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茶道、歌舞伎、伝統唱歌。だって最後だから。



薬の量を増やしています。

授業中にぐわんぐわんと
世界が揺れて、慌てて薬を飲むことも。


本当は嫌な気持ちも
あるんです。

「私、こんなに出来ない!」と
泣きごとを言いながら
やっています。


馬鹿ですね。


だって、
あの子たちに
愛情がない訳じゃ
決してないんです。

最後だから。

最後の1週間。

日本語教師になってからきっと
今までで一番忙しくて
体調も心配な1週間。

ラストスパートが
始まります。




私が教える日本語学校は
今週の金曜日が最終日です。


先週水曜日、
日本語学校のS先生と
専任の先生が
茶道具を持ってお話していました。


最終日の金曜日、
2年生の最後の授業で
茶道体験を計画しているそうです。

「えっ、S先生、私もやりたい。
 真似していいですか?」

私は2年生は月曜に2クラス
教えています。

「みおいち先生、やりましょうよ!
 みおいち先生が真似するんじゃ
 ないのよ?
 先生、月曜日でしょう?
 私が真似するの」

そうか、
初日の初っ端の先生が
一番大変なんですね。


でもやりたい。

今年度、日本語学校では
予算が足りなくて
どこへも校外学習へ
行けていないんです。


同法人の専門学校では
2回も行ったのに。


せめて良い思い出を
作ってあげたい。


月曜の担任の先生お2人に
許可を取りに行くと

「私もやりたいわ!
 せっかくだから
 全クラスやりましょうよ!」


と、いうことで
5クラスある2年生全クラスに
行なうことになりました。


さて。

初っ端のワタクシ。
2クラス分。

学校の茶道具は
5客ずつしか無いので
家から持ってこないとな。


段取りと
学生に渡すレジュメを
作らないとな。


おりしもこの週、
PTA広報誌の最終チェックと
新しい学童保育への書類提出と
郵便局への自動払込申込書提出、


土曜はダンナがいない中
チビの授業参観と
プールに加えて
サッカーの練習まで入ってきました。


ダメだ、無理だ。

サッカーは休ませよう。


専門学校の授業準備も
教えたことのない科目なので
非常に時間がかかります。


きついきつい、
眠れない。


もう気が狂う。


そんなとき
専任の先生から

「みおいち先生、
 僕、お茶のこと全然分かんなくて。
 お抹茶とお茶菓子、
  買ってきてもらえます?」

と依頼が。


買い物、行く時間取れるかな。

まずいお抹茶は嫌だし。


茶道の先生を
チラリとしていた母に言ったら、
余っているのがあるから
くれるとのこと。


私から取りに行く時間がないので
何とか夜に
来てもらうことで合意。


おお〜!
超高級お抹茶‼︎
ありがとう‼︎


お茶菓子、どうしよう。


すると、他の先生が
買って来て下さることになりました。


可愛いお干菓子を。


ありがとうございます!
救いの手に感謝!


ふう〜〜っ。


疲れるなら、やらなきゃいいのよ。
馬鹿ですね。


でも、最後だから。


先週の木曜日。

普段の授業準備さえ
時間がかかったのに、
それに加えて
茶道のレジュメと段取り作りをして
何とか関係者一同に送信。


ぎゃ〜っ!
お迎え時間すぎちゃう‼︎

私、朝から全然
休憩してない!


え〜んえ〜ん!

馬鹿ですね。

だって、最後だから。
もうあの子たちのうち数人には
卒業式を最後に
会えなくなるから。



夜、
チビを寝かせてから
茶道具の準備をしました。


お茶碗3客、お菓子用の小盆3枚、
ひしゃく、懐紙。


重いな、これ。
腰が潰れる。


何とか持って行って
専任の先生に
段取りはあれでいいか
お聞きしたら、


泣きそうな声で
こんなことを言われました。

「みおいち先生、僕、
 全然分かんなくなっちゃった😭」


あぁ、そうですよね。
まだ30代前半の男の子だものね。
私、自称27だけど。
他にお仕事もたくさん
あるものね。

ようし、がってんだ。
お姉ちゃんに任しとけい!

そんな訳で
全て取り仕切る私。


馬鹿ですね、ホントに。



体調が不安だから
着物を着て行きたくない。


だけど、
広い正座できる会場を
専任の先生が
作って下さったので

着物で雰囲気を出したいな。


月曜の天気予報、晴れ。
やっぱり着物で行こう。


いつもの講師室と
教室と
会場の校舎。

全部違う。

3つの校舎を移動するから
お昼食べられないかもな。
お弁当を作るのはやめて
おにぎりにしよう。



茶道体験だって、
4コマ潰す訳にはいかないの。
だから普通の授業の準備もする。
眠い眠い。


あと1週間。


専門学校の授業は
水曜日が最後です。


学生が言いました。

「先生、最後の日は
 授業をしますか?」


そうか、最終日だものね。



授業を全て潰すことは
出来ないけれど、
歌舞伎でも教えましょうか。


DVD、急だから
もう借りられないな。
良い動画を1から
探さないと。

普段の授業準備の2倍、
手間がかかるな。


だけど、最後だから。


水曜日の3クラスは
これで卒業。
1クラスは1年生だけど、
最終日の最後の授業だから
やっぱり歌舞伎を見せよう。

楽しいものを。



アクロバットとか
小さい役者さんの口上とか、
お化粧の仕方、
女形の踊りや話し方。


あれがいいな、
父子でやっている、連獅子。
外国人は盛り上がるんだ。



金曜日は日本語学校の
最終日です。


最後の日。
歌が好きなクラスだから、
歌でも歌おう。


ピアノ室の予約を取って
伝統唱歌を教えることに
しました。


今週は弾き語りの
練習をしておこう。


久しぶりだから
声が出るかな。




お楽しみ授業は
この学校では
決して強制されません。


他の日本語学校では
強制されたこともあったけど、


普段より手間もかかりますし、
場合によっては
持ち出しが出ることもあるので。


だから、
特に専門学校では
何もしない先生も
たくさんいらっしゃいます。


だけど私、今年度は
休職して
学生にも他の先生方にも
迷惑をかけたから。

せめて出来ることは返したい。



日本語学校の先生は、
大抵、年度末に何かします。

ゲーム、書道、かるた、
コマやけん玉、
ジブリなどのDVD鑑賞、
いろいろです。


やってくれると
学生も喜ぶし、私も嬉しい。


担任だったら
もっと嬉しい。


担任の先生には
とてもお世話になりましたし、
何より可愛い学生たちが
喜ぶのなら、

月曜は茶道、
水曜は歌舞伎、
金曜は伝統唱歌。


頑張ろう。
もってくれ、私の体調。


だって、最後だから。


ありがとうございます!頂いたサポートは美しい日本語啓蒙活動の原動力(くまか薔薇か落雁)に使うかも?しれません。