妖怪と言われてどういうものが思い浮かぶだろうか。鬼、天狗、河童、海坊主といった類か、あるいは漫画やアニメにもなっているゲゲゲの鬼太郎や妖怪ウォッチなども当てはまるだろうか。

一方、幽霊はどうだろう。死装束を着て恨めしそうな顔をして現れるようなものを想像するだろうか。

では、一体この両者にはどういった違いがあるのだろうか？

これについて、柳田國男は『妖怪談義』という著作のなかで、お化け（妖怪）と幽霊の違いについて次の点を挙げている。

①お化けは出現する場所が決まっていて、その場所を通らなければ出くわさずにすむ。しかし、幽霊はむこうから現れて逃げても追いかけてくる。
②お化けは相手を選ばないが、幽霊はこれぞと決まった相手のもとに現われる。
③お化けの出現する時刻は宵と暁が多いが、幽霊は丑三つ時である。

そう言われてみれば確かにそんな気もしなくはないが、怪談や心霊系の創作物に関心がある人なら、この指摘は当てはまらないと思うのではないだろうか。
例えば、誰でも一度は聞いたことがあるだろう幽霊を乗せたタクシーの話。
タクシーの運転手が夜中、女性を乗せて目的地に向かうがいざ目的地に着いて後ろを振り返ると、乗せたはずの女性がいなくなっているという話。

この話では①②の条件には該当しないように思える。実際、この説はあまり支持されていないようだ。

ではほかに妖怪や幽霊についてはどういう考え方があるのか。それについてはまた次回見ていくこととする。