記憶

眠りの狭間に
忘れものをしたと
手を伸ばすのだけど
古いホテルのエレベーターのように
アナログな音を鳴らして
ゆっくり
落ちてゆく

望んだはずはなく
人は眠りとともに齢をとる
皺は静かに深く
記憶をレコード盤に刻むように

眠らずの世界があるなら
そこは涙で溢れていることでしょう
例え海の底から見る星々が美しくても
私は忘れものを置いて
今宵また
眠るでしょう

#詩 #現代詩 #自由詩 #記憶 #睡眠

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