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無意識に 冬マラソンで 渡る橋 記録諦め 谷でも見るか

時計を見る。その瞬間少しうなだれた。どうやら今年は目標は果たせないとわかったから。
地元で行われるので毎年参加するマラソン大会、大きな湖面を3回回るというコース設定だ。昨年は自己記録を更新できたので、今年はそれをさらに上回るためにこの日まで走っていた。だがそれは果たせそうにもない。どう考えても今からでは自己記録更新は難しく、昨年の記録に達することはないだろう。

昨年と比べてコンディションも良くなかったし、ペース配分もアンバランスであった。だからなのだろう。湖を回ってからゴールへ向かう足取りも決して早くはない。ただ幸いなことは足が痛いとか息が切れているとかそういうのはなかった。「だったら、とりあえず今年は完走だな」無理はしない。後は風景でも楽しみながら軽く流して完走を目指すことにした。記録更新は来年やればいいのだ。

「あ、まただ」モードが切り替わると、途端に走っている場所の風景が良く見えるようになった。トンネルを越え、なだらかな坂を登る。昨年は必死だったが今年は全くそんなこともなく、流すように走った。そのほうが走り終わってからも体が休ませらえるはずだ。

「あ、こんなところに」そうなると気づかないことも気づく。無意識に橋を渡っていることに。走っている道路はアスファルトがずっと続いているためか、橋になっていることに今まで気づかなかった。でもよく見ると橋の切れ目はわかるようになっていたが、必死で走っている時は気にもならない。

今回はそれ以上に、道路の両端が橋の欄干のようになっているから、ここが橋だというのがわかるのだ。試しに橋の少し端のほうを走った。確かに橋である。そして橋が終わるところには、橋の名前が書かれた銘がはっきりと見えた。

「あれ、まただ」これは何度目だろう。この道は山と谷のところを通ってる道だが、頻繁に橋の存在に気付く。つまり多くの谷があるのだろう。「ふーん、そんなに多くの橋がこの道路にね」谷の深いところまでは見えないが、橋になっているということはそういうことだ。思わぬ気付きを知ると、ゴールが視界上に見えてきた。

「とりあえずゴールだ。今日は別の発見があったな」そんなことを思いながらゴールインをする。足は疲れていないし、全く息も切れることなく楽々ゴールができた。おそらく余裕があるのだろう。何しろ昨年ではありえないこと。ゴール地点にあるサイクルセンターの施設を眺めながら、ふと頭に短歌が浮かんだのだ。

無意識に 冬マラソンで 渡る橋 記録諦め 谷でも見るか 
(むいしきに ふゆまらそんで わたるはし きろくあきらめ たにでもみるか)

本日は山根あきらさんの青ブラ文学部に参加してみました。

今日の記事「河内長野シティマラソンを応援しながら歩いた」を参考にしました。

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