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映画館がサブスク配信プラットフォームを立上げ!?

ミニシアター、映画好きのためのオンライン・コミュニティ「ミニシアタークラブ」では毎回様々なゲストをお迎えして映画、映画館にまつわる様々なお話をしていただいております。

今回は映画館を存続させるために「映画館による配信事業」の立ち上げを準備されている豊岡劇場の石橋秀彦氏を迎え、主に関西地方で活動している学生によるミニシアター応援隊・映画チア部より東真優氏、ユーロスペースの北條支配人ともに豊岡劇場の取組みについてディスカッションを実施しました。

「映画館による配信事業」立上げのためのクラウドファンディングの締め切りが10/21に迫ってきました。

<クラウドファンディング実施中!>                  ミニシアターがそこにあり続けるために、
映画館・豊岡劇場は第3、第4スクリーンを開設します。

対談の様子をレポートしますのでぜひお読みいただき応援していただければ幸いです!


〜対談レポート〜

−今回のプロジェクト概要を教えください。

石橋「コロナ禍の影響、ライフスタイルの変化により従来は映画館で観られていた作品が次々と配信に流れていくのか促進され映画館自体の存在に危機感を覚えました。この状況にどう立ち向かうか?ということをを考えた時に、映画館を守るために映画館自身が配信サービスを立ち上げて挑戦すべきだという考えに至りました。それは現在映画館に作品を供給いただいている映画配給会社様とも共存していくコンセプトに基づいてまして配信という形でも作品をお客様に届けていきたいと思ってます。」

登壇者


青木「具体的なスキームについてお聞かせください。」

石橋「豊岡劇場には実際に大ホールと小ホールの2つの劇場があるのですが、さらにインターネット上に追加で劇場専用のスクリーンを持つというのがコンセプトです。一番の特徴は従来の配給会社様との関係値を保ちつつ、映画館が作品を選定、キュレーションしていくところです。

基本方針1

基本方針2

原則的には当面は1ヶ月に1本づつの更新でストリーミング配信のみで基本的に全国ロードショーが終わった作品で考えております。それは何よりもまずは、実際の映画館で作品を観ていただきたいという想いがあるので。」

サービスの構造


青木「この施策によってコミュニケーションをとっていきたいお客様のイメージはありますか?」

石橋「はい。まずは従来のミニシアターファン、そして、ミニシアターは興味あるが敷居の高さを感じて

まだ来場されてない新規のお客様ですね。配信で興味を持っていただいて次は実際の劇場へ足を運ばれる、という循環も起きればと思ってます。配信では、演出としてまるで豊岡劇場に来て座席に座ってから作品をご覧いただくという工夫も準備中です。少しでも劇場に興味を持ってくれれば。さらに、近くにミニシアター、映画館がない全国の地方のミニシアターファンの方へ作品をお届けできるのではないかと。都心部と地方の格差をなくしていきたいです。」


青木「サービスの構造はどのようなものでしょうか?」

石橋「ネット上にスクリーン3、スクリーン4というものをMotion GalleyのBASICというプラットフォーム上に間もなく立ち上げます。料金は、月1本コースは1,200円、2本コースは2,400円です。サブスクリプションなので月ごとに課金されて月ごとに作品が配信されます。

BASICのコンセプトが民間のベーシックインカムの実現ということで、我々のような映画館施設を中心としたコミュニティーの継続的な支援を必要とするところとマッチしているなと思いました。もちろん単なる支援ではなく映画作品をお届けするというサービスを提供していくことで関係性の継続を図って参ります。

テクノロジーが進化する中でお客様は選択肢が増えたと思いますが増えすぎで選びきれない、という状況もあると思います。その中で映画館がセレクト・キュレーションするということのサービスの価値、お金の価値を問いてみたいと考えています。」

<サービスの説明動画リンク>

−サービスの説明を受けてのクロストーク 「どえらい挑戦的!!」

青木「ありがとうございました。ここからは登壇されている皆さんと一緒にディスカッションしていければと思います。まずは、映画チア部の東さん。このサービスを聞いて率直にどう思われましたか?」

東「私たち映画チア部は、特に若い人たちにミニシアター・映画館に来てもらいたい、そのために応援、宣伝活動をしています。私たちの世代は、映画を見るときはまずサブスクで観る、というのが当たり前になっているので、映画館自体がそのサブスクサービス事業を立ち上げると聞いた時は、本当にどえらい挑戦だな、とびっくりしました。ですが、私自身は近くにミニシアターがあるのでよく通っているのですが、近くに映画館がない人にとっては映画との出会いの場になるサービスになればいいなと思いました。」

青木「北條さんは、はじめにこの構想を石橋さんから聞いた時はどうでしたか?」

北條「昨年、東風さんが立ち上げた上映できない新作を配信する『仮設の映画館』というサービスがありました。そちらと比べると今回は上映が終わったものを配信するんだな、という印象でしたが最近になって

思うことは、主に東京や大阪のミニシアターだけでしか上映されずなかなか地方全国へは行き届かないエッジの効いたというかクセのある作品があったりするのですが、そうゆう小さくて個性的な作品の劇場上映が終わった後で、今回のようなプラットフォームで配信されば、買い付けた配給会社にとっても収益の回収先の一つとなったり、配給会社の個性を発揮できる作品場所になればいいなと。大手のサブスク配信サービスとは違ったいわゆる『配信のミニシアター』があってもいいと思いました。我々、劇場としての表現、配給会社がやりたいことを実現するためのことをもっと考えていってもいいですよね。」

石橋「映画館という看板を背負ってますので、そこの価値を最大化させていきたいです。コロナ禍で動けなかったことが多いのですが、その反面コミュニケーションの手段は広がったと思います。既存のやり方に拘らず映画館が生き延びる方法を探していきたいです。そうでないとこのままだと地方の映画館は潰れるしかない。」

東「このサービスが、全国のミニシアターに採用されていけば、全国のミニシアターを知るきっかけにもなると思いました。映画館が映画を選ぶという価値についてこのディスカッションに参加していて改めて気づされました。」

朝山「ジャストアイディアなんですが、配信するときに、リアルの映画館でもやっているような、『モーニングショー作品』や『レイトショー作品』といったジャンル分けも面白いと思いました。」

石橋「それは素晴らしいアイディアだと思います!!今、サービスは準備中ですが今後いろいろな方々のご意見を取り入れながら進化させていき、楽しそうな演出を映画館自らもっと打ち出していきたいですね。そして実際の映画館にも行きたい!と思ってもらえるような循環を作っていきたいです。」

−他サービスとの差別化、宣伝告知が課題

青木「視聴者さんからの質問で、他の配信サービスとの差別化はどう考えてますか?」

石橋「差別化について言えば、他のサービスではお客様がいくつかの作品の中から観る作品を選ぶと思うんですが我々のサービスでは映画館がセレクトしたものを見ていただく、しかも月額課金のサブスクで、ということが違う点だと思います。そのセレクトのいいか悪いかも我々のセレクションの力にも関わって来ますが。サービス内容、違いを知ってもらう宣伝・広報活動、ブランディングは今後の課題だと思います。」

−クラウドファンディング達成に向けて

石橋「現在、100名以上の方に応援していただいて感謝しております。」

青木「リターンで、ハンバーグがありますが(笑)!?豊岡劇場さんならではですね。」

石橋「ハンバーグ屋さんが劇場に付随してまして。北條さんにも食べていただいたのですが大変美味しいハンバーグです(笑)。他にも私どもは不動産事業も手掛けてます。そういったもので劇場の赤字を補填しているのが実情でして複合的な取り組みで乗り越えていかないと成り立っていきません。」

−最後にひとこと

石橋「まず、現在支援していただいてる皆様、本当にありがとうございます。また、支援までいかなくてもこの取り組みに少しでも興味を持ってもらったり、知ってみようという『理解者』が増えることが大切ですし、もし興味を持たれた全国の映画館もご連絡をいただければ情報を開示しますので連携を取れていければいいですね。」

・登壇者プロフィール
・石橋秀彦(豊岡劇場)
1969年4月生 兵庫県豊岡市の中学を卒業後、1985年に北アイルランドの高校へ留学。北アイルランド、ベルファースト市のアルスター大学で芸術を学び、マンチェスター・メトロポリタン大学・大学院FINE ART修士課程を修了。ロンドンで作家活動後、1999年に帰国。その後東京の専門学校で講師や英語教師等として勤める。2008年に、東京渋谷のユーロスペースにて、北アイルランド映画祭を主催。現在豊岡市日高町の有限会社・石橋設計の代表取締役。
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・映画チア部
映画チア部は、神戸・元町映画館を拠点に関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された学生による映画宣伝隊です。さまざまな活動を通してミニシアターの魅力を発信中。
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<おまけ>

館内・石橋氏

対談の冒頭は、豊岡劇場の石橋さんによる館内バーチャルツワーから始まりました。

劇場内机

場内には机が!!冬はコタツ仕様になるとのこと。いつかお伺いしたいと思いました!



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