今回の断片小説は…自分勝手なバンドマンの男性目線？小説です。読んでください。その名も🎄ロックリスマス🎄（1）
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自称ミュージシャンの真也は日記を書いている。
通称『ブラックモンブラン』

幸運のブラックモンブラン

2016年8月

まだ夏の日差しがジリジリと照りつける午後、真治は実家のある熊本県に帰省していた。

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どうしてもお盆には、帰ってこいという説得にまけ、2年ぶりに帰省したのだった。久しぶりに出戻りの兄にも会った。

真治は恒例の墓参りをすまし、親戚めぐりをした。兄だけがお客さんがくるかもしれんと、実家に残った。親戚たちはめったに会わない、東京から来た真治に聞いた。



🧑‍🦲「真ちゃんは、なんの仕事してるん？」
🧑‍🦱「東京って芸能人に会えると？そんなに楽しいと？」
🧑‍🦰「ばってん、空気くさかろ？」

🙋「真ちゃん彼女できたと？同級生の山道君は結婚しなさったばい。」

次々に質問が飛んできた。

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真治にとってはどの質問も、退屈な話題だった。(　田舎は刺激がないからこんなに質問してくるけん。話題は結婚とか仕事とか・・・たいくつばい。）

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苦笑いして適当に答えながら真治は実家にもどった。

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母親が奥の方からお茶うけを持ってきた。

「　真治、いきなり団子あるけんね。大福もこさえたけん。食べてきんしゃい。」

居間でお茶をのみながら父親が静かに口を開いた。
父親も、母親も真治に電話をかけても滅多にでることはなく、出たとしても、「はいはい、今バイトしてるけん　」と生返事をするぐらいだった。

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盆の上にはお盆らしく、
ぶどうとメロンと手作りの大福といきなり団子があった。

「　ほれ、真治、食べんねん。　」

「　おう。」

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真治は大福餅を頬張った。
昔から知ってる懐かしい味がした。

母親が言った。

「あんたぁ、いつまで東京おるんや？そんなアルバイトばっかじゃあ、ごはんば食べていけんじゃろ。」

「　おれは、ミュージシャンやけんのぉ。」
そういいながら、無言でもぞもぞ、食べてると、

父親も言葉をかぶせた。

「　ミュージシャンっても、ちっとも陽の目みんさかい。ちっともテレビにうつってないじゃろ。活動たって、東京じゃあ、夢見るやつごまんとおるけんなぁ、らちあかんやろ。ええ加減目さませえや。　」

「　そうや、真治、ええ加減、こっちゃぁ、かえってこんね。　」

母も心配そうに言った。

真治は急に大福の味が不味く感じた。

(　だからオレはこんな、説教は聞きたくなかったんだよ。）
食べ終わってから、口をひらいた。

「　親父も、お袋も、ゴテゴテうるさいねん。説教ききにきたわけじゃないけん。ええ、やぐらしか、オレは小さくまとまりくない。なんといわれようがこっちには帰らんけん！　そやかい、東京で暮らすけんな。」

父親も母親も無言になり、
悲しそうな顔をした。

出戻りの兄が静かに言った。
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「真治はいっちょうしっかりしてるけん。おふくろもおやじも心配せんでよかばい。なぁ。」

「　あぁ。　ありがとう。」
真治は兄の智也の目を見ていった。

（　兄貴、おれは兄貴みたいに出戻りにはなりたくないんだよ。せっかく都会にいけたのに、出戻って、こんな田舎の噂話しで生きていく世界なんて、まっぴらごめんさ。　）
彼はそう思っていた。

🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲🌲兄の智也はバツ1になったのは10年前になる。嫁と愛知県に嫁の親と住んでいたがなかなか文化的違いからか馴染めなかった。

ある日なかなか帰ってこない嫁が同級生の男と楽しそうに歩いていたのを見て浮気したと思い、手をあげて喧嘩にななったのだった。

確証はなかったのだ。今の静かな智也からはなかなか想像できなかった。そんなわけで嫁の親からも嫌われてしまったのだった。

🍀🍀🍀🪴🍀🪴🪴🪴🪴🪴🪴🪴🪴🪴🪴お茶をのみ終わると彼はいった。

「　オレ、そろそろ帰るわ。おれも、なかなか電話もせんでわるかったなぁ。お袋、親父申し訳ない
兄貴も体にきいつてなぁ。　」

母親は
「　真也これ持っていきんしゃい。」
といきなり団子を真也に渡した。

「　あぁ。」
真也はバツがわるそうな顔をするとそれを
無造作にバックにつめ実家を後にした。

両親との話し合いはまた決裂した。

真治の兄はそんな弟の気持ちを理解していた。
(わかるよ。おれは。都会はなあ。一度外にでたらなぁ。真治、東京は楽しいじゃろなぁ。おまえだけはおれみたいになるな…）

親に何と言われようと、何歳になろうが…真治はまだバンドマンの夢をあきらめていなかった。

🍦🍧🍨

夕方になっても、熊本は暑かった。
帰りの駅の近くのコンビニでアイス売り場にいき迷わずブラックモンブランを掴んだ。

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それは、九州では『シロクマ』にならぶ有名なアイスバーだった。
バニラアイスの周りはチョコレートクランチクッキーがまぶしてあった。

真治はベンチに座ると溶ける前にかぶりついた。チョコレートクランチとバニラアイスの旨味が口一杯に広がった。
( うめ〜！やっぱ違うわ！これだけは！ ）

類似のアイスが関東にも売ってはいたが、バニラの口当たりがしつこくなく、ブラックモンブランの方がずっと美味しかった。その名の通り真治にとってはアイスの最高峰だった。

ソウルフードの美味しさに浸っているとさらなる幸運がやってきた。🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟食いかけのアイスの中から出てき棒に絵柄が一口かじるごとにずらずらと現れてきたのだった。真治は目を丸くした。

「　あのお兄ちゃんいいな当たってる。ぼくもあのアイスほしい。　」近くに座ってた、どこかのコが叫んだ。

大当たりのマークが出てきて1000円のクオカードが当たった。

🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟😆🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟

(　うぉ〜！俺の決断は間違っていないんだ。　）

真治は心の中でガッツポーズをした。

その後、電車にのり、しばらくすると、さきほどのいきなり団子をむしゃむしゃ食べた。

ソウル・フード最高。
いっきに気持ちがあがった。

🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟🌟

９月半ばしばらくして竹下製菓から1000円のQUOカードが贈られてきた。

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真治はファミマで一冊のノートと黒ペンを購入した。ミュージシャンなるもの、歌詞をしたためることが大切だと思ったのだった。

通称ブラックモンブランノートだった。
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しかし、しばらくすると、心の闇を語りだし、ノートは日記化していったのだ。
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つづく🎄🎄🎄