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ままならないものたち

ナイロンという素材は色落ちしやすいですからね、特にカーキやグレーといった淡い色は。

近所のクリーニング屋さんが教えてくれた。
2020年の春に買った、お気に入りの薄手のコートをクリーニングに出した日のこと。
本当は初夏にクリーニングしようと思っていたのに、うだうだと面倒くさがっているうちに次の季節になっていた。涼しくなってきて慌てて持ち込んだのだった。

ほら、こことか、少し赤くやけちゃってるでしょう。

指さされた先は確かに、元の色とは違ってしまっていた。
たしか3万円くらいした。私にしては少し奮発して買ったのに、あっけないものだ。

お店の人も、教えてくれればそのように気をつけて保管するのに。
まあ、それを言ってしまうと売れなくなっちゃいますからね。

もちろん、クリーニング屋さんだって、後から難癖つけられたくないからこうして丁寧に説明してくれるのだろうし、このコートを売ってくれたショップの店員さんだって悪意を持って説明しなかったわけではないだろうことはわかっている。
商売ってそういうものだろうから。

まだそのコートはクリーニング店にある。
戻ってきたら、ナイロン部分は内側にして、カバーをかけて、ちょっと優しくしてあげようと思う。
服や靴、バッグやアクセサリー、それぞれを大切に、適切に所有したいのだけれど、まだまだ全然そうなるには遠そうだ。

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