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せいかつの軌跡(18)

天地返し 

手作り醤油の天地返しをした。トモシも小さな柄杓で、哲のお手伝い。
夏の暑さを乗り越えた諸味は旨味が増し、まろやかな風味が出てきた。

灯「おいしーい、ねっ」 
み「そうだね。ご飯が欲しいね〜。」
子どもと一緒だと何でも楽しい遊びになるな、と思う。
こんな時間を何より大切にしたい。

哲「ジジ(トモシの愛称?)、来月から保育園行くの楽しみだね。お友達がたくさんいるよ。」
灯「保育園、行かない。ともだち、できないよ。」
哲「えー、どうして?」
灯「みんな、アカチャンだから。」  

今日も二歳児のおしゃべりに笑う。
今まで年上の子と遊ぶ機会が多かったから、同じくらいの月齢の子が彼にはアカチャンに見えるのかもしれない。
(私にはしょっちゅうおっぱいに吸い付く彼も、まだ可愛いアカチャン、に見えるけど、、)

哲が片付けを始めると、灯も率先して洗い物を運ぶ。父になった人の背中について周り、何か自分が出来ることをやろうとする。 
彼を愛おしく思う心で、私たちは共感し合う。小さい人を取り巻く空気は優しい。

本当に辛かった時期は、こんな瞬間が訪れるなんて、1ミリも想像出来なかった。
見通しが立たないことはしょっちゅうしんどくて、時々面白い。

これからも色々あるのだろうけど、、
今日一緒にいられて良かった、と思う。

【今日のうた】
追いかけて父の仕事を手伝う子の
袖を捲る出来るだけそっと

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