飯島晴子第一句集『蕨手』読書会に参加して

 先日、東大俳句会の学生読書会における、飯島晴子の第一句集『蕨手』(わらびて)の読書会に参加した。簡単な言葉で表すと「怖い」俳句が多い印象だった。聞くところによると、飯島晴子は吟行によって句作しているとのことであるが、『蕨手』における作品では、吟行で見える景色よりもかなり深いところで詠まれたものが多い気がして、句作の過程が不思議である。
 飯島晴子は句作開始から2000年までの間に第六句集まで出したらしい。夫の代理で句会に出たことをきっかけに句作を始めた[1]というのがまた面白い。
 最後に、特に印象的だった二句を引用する。

ねんねこから片手出てゐる冬霞

飯島晴子『蕨手』

冬の汗むらさきに鳥落ちてゆく

飯島晴子『蕨手』

参考文献
[1] ⼩林貴⼦.飯島晴⼦論 アナーキーな狩⼈.『12 の現代俳⼈論』上巻.⾓川学芸出版.2005.p164-165.

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