OTLHTを歩いてみた〜DAY3〜【感謝感激雨・・・】
OTLHT〜DAY3〜
3日目の朝を迎える。
本日は約35km先の「Little Gopher campsite」を目指す。
天気は曇り時々雨。
天気予報では夜に雨は降らなさそう。
そこでゆっくり焚き火を堪能するというプランだ。
2日目の豪雨にうんざりしていたが、今日の夜に雨が降らなければ万々歳だ。
濡れた靴下を履き、濡れた靴に無理やり滑り込ませる。
この上なく不快だ。
それでも、歩き通すという使命感に駆られ、重くなった靴と足を進ませる。
まずは、昨日見つけたウォーターポンプまで戻り給水。
そして、7㎞先のHYを目指す。
道中、ハイキングをしていた4人組のおば様に出会う。
OTLHTの終点<Lake Okeechobee>から、公共交通機関は出ているかと聞いてみたが、無いと言う。
「まぁそうだよなぁー。」と思いつつ先へ進む。
ボーイスカウトがボランティアとして作ってくれたベンチがあった。
それも「EAGLE PROJECT」と書いてある。
「EAGLE SCOUT」はアメリカのボーイスカウトの中で最高位の章だ。
日本のボーイスカウト、最高位の章は「冨士章」だ。
僕自身もボーイスカウトをやっており富士章まで取得した。
凄くシンパシーを感じ、元気をもらえた。
2時間ほどでHYに着いた。
この先2㎞ほどHY沿いを北上する。
時間にして30分ほどだが、車の走行音がうるさく、かなりストレスのたまる区間だった。
HYを過ぎたら運河沿いを少し歩き、再び森の中へ入っていく。
森の中を歩き始めたころから、雨が降ったりやんだり。
今日は一日中こんな天気だろう。
気分が沈む。
そろそろお腹がすいてきた。
時刻はお昼を回ったところ。
昼食のラーメンを補給するのに良さそうなポイントを、地図上で見つけたので、区切り良くそこまで歩くことにした。
そして最後の直線に入った。
横には小さな川が流れている。
ふと顔を上げると、灰色の大きな物体が目に入った。
「ん?」「何だろう?」
「倒木でもなさそうな…」
倒木を見たときに違和感を覚えたら、
「アリゲーター」だ。
初めて見る野生のアリゲーターに興奮した。
僕たちに気づくや否や、川に滑り込んでいった。
基本的には人間の気配を感じると逃げていくらしい。
ただ、僕たちが通り過ぎるまで睨みをきかせていた。
ずっと同じ景色、道を歩いてきた僕たちにとっては、とても良いスパイスだった。
そして、すぐ先の運河沿いでインスタントラーメンを補給。
食べ終わる頃に雨が降ってきたので、また歩き始める。
歩き出してすぐに、大きな野生動物保護区に到着した。
<J. W. Corbett Wildlife Management Area >
ここを通るのに徒歩なら3ドルの寄付が必要??だ。
乗り物は6ドル。
ポストに入れれば良い。
歩きやすくてきれいに整備された道だ。
余談だが、着脱式のアームカバー、レッグカバーは使い勝手が良かった。
濡れてもテント内で干しやすく、ザックにも括り付けられて管理がしやすい。
2㎞程整備された道を歩いたら、わき道に入っていく。
わき道から約9㎞歩いたらテントサイトに着く。
<Bowman island>格好良い名前。
ファイヤーリングもあった。
おじいちゃんが暮らしてそうなサイトだった。
目的のテントサイトでは無いためスルー。
水場も枯れていた。
目的のテントサイトまでは残り10kmだ。
まだまだ遠い。
楽しみにしている夜の焚火を想像してやる気を出す。
道中、綺麗なヒノキの森を通過。
ハイキングシーズンなら、この道は膝下まで水が張っている。
Bowman islandから6㎞ほど進んだところに大きな川があった。
ここは通年枯れることが無さそうな川幅だ。
信頼できる水源。
過去に歩いた人のログを見たところ、アリゲーターもいなさそう。
ただ、水汲みが難しそうだ。
橋の上から、ウォーターキャリーを紐で垂らして汲まなければならない。
僕たちは4㎞先のテントサイトのすぐそばに、補給ポイントを見つけたのでスルー。
時刻は19時を回った。
ようやく、目的の<Little Gopher campsite>に到着。
長かった。
出発時刻は8時過ぎ。
11時間もかかってしまった。
それでもまだ日は暮れない。日暮れは20時手前だ。
重たいザックを下ろしてテントを設営する。
そしたらいよいよ焚火タイムだ。
2日ほど雨が降っていたこともあって、枯葉や小枝は湿気ている。
木の下に落ちている、湿気が少なそうな松の枝を何とか集める。
ここは松の木に覆われたテントサイトのため、あちこちに松ぼっくりが落ちている。燃料パラダイスだ。(乾燥していたら。)
少し湿気を帯びているが、ライターに巻き付けてきたガムテープを枝に巻き着火。
よく燃える。
すぐに火は大きくなった。
そして夕飯の準備を始める。
するとぽつぽつと雨が降ってきた。
すぐに勢いを増す。
慌てて装備をテント内に放り込む。
そうしている内に焚火の火は消えた。
「あぁ~楽しみが…」
楽しみにしていた焚火は呆気なく終了。
ゆっくりと焚火を眺めてコーヒーをすする情景を、今日だけで何度想像したことか。
現実はただでさえ汗臭い自分の体に、焚き火の臭いをコーティングしただけであった。
やることもなくなったので、ササっと夕飯を食べ、早々に横になった。
明日の天気もいまいちだ。
ことごとく雨に打たれて気分もパッとしない。
今回の一日を振り返って思ったことは、
雨が降らなければ自分たちが飲む水も得られなし、自然も育たないこと。
当たり前なんだけど、当たり前すぎて忘れてしまっていることの一つだと思う。むしろ現代社会では嫌われ者として扱われている気もする。
自然に入った以上、自然に起こる事象を受け入れる他ない。
野外での活動は天気によって、行動も気持ちも大きく左右させられる。
今回、雨に打たれすぎて「雨」をネガティブに捉えてしまっていたが、巡り巡って今の自分たちの力になってくれているという気づきを得た。
必死に探している水の源は雨にあたるだろうし、豊かな樹木も雨による恩恵だろう。
今回に限って言えば、貴重な水源やトレイルという自然フィールドの提供。
人間が生きるうえで、雨は無くてはならない存在だ。
嫌われがちな君を、僕は親しみを込めて相棒と呼ぼう。
感謝を持って雨を生命線として捉えることができた。
それは「感謝感激雨生命線」なのである。
そうしてまた、明日のテントサイトでの焚火を想像して眠りに着いた。
相棒、明日は休んでもいいんだぜ。
以上、OTLHT~DAY3~
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?