住宅地、大阪河内長野にはよくある山を造成して作られた住宅地なので高台である。「道の駅まで歩いて行ける道があるんだ」ということを知った日野美加は数日前のこと。結婚して引っ越ししてから間もなく3カ月。これまで道の駅に行くときには夫の車で行っていた。

 だが専業主婦の美加は結構時間がある。「ちょっとの散歩でいけそうかな」ちょうど天気の良い午前中、夫を会社に見送った後、いちど地図で見つけた道を歩くことにした。

歩いて20分くらいか、そう思った美加は南花台の自宅から道の駅まで歩いてみることにした。

高台の北の端に入口がある。それまでは普通に住宅地として町やお店がある場所だが、この入り口は森のトンネルのようになっていた。まるで異空間への入り口のようだ。「気になるけど」美加は興味本位に入っていくが、意外にも盛はそこまで鬱蒼とはしていない。整備された階段があり、それをひたすら降りていくだけだ。降りて10分くらいたつと早くも開けるところが見えてきた。「おお、道の駅が見える」異空間とは大げさだが、森のトンネルを抜けた先には、昔ながらの田園地帯が広がる集落のところに道の駅が見えてきた。「これでたまに遊びに行けるわ」美加のテンションが上がり、思わず短歌を口ずさんだ。

ただ歩く 歩いた先に 異空間 トンネル抜けて 次の世界に
(ただあるく あるいたさきに いくうかん とんねるぬけて つぎのせかいに)

こうして美加は、歩いて気軽に道の駅に行けることを知ったが、帰りに後悔することになる。なぜならば帰りは、南花台までの登り道を上がる必要があることを。
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今日は、こちら小牧幸助さんのシロクマ文芸部という企画に参加しました。

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