5日間のMSCオンライン・サイレント・リトリートに参加しました(前編)
2020年12月のはじめに5日間のオンラインサイレントリトリートに参加してきました。米国CMSC(Center for Mindful Self-Compassion)で開催されているもので、2名のベテラン瞑想講師による開催となりました。講師の一人のBeth Mulligun先生は、MSCの講師養成講座の先生でもありました。書籍もだしていて、瞑想歴の長い厳しそうな方なのですが、コンパッションの深い女性です。
オンライン・サイレントリトリートってどんな感じなの?
サイレント・リトリートというのは、基本的に静かにだまって瞑想して過ごすリトリートのことです。MBSRや、MSCの講師になるためには必須なリトリート。日本では、サイレントリトリートを受けられるところが、私の知る限りほとんどないのです。内観を受けてもリトリートの変わりになるということでしたが・・5日間小学生のいる我が家を空けるのも大変ですし、せっかくですので、家にいながら参加できるオンラインリトリートを受けてみることにしました。
時差・・・が最大の問題です。初日は、日本時間の午前中二時間だったのですが、その日の夜11:30から翌朝10:30まで休みは挟むものの、完全昼夜逆転のスケジュールです。
スケジュール
スケジュールは、だいたいこんな感じでした・・・
Silent Retreat
Wednesday – Saturday, December 2 to 5:
6:30-8:00 Morning Practice 11:30PM~1:00AM8:00-9:00 Informal practice/meal break 1:00~2:00AM
9:00-10:30 Practice period 2:00~3:30AM
10:30-11:30 informal practice/ work practice/meal 3:30~4:30AM
11:30-2:30 Practice period (movement, sit, walk, teaching)4:30~7:30AM
2:30 – 4:00 Informal practice/meal break 7:30~9:00AM
4:00-5:30 Practice period 9:00~10:30AM
太字が日本時間です(汗)完全に昼夜逆転でしたね。そして、zoomで開催なのですが、カメラオンにして参加することが原則です。ただ、動く系の瞑想(歩行やヨガ)や、informal練習の時間は、ご飯を食べたり休憩する時間でもあるので、カメラに映らなかったりオフにしても大丈夫でした。その間に寝てしまうことも・・、もちろんありました。
サイレントリトリートのお約束
リトリート開始時のお約束事は以下の5つです。
①傷つけない(人も、ものも)
②盗まない
③賢く、配慮をもって話す
④性的な事柄はなし
⑤刺激物を摂取しない(アルコールや、大麻など)が、必要な投薬治療は続けること。
大麻がでてくるのが、さすがアメリカですね。
原則的には、PCやスマホ、読書やメモもできれば・・手放すということでしたが、私は最低限の使用はOKとし、テレビはNG、読書とメモもしてました。ただfacebookやLineなどのSNS、仕事関係でいつもチェックしているメールや、ホームページなどは見ないようにしました。どうしても・・な最低限の連絡以外は控え、SNSに発信するのもやめてみました。こうして、社交や業務をオフにすることで自分自身をより深く見つめることができました。
サイレントリトリートなので、基本は沈黙でということですが、家族がいるので喋ってました。普通に娘や夫とは会話をしていました。そのあたりは、何がなんでも沈黙を通してくださいとかでは、なかったです。実際、ご家庭での家事・育児をされながら参加されている方もいらっしゃるようでした。あらかじめ家族にも事情を話しておくなどの、工夫は必要でした。
料理や家事も、インフォーマルプラクティスとして、実践するようにというお話もでました。家事もマインドフルにこなすと立派な練習になるので、(掃除とか皿洗いなど)修行になりました。
何かあったら、講師にいうように講師の電話番号や、メールアドレスはあらかじめ知らされます。かけることもメールすることもよっぽどなことがないとなさそうですが、これがあることで安心できます。すごく混乱したりしたら、連絡すればよい・・と思うだけでも、違いますよね。
気になる英語での分かち合いは4回ありました。最初は自己紹介。次は3日めの後半、4日めの後半に小グループに分かれて1時間くらい「今どんな感じか?」について話し合いをします。(朝の3時からでこれがきつかった笑) 最後には、全員2分で感想をいいます。
リトリートでの気づき(きつい前半)
プログラムは、先にかいた通りだが、だいたい30分の静坐瞑想、歩行やヨガ、慈悲の瞑想や、インフォーマルな瞑想の実践などがセットで行われた。1時間半程度で休憩ももらえるため、「飽きて飽きてしかたない」とか「同じことをずっとつづける」のような感じではなかった。静坐瞑想も30分は、最後のほうには短いと感じるようになったほど。
さて、どんな事に気づいたのかを振り返って見たいと思います。
①徹夜状態でいることによる体の不快感
まず、最初のうちは、体が不快でした。体の感受性が高いのもあり、夜寝ないで起きていると、足がだるくなったり、頭が痛くなったり、ブルーになったりしていることに気づきました。体の感覚や、睡眠不足ってやっぱり大きな影響をもたらす・・ってことに気づきましたが、だんだん慣れていきました。感覚としては、あまりまとまって眠れないので、産後の授乳期ににていてなんだか懐かしいものがありました。数時間寝て起きるを繰り返す・・大体「ちーん」のリンで起こされます。
②嫌悪感についての考察
最近、気づくようになったのが、嫌悪の感覚です。ああ、あの人苦手だな〜とか、次やらなきゃいけにあれは嫌だな〜とか、自分の価値判断の癖に気づいたのです。
人間関係の癖としては、基本的なアタッチメントの再現で、似たようなタイプの人に繰り返し寄っていっては、好かれようと過剰適応し、疲れてしまう、あるいは思い通りにならないと恨みがわく・・というパターンが見られました。このパターンを繰り返している!というのが大きな気付きでした。
「私は、〜が嫌い」というのが、癖者というか、大きな影響をもたらしていることにびっくりしました。ただ、繰り返し観察していると、その嫌悪感も静かに受けいられるようになっていくことに気づきました。嫌悪感は、自分自身の回復にとっても大きなキーワードとしてそこにある気がします。
先生によれば、嫌悪は非常によくあることだそう。それを聞いてホッとします。それには慈悲の瞑想が聞くということでしたよ。
慈悲の瞑想をやってみました。「あなたが幸せでありますように〜。あなたが平和でありますように〜」という感じで、人のための幸せや自分のための幸せを祈ります。
最初のうちは、懐疑的で、あまり効かないこともありましたが、びっくりするくらい穏やかになることもありました。慈悲の瞑想はとにかく数をこなすことで、その効果が得られるということなので引き続きやっていきたいところです。
③スージングタッチ
スージングタッチ(自分の体の一部をいたわるように触る)は、マインドフル・セルフ・コンパッションのプログラムでは、非常によくつかわれるキモとなるプラクティスなのだですが、実はずーっと苦手でした。
照れくさい。自分で、自分に触っても・・え?いやいや・・・。というように何も感じないか?どちらかというとソワソワする・・感覚が多かったです。
しかし、今回は深く瞑想に入っているときに、繰り返し練習したためか、自分の胸やお腹に手をあてると、手の温かさを感じて、とてもほっこり、安心していることに気づきました。隣に娘が寝ていたりすると、娘に片手で触って、もう片方の手では、自分のハートを触って、愛着の絆を感じたり・・・
MSCではこのように、爬虫類系の反応である闘争ー逃走反射が、ストレスなどへの反応で出ているときに、自分で自分を落ち着かせるためにこのタッチを利用したりします。自分で自分をなだめられるようになれば、不安定系のアタッチメントを抱えていても、「もう大丈夫!」。アタッチメントの修復になっていそうです。
というわけで、今回の一番の収穫は、ついに「スージング・サポーティブ・タッチ」を習得したことです。
④バックドラフト?分離不安
以前のリトリートでも感じたのですが、1日めの最後のほうに、疲労と睡眠不足で、「家に帰りたい」ような心細い気持ちになりました。今回も、家にいるのにもかかわらず(笑)、心細い感じというか、ホームシックというか?を感じ、よく見つめてみるとおそらく幼い頃からよく感じていた「分離不安かな?」と思いました。新しい環境になれるまでの不安があるのかもしれませんでした。こちらには、自分の胸やお腹に優しく手をあてるスージングタッチが効果的でした。
というわけで、前半は色々と不安や、不快感がありましたが、スージングタッチで癒やされるというやり方もまなびつつ、後半に向かいます。後半はより深まり静粛や慈悲を味わうことができました。
後半へ続く
⑤Turning Toward
⑥静坐瞑想が楽にできるようになり、静粛を体験する
⑦思いやりと幸せを感じる
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