ヒーローが変身するように、白いエプロンで変身する
今日は“白いエプロンは気軽につけられない”というマイルールについてのお話をします。
最近、「あの白いエプロン姿のみねちゃんが見たい」って言っていただくことや「どうして、料理教室ではつけなくなったの?」と言われることが多いです。
たかがエプロンの話なのですが、これには譲れないマイルールがあるのです。
※この記事は、ラジオでもご視聴いただくことができます。文章と音声、ライフスタイルに合ったツールでお愉しみください。
エプロンの色でモードをチェンジする
わたしは、普段、家で料理をするときにはあまりエプロンをしません。それでも最近は時々、料理教室で使用している青いエプロンをするようになりましたが、エプロンをしない方が楽しく料理ができる時の方が多いです。
青いエプロンは、ブランドも形も同じものを複数枚持っていて、毎日交互に洗濯をして使っています。リネン素材なので、アイロンをしなくてもシワがついたままで可愛いです。
ちなみにブランドは言いませんが、ネットでも購入できるものです。価格は、一万円以内。
この青いエプロンは、毎日の料理教室でのお仕事で使用しています。その他、フードアートを提供するときの仕込みの時には青いエプロンで料理をします。
白いエプロンは、シェフが腰に巻いている前かけタイプのものを使用しています。これもネットで買える、大量生産のものです。業務用として売られているものです。これも同じブランドのものを何枚か持っています。
オリジナルのことをやっているとオリジナルで作ってそうとも思われるのですが、激しく汚れて当たり前、破れてしまっても当たり前なので、すぐに安く買い替えできるものを使うほうが清潔感が保てます。
それに、ロングセラーのものであれば、この先もずっと売ってもらえるという安心感があるので、長く売られているものというのも今のエプロンを買ったきっかけです。
あとは、素材の透け感がどうかとか、いくつか試した中で選びました。
この白のエプロンなのですが、フードアートを提供する現場で、仕込みが終わり、本番のときのみ使用しています。
白いエプロンは、ヒーローの戦闘服のようなもの
仕込みの時には上に来ているシャツもラフなものなので、シャツを着替えて、マスクで見えないのに口紅を塗り、イヤリングと場合によってはネックレスをして、黒いベレー帽を被り、黒い手袋を新しいものに変えます。
本当は一分の時間も惜しい状況なのですが、三分か五分の時間をとって、さっと着飾ります。そして、白いエプロンを腰にキュッと巻き付けるんです。
巻き方は、へそのあたりに布を当て、手前でニ回紐を通す。二回目の時にはキュッと強く締めて、左の紐は小さなリボン型を作り、右側の紐をぐるぐるぐると巻きつけます。最後にちょろっと残った紐をエプロンの隙間にまっすぐ入れ込む。
この行為は毎度の儀式みたいなもので、セーラームーンやアイアンマン、バッドマンの変身のような時間なのです。
ヒーローたちはみんな、「わたしがやらねば誰がやる」と、思って戦闘服に着替えるはずですが、わたしの場合は、戦闘服ではなく、正装と思っています。でも、「わたしがやらねば誰がやる」という心構えは一緒。
自分が倒れたら、その作品は仕上げられないし、お金も時間もかけてお越しいただいたお客様に何のお話しもできないのです。
(お客様との温度差がないだろうか?味は気に入っていただけるだろうか?金額以上の感動を得ていただけるだろうか?)本番前にはいつも様々なことを考えて、とても緊張します。
でも、白いエプロンを腰に巻いたら、「よし、大丈夫!いけるぞ。大丈夫、大丈夫、大丈夫…(×100)」とだんだん着替えている間中に、強い心へとモードチェンジできるのです。
映画一本分のパーティーを仕上げ、現場で全ての片付けが終わると、ようやく白いエプロンを外してニュートラルに戻れます。
そうして、「ほらね、大丈夫だったでしょ。」と、もう一人の自分が帰っていくのです。
男性らしいの力強い背中への憧れと女性らしい身のこなしへの憧れ
ちなみに、エプロンはシェフがつけるものですが、シャツはそのときのコンセプトに合わせて、選んだり買っています。
普通、シェフはコックコートを着ますが、あの姿のまま人前に立つには仰々しい。でも、昔は力強く鍋を振る背中を見て、コックコートへの憧れがありました。だから、コックさんの白い前掛けは譲れません。
ですが、ある時、映画『ジュリー&ジュリア』を見ていると、料理のプロである優雅なマダムが腰にエプロンを巻いて、派手なアクセサリーを身につけ、ヒールの靴を履きこなしてドレッシーな服装で料理をしていたのです。
シェフという仕事をする男性たちの力強さと同じくらい、わたしはその女性らしい身のこなしと気遣いと美しい品にも、憧れたのです。
そうして、たどりついたのがシェフがつける白いエプロンにその都度お気に入りの白いシャツを合わせるというスタイルなのです。
行き着いたのがパンダカラー
上下白であれば、カラフルな料理でテーブルを埋め尽くしても邪魔にはなりません。だからといって、全身白では話す言葉ごとぼやけてしまうような気がしました。そのため、白と黒のグラデーションの中でコーディネートしています。行き着いた結果、パンダカラーが一番良い。
このスタイルならば料理と一緒に並んだ時に、五割増しで美人になれると思いこむことができて、自信になるのです。
美しい言葉を発したければ、口元への自信をつける
仕込みの時には、味見をするので口紅をつけられませんが、本番になればもう味見はしないので口紅を引いて口元にも自信をつけます。すると、自分の口から出る言葉たちにもちゃんと愛おしさを感じられます。
こんな風に、わたしにとって、白いエプロンを纏う行為はあまりにも特別です。
もちろん、白いエプロンをつけている方が毎日、自信を持てるかもしれないし、本当は白いエプロンをつけている自分の方が好きです。
ですが、一時期、料理教室でも白いエプロンをつけていたことがあるのですが、ショックを感じたことがあるのです。白いエプロンをつけたときのモードで家庭料理を教えると、生徒様との温度差を感じたのです。
チャンネルが合わないという感じ。それで、チャンネルを合わせるように温度を下げて料理教室に適応するような話し方や話題を練習するようになりました。そうして、しばらくの月日が経った頃、鏡を見て、白い服装に身を包んだ自分がとんでもなくだらしがないように見えたのです。ショックでした。
その頃は、コロナの影響もあって、フードアートの提供は難しいと色々な方から指摘を受けていました。
それで、拗ねていたし、諦めモードになっている自分もいました。だから、毎日白いエプロンをつけているくせに、ちゃんと自分の人生を全うできていないような気持ちになってに、早く脱げ捨てたくなりました。“白色に甘んじていた”、そう反省して情けなくなったのです。
それ以降、白いエプロンと青いエプロンを使い分けるようになりました。
『白いエプロンを纏いたかったら、フードアートのお仕事を増やす努力をするように』という自分への戒めです。
だから、白いエプロン姿が見たいと言ってくださる方々も、ぜひ、一緒にフードアートをさせていただける機会を作ってください。
よろしくお願いします(笑)
ちなみに、『なぜ、もう一つのエプロンが青なのか』ということや『いつも身につけているアクセサリー』にも由来があるのですが、このまま続けてしまうと、とても長くなってしまうので、また今度お話することにします。
それでは、今日は、“白いエプロンは気軽につけられない”というマイルールのお話をしました。
皆さんがモードチェンジできる服装やこだわりなどありましたら、ぜひ、コメントやレターで教えてください。
その他にも、わたし、小山嶺子に聞いてみたいこと、ご感想などありましたら、お気軽にお知らせくださいね。
それでは、今日はここまで。明日もいい一日にしましょうね。
Live, Love, Laugh, and Be…HAPPY.
2023.01.20
Mineko Koyama
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