見出し画像

(連載小説)パーク〜小さなお話3

お手玉探しに時間を取られ
食料の買い出しをすっかり忘れた翌日
仕方がないので職場から2駅程離れた
お惣菜がとびきり美味しいスーパーに
仕事帰りに寄る事にした。

ずいぶん前にネットの記事で
ポテトサラダぐらい作れないのか?
と言って、赤の他人の母親を怒鳴る
老害レベルの老人が出没したという
はた迷惑な記事を読んだけど

ポテサラどころか筑前煮やら土佐煮やら
取り立てて煮物目当てで足を運ぶ
そんな私はきっと、ご老人に激昂されちゃうな
ひとり暮らしでまともに料理もせんのか?
とか、、うん、やっぱり余計なお世話だろう。

マルチタスクというものが
昔から非常に不得手な私。

料理とはまさにマルチタスクなんだそうで
メインのお肉料理、お味噌汁に
サラダやおひたしetc‥
切ったり焼いたり煮たり、お皿並べたり

同時進行だったり、順番があったり
まぁ、いくつもの作業を上手くこなして

ようやくご飯にありつける。

お肉、汁物、、それから副菜の下ごしらえ
ひとつのメニューに時間を割いて
よし次の準備、いっこいっこ1歩1歩。

そうして、いっぺんに色々出来ない
マルチタスクとやらを全然習得出来ずに
結構な大人になってしまった私は
手を抜く所だけはちゃっかりと覚え

スーパーのお惣菜がとてもありがたい
選んでカゴに入れる瞬間が幸せ、でも
材料を揃えて作る気には全くならないという
ていたらく振りなのだった。

2駅離れたスーパーの
とびきり美味しいお惣菜を躊躇なく
選ぶ私を、ちょっとたしなめる

そんな存在が少しの間だけ
居たような遥かあの日と

今、2駅離れたスーパーに寄り道して
時間的にタイミング的に
いつもの公園脇を横目に歩くのが
少しでも遅れるとしたら

興味がわいたジャグリング青年の
練習風景を見逃してしまうのでは

当たり前のようにお惣菜を選んで
それを逃すとしたならば

躊躇ない今までが
ふと、たしなめにも似た
要は躊躇が芽生え、途端に迷う。

お惣菜を買うべきか、買わざるべきか
2駅離れたスーパーに寄るべきか
寄らざるべきか、、。

最近で1番どうでも良さげな悩みに
真剣になっている自分が
何故か不思議におかしく思え

舞う白いボール、夕焼け空と相まって

ふため見たいと思う程
良いシーン、だったんだろう。

終業時間までに決めて
私の足の赴く先を、定めて(大袈裟)

そんな事ばかり考えて終わるお昼休み
とりあえず仕事に戻ろう。

4に続く。


























この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?