連続ネコ写真 【板橋駅前周辺】

画像1 「おい、あまり馴れ馴れしく触ってくれるな。わたしはお前の膝を足置きに使っているだけなんだ」板橋駅前にある小さい飲み屋に看板ネコがいる。そこで飲んでいると、よく隣のイスに飛び乗ってくる。しかし身体がデカくなり過ぎてイスの面積に収まりきらない。だから彼は前足を私の太ももに置いてくる。
画像2 「む、むむ。やめろ……」ここからお触り放題タイムがスタート。私の指は的確に、このネコの筋肉の継ぎ目を捉える。ゴールデンフィンガー、ネコマッサージ。太っているというよりは、筋肉質でダイナマイトなボディ。その手触り、毛触りを左手で味わいながら、バイスサワーとタコ焼き。とても旨い。
画像3 「あ、あ、そこは……」顎下と同時に頰のヒゲのあたりも刺激してやると、ネコは喜悦めいた表情を浮かべた。それと同時にネコ爪がズボンに食い込んで、すこし痛い。ついでに言うと私はアレルギー体質のようで、この翌日、やたら身体が痒かった。しかし乗ってくるのだから、触らざるを得ない。
画像4 「あ、そこそこ。やっぱりまずそこが……」そして昨晩のこと。私はまた、いつもの席で飲みはじめた。白ネコはヒラリと隣のイスに飛び乗って、前足を私の太ももに投げ出した。私の指技を待ちわびていたのだろう。肩甲骨の辺りをクイクイとほぐしてやった。
画像5 「あ、こらお前、ちょっと」なんて一応は抗う素振りを見せる。しかし眉間のチャクラを親指で押さえ、さらに人差し指で顎から鼻面を撫でさすっても、もはやされるがままのネコ。爪はやっぱり私のズボンに食い込んでいる。
画像6 「ああ、そこもね……。うん、気持ちいいや……」頭頂部をグシグシしてやる。すっかり気を許して、身体もゆるしてる。まったくチョロいネコだぜ……。ネコ転がしの我が手腕に満足を覚えつつ、黒ホッピーを追加注文する。
画像7 「あー、そこそこそこ。いやーん」一通り全身のコースを撫でさすり、また首筋に私の指が這い戻ってくると、ネコはいよいよ絶頂を迎えるかのように身体をキュッと一瞬強張らせた。
画像8 「ふにゃにゃーん!」太もものネコ爪が、さらに食い込む。そして一仕事終えた私はお通しのポテトサラダの残りをさらい、黒ホッピーを飲む。この店は黒ホッピーセットのナカを珈琲焼酎に出来て、それがまたよい感じの味わい。
画像9 「……おい、あまり調子に乗るんじゃないぞ」ネコスタシーの後、冷静さを取り戻した彼が気だるい口調で語りかけてくる。「こうやってネコ写真を載せて安易に人気を得ようと? なんと浅はかな目論見。欠伸が出るわ。……大体、どいつもこいつも我々に頼り過ぎではないか? ましてや、お前のようにいい年齢をした男が必要以上にネコ好きをアピールするという行為の裏には分かりやすい打算あるいは欺瞞いずれにしろ気色の悪い精神作用があまりに透けて……」すこし飲み過ぎたようなので、私は店を出た。これが昨晩の出来事だ。

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