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OTLHTを歩いてみた~DAY5~【完】

本日の予定

まずは14㎞先、OTLHTの終点<Lake Okeechobee>を目指す。
その後、そこから北東に22㎞進んだ先にある町<Indian town>に向かうというものだ。
Indian townにホテル、タクシーがある可能性を信じて歩く。
そして我らがマクドナルド様がいらっしゃる。それは確認済みだ。
最悪、ホテルがなくてもマクドナルドのWi-Fiを使えばどうにかできるだろう。
町までついたら食料を補給し、一直線に始まりの地<Hobe Sound Beach>を目指す。

本日の予定。
黄色文字が現在地。
青線がトレイル。
赤丸がトレイルの終点。
そこから道路沿いをひたすら歩いて町へ。

OTLHT~DAY5~


最終日の朝。
久しぶりに青空が顔を出してくれた。

早朝

美しい朝焼けを見ながら朝食をとる。
最高に気持ち良い。

朝焼け。

本日の行程は体力的にかなり厳しい。
そのため早めに出発する。

まずは生命線である水をウォーターポンプから補給。
しかし、3本目のボトルに水を入れ始めてからなにか様子がおかしい。

元々、鉄の味がすることは昨日判明していた。
今回は、どんどん黒くなっていく。
そしてどこか硫黄臭い。

まさか。。。

鉄分を含んだ水に、硫黄成分が含まれた水が入り硫化反応を起こしていた。
硫黄の含まれる温泉にシルバーアクセサリーをつけて入ると黒くなるそれだ。

硫化反応を起こした水。
右が1.2本目。
左が3本目。

浄水しても色は変わらなかった。
さすがに硫黄臭い水を飲むのは気が引けたので、鉄味の水で我慢することにした。

そんな出張化学教室な朝を過ごして出発する。
天気が良いと心も体も調子が良い。
濡れたタオルやロープ、サンダルを乾かしながら歩く。

フンコロガシ

気づけば9㎞程歩いていた。
そしてOTLHTのゴールまで残り5㎞を切ったあたりで森の中から抜けた。
砂利が敷き詰められた道に出る。
そのまま砂利の道を四角形を書くように進むとゴールだ。

正面から吹く乾いた風が気持ち良すぎて昇天。

砂利道の脇には水路が流れている。

真ん中に亀がいる
炎天下の中を歩く。
牧場らしきものも。
沖縄感。

最後の直線に差しかかる少し手前の水路の脇で何かを感じた。
視線を左側の水路に移すと。。。

なんとアリゲーターが半身浴をしていた。
最後の最後に見れて大興奮。
すかさずカメラを構えて1枚、2枚・・・
すると、「グワォ!!!」
大声とともに水しぶきを立てて威嚇してきた。

幸い襲ってくることはなく、僕たちは最後の直線に差し掛かった。

半身浴中のアリゲーター
このマークを見るのも残りわずか。
気持ちよさそうに空を舞う鳥。
最後にミニジャングルを抜ける。

看板が見えてきた。
道路を横切るとゴールはもう目前だ。

無限に腕立て伏せをするリザード。
ゴール前のロータリー。

そして、
ゴール!!!

ハイカーズレジスターが置かれていた。
Lake Okeechobee

5日間という短い期間だったが、無事にOTLHTを歩き終えた。
Lake Okeechobeeを実際に見てみても特に感動は無かった。笑
綺麗な湖ではなかった。

ただ達成感はあった。
FTを歩けずに帰国する選択をしなくて良かったと思えた。

感傷に浸るのも束の間、僕達はまだ本日の行程の半分程度しか歩いていない。
あとは、約22㎞先のIndian townを目指さなければならない。
アスファルトの道、それも大型のトラックが行き交う道路沿いを歩く。
車との距離もかなり近くて危険だ。
耳の奥に刺さる車の走行音が非常にストレスだ。
それでも炎天下の中、空と地面から放たれる熱に耐えて歩く。

1時間ほど歩いたころ、相方のペースが落ちてきた。
さすがに暑さで体力を消耗してきたのだろう。
道路沿いに建つ家の人に、タクシーを呼んでいただけないか聞いてみようと提案してきた。
僕は、もう少し先にロッジがあるからそこで聞いてみよう!と提案し、ロッジを目指した。
目的のロッジがあるはずの場所に着いたが、そこにはただの一軒家が建っていた。
絶対にロッジではないと思いながらも、この際誰かしら出てきてくれればいいや!という気持ちでインターホンを鳴らす。
しかし反応はない。
何度かインターホンを押しても出てくる気配はない。

諦めるしかなかった。
またアスファルトの地面を蹴って歩く。

すると湖沿いに少し開けた芝生が見えてきた。
そこにスッと車が一台止まった。
僕は気にも留めず歩く。

すると相方が、
「あの人に、タクシーを呼んでもらえるか聞いてみよう!」
と言った。
僕は歩く気満々だったが、「聞くだけ聞いて、もしダメだったら歩こう」と言い、釣りの準備を始めたおじ様のもとへ向かった。

「もしよろしければ、タクシーを呼んでいただけませんか?」
すると「I don't know.」
面倒くさがられているのか、それしか言われず早々に撤退。
戻る途中でもう一台車が止まった。
その方に聞いてみても、笑顔で「I don't know.」。

「よし!諦めて歩こう!」
暑さで思ったより水の消費が激しい。
少し不安を感じながらも歩く。

ヒッチハイクを試みる相方。

そこから30分ほど経った頃。
後ろを歩く相方に呼ばれた。
振り向くとそこには、一台の車が。
良く見るとさっき声をかけたおじ様の姿が。

どうやら僕達を乗せていってくれるらしい。
まさか乗せてくれるとは思わなかったため大興奮。
その言葉に甘えて、僕たちはIndian townへ向かった。

彼はバス釣りをしにマイアミからここまで来たという。
補聴器をつけており耳が少し遠い。
ものの20分ほどでIndian townに着く。
そして会話のどこかで、僕たちがこの後 West palm beach(マイアミから繋がる駅のある町) まで戻るということを言っていたのか、
「帰り道に通る街だから、そこまで送っていくよ!」という。
こんなことがあるのか!
僕たちは満面の笑みでお願いした。
心地良い音楽にのせてHYを走る僕達。

そして、早々に町に戻った。
行先は図々しくも「マクドナルドで!」とお願いしていた。

マクドナルド
Free Wi-Fiを使い倒す。

体の臭い僕達の回りを終始ハエがたかる。
席を移動しても追いかけてきた。

その状況に少し誇らしさを感じながら、僕たちのアメリカトレイルの旅は終わった。

OTLHTを歩いてみた~完~

P.S.
LAから日本へ帰国する便で衝撃の出会いを果たした。
アメリカ3大トレイルを歩き通したトリプルクラウナーである、
「清田勝」さんに偶然お会いした。
彼がアリゾナトレイルを歩き終えたタイミングであった。
もう大興奮。
搭乗までの間、少しお話させてもらった。
日本に帰国してそのことを振り返ると、体の内からエネルギーが湧いてくる。
いてもたってもいられない感覚だ。
言葉では表現できない感覚だ。

なので、数か月後にまた海外のトレイルを歩いてみることにする。
決して後押しをされたわけではないけれど、心がそれを求めている気がする。

清田勝さんとパシャリ。








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