「ふう、数字が合わない。こりゃ数学の勉強をやり直さなければいけないな」ダージリンティを飲みながら悩んでいる社長に、長年働いている秘書が「数学というより、算数でしょうそれ」と突っ込みを入れる。

社長は不機嫌そうな表情で電卓片手に計算をしている。「あの、今日は事前に伝えていましたが」秘書の言葉に顔を上げる社長。
「あ、そうか、今日は半日と言ってたな。まあ、休日出勤悪かったな。いいよ帰って」社長はそれだけ言うとまた帳簿と睨めっこ。「因数分解とかそんなんじゃないんだが」と独り言をつぶやきながらダージリンティを飲む。

秘書は帰り支度を済ませると「ではお先に失礼します」と言って事務所を出た。「さてと、今からは気晴らしね」と事務所を出て駅前のバスに乗る。事務所のある駅前は町になっている河内長野もバスで１０分先にある高向（たこう）まで来ると田んぼが広がっていた。

「あここね」バス停で降りた秘書は歩いて3分くらいのところにある古民家カフェの前にいた。「これこれ、にゃんこ大バザールね。入ってみよう」秘書は偶然にネットで見つけた初めのてイベントに少し心を躍らせながら、短歌が頭に浮かぶ。

ダージリン　数で悩ます　秋空に　田んぼの近く　にゃんイベント
（だーじりん　数で悩ます　あきぞらに　たんぼのちかく　にゃんいべんと）

今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。（お題：数学ダージリン）

今日はこちらの記事「養生菓子処もちねこさんのにゃんこ大バザール」をモチーフにしています。

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