見出し画像

神話や文学作品の絵を多く描いた画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

はじめに

今回ご紹介するのは、イギリスの画家、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)です。

オフィーリア

オフィーリア

美麗な女性が植物の中で物思いにふけっているようです。装飾が散りばめられた服はきらびやかながらも、影を感じさせる表情ですね。睡蓮の広がる沼は遠近感があります。

題名になっているこの女性、オフィーリアは、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』に登場する悲劇のヒロイン。デンマークの若い貴婦人で、王子ハムレットの恋人です。しかし義父クローディアスへの復讐を目論むハムレットに、誤ってオフィーリアの父ポローニアスを殺されてしまいます。さらにハムレットに冷たくされたオフィーリアはついに狂気に陥り、登った柳の木から川に落ちて溺死してしまいます。

※https://www.musey.net/14271から画像を引用

嫉妬に燃えるキルケ

キルケ

一人の女性が皿から水を海に注いでいます。そのまなざしは険しく、何事かと思わせます。茶色、青、青緑のハーモニーが美しいですね。彼女は魔女のキルケ。なんと恐ろしいことに、恋敵のスキュラを醜い怪物に変えようと水に毒薬を注いでいるのです。

スキュラは、美しい水の妖精です。彼女に恋をした海神グラウコスは、魔女のキルケに媚薬を作ってくれるよう頼みましたが、代わりにキルケが彼に恋をしてしまいました。魔女キルケはスキュラのことなど忘れて自分と一緒になるようグラウコスを口説きましたが、彼の気持ちは変わりませんでした。

嫉妬に燃えたキルケは、スキュラが海で水浴びをしている所に毒薬を注ぎました。毒薬の効果で、スキュラは恐ろしい怪物になってしまいました。それは4つの目、3列の鋭い歯を持つ6つの犬の頭、触手のような12本の脚、そして猫の尾を持つ異様な姿でした。怪物となった彼女は、やってきた船を6つの頭で襲うようになったといいます。それを知ったグラウコスは悲しみ、魔女キルケとの関係を断ってしまいました。

恋敵をひどい目に合わせることに成功した代わりに、片思いの相手と関係自体が断たれてしまったキルケ。悪いことをすると自分に返ってくるものですね。

※https://www.musey.net/14275から画像を引用

おわりに

いかがでしたか?ウォーターハウスについては、SNSでお話しした方にお気に入りの画家さんとして紹介していただいて知りました。こういう交流からアートの知識が深まるのはうれしいことですよね。それでは、今回もみなさんに瞳の至福が訪れますように!

いただいたサポートは本や美術鑑賞のために使い、より充実した記事を書けるように還元していきます!